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マインドマップ演習:笹澤『〈権利〉の選択』斜め読み trying to encoding a book by Mind Map

我々が勉強 studying をおこなうときには常に認知負荷がかかっている。認知負荷は一定以上は学習 learning するときに必要で、一定のラインまでは認知負荷が増えれば学習量も増える。しかし、そのラインに近づくに連れて認知負荷をかけても学習量はさほど増えなくなり、さらにラインを超えて認知負荷をかける(=過負荷)と学習量も記憶量も低下してしまう。

この認知過負荷を下げるためのひとつの方策としては認知負荷を降ろす作業を含むような勉強法を採用するというのがある。著名な教育YouTuberによると、マインドマッピングはその有力な手段だという。そこで、私自身も書籍を読むときにマインドマッピングを使って理解を深めることにチャレンジした。とはいえ、いきなり長いテキスト丸ごとというのは難しいので、今回は人権について論じた『〈権利〉の思想』という本を斜め読みしていった結果を少し共有するに留まる。


1 目次をみてキーワードを拾い、線や矢印でつなげてみる

ネットに公開されている目次からキーワードらしきものを拾って、おそらくこことここがつなげて論じているのではないか?と推測し、仮説しながら線や矢印でつなげている。重要なことは、間違ってつなげても構わないし、むしろ間違えるためにつなげることによって、自分の中に何が書いてある本なのか?という見立て・仮説を形成することであるそうだ。だから、このマップは後から振り返ると意味不明である。

2 「序文」のみ読んでマジックで上から読み取れた重要な内容を書き込む

序文を読んだだけだと、目次に書いてあることのすべてが関連付けられているわけではないし、目次に書いてあるキーワードの関連付けも、最初に私が線でつなげたところとは大きくずれていることがわかった。また「権利」に関する筆者独自の用語法についても注意すべきであることがわかった。

3 上記2枚の内容をみて、詳細を省いてシンプルに清書し直す

「序文」を読んでわかったことのうち重要な部分と、そこで拾われなかったが目次にはあったキーワードをつなげて再度書き直した。内容的なことを言うと、ここでは力(権力・武力)と利益とを分けて扱っているが、最初の理解としては分ける必要はなかった(むしろグループ化すべきだった)と後から思った。というのも、それらと「正しさ」との対立の方がこの本のテーマからみて深刻だからである。

4 著者あとがき・解説を読んで、追加の重要な概念や関係をマジックで書き込む

著者あとがき・解説を読んで、多少歴史的経緯や解説者の要約の情報を足したものである。ここでは「力への意志」が重要であることがわかった。また、歴史的には権利の思想家として、加藤と植木の対立があったそうだが、ここからは私は権利の反実在論を無時間性、権利の実在論を時間性と結びつけて再編成する方が理解しやすいと判定した。

5 上記の書き込み作業によって、自分にとって重要かつ興味ある観点を確認したので、それに沿ってマップをシンプルに再編成する。詳細と思うものは書かない。

時間性と無時間性という区別が私にとっては直観的な区別だったので、武力や権力が素朴に働く時間性の段階1(力への意志、ニヒリズム)から、「right」の概念が形成されるが、この形成によって「right」は自らの中に孕んだギャップを隠すことになる。なぜならば、rightも含めた概念は一般に自分自身が時間的にどのように形成されたか(マップ左側)を表示しないからである。そして「right」そのものも字義通りには正しさという理念を表しているため、日本で受容されて和訳されるときには、「権理」という正しさに焦点を当てた和訳も提案されたが、福沢諭吉がマップの左側まで遡行して、むしろ力(誰もが欲するものとしての権力・武力)の側面から「権利」という和訳を当て直したことによって、実は複雑な背景を持つ我々の日常語としてのケンリ=<権利>が成立したことがわかったぞ、というのがこのマップである。とはいえ、このマップも斜め読みによる仮説に過ぎないので改訂される可能性は当然あるが、この著作の重要な部分は何かということについてマップをつくることを通じて認知負荷をコントロールしながら見極める(判断・評価する)ことができたと思う。

(1,759字、2024.07.18)

参考動画

学習のためのマインドマップの3段階

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