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#掌編小説
Reminiscence before dawn
熱くて、寝苦しい夜だった。
痛みをともなう喉の渇きで目が覚めた。
さっきまでの僕はオンラインゲームの、空を自由に飛べる騎士で、白銀の鎧を身にまとい、陽炎のゆらめく東京の、高層ビルの屋上の縁に腰かけて、あざやかな青で塗られた夏の空を見上げていた。
僕は一人ではなかった。同じビルの縁に佇むひとがいた。ひと目で上級プレイヤーとわかる虹色の架空金属の鎧。兜だけを脱いで、中にいたのは金髪
Scented spring
大切なものは持たない主義、とか、わたしはいつも周りに言っているけれど、それって要するに、そういうふうに言える自分、みたいなのを全力で守りにいってるわけで、なおかつ、わたしが他人の大切にしている何か(またはその人そのもの)を大切にできなかったときの言い訳でもあって、いわゆるよくある、普通とは少し違う生き方をわたしは肯定するし実践してますよアピール(心地いいんだ、これが)の裏では、めちゃめちゃ保守的
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