えこな

はらはら書いていきます。

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  • 散文

    わたしの散らかされた文章を置いています。

  • 備忘録

    わたしの忘れてもいい文章を置いています。

  • 掌編小説

    わたしの掌におさまる文章を置いています。

最近の記事

Bad messenger

なんとなくのお喋りで。 気づくと日々が流れている。 振り返れば無為さに竦んでしまうから。 前向きなフリでからからと笑う。 自分でもよくわからない。 明日を信じられるほど無邪気なときもあって。 今を否定するほど汚れきってはいない。 それでも眠れない夜がある。 さよならの後にどうしたらいいかなんて。 誰も教えてくれない。 とりあえず携帯電話に触れて。 眩暈がするまで動画に浸る。 人並みに賢い奴らは。 本物だとか真実だとか孤独だとかを愛してやまない。 最後はひとりきりで首をく

    • Invisible tail

      空白を埋めるために。 星を墜として。 繋ぎ止めた意地を。 何の気なく手放した。 呼び続けた未来は。 少しの後ろめたさとともに。 ずっと向こう側で息をしていた。 誰のためにかは言わないで。 そんなに深刻なことではない。 ただ気づいてほしい。 当たり前になった諦めと。 いつまでも消えない焦りに。 酔うことも眠ることも。 救いではなく呪いになる。 醒めれば檻の冷たさが。 薄い頰によく馴染む。 与えられた言い訳は。 使えずに全部しまいこんだ。 何が本望かなんて知りたくもない。

      • Iris eternity

        あらゆる糸から逃れて。 たったひとりで咲くアイリスに。 なりたくて、なれなくて、わたしは。 また廃墟で雨水を啜る。 再起動してください。 空耳が延々と駆り立てる。 楽園はいつも同じ景色。 ああ、今日も訪問者はいない。 どこかしら部品の足りない人工生命体。 正しい形になることなく、途中で投げ出された。 形式上の主体性に従う。 意味は通るけれど、意味のない言葉ばかり、垂れ流して。 黒い羽が舞い降りたら、一掃を。 夕空に朱が差したら、哨戒を。 諦めきったような、渇いた灰白色が

        • Out of nowhere

          いつも壊すことしかできない。 わたしはここから出られない。 気持ちのやり場はどこだろう。 言いたいことを言いたいだけ。 確かめ合って何になるという。 好きになんかなりたくないよ。 忘れたっていいものばかりで。 目が開いていても見えてない。 どうしても声が聞きたいとか。 その不誠実さが気に入らない。 夢を喰われて目が覚めたから。 朝から雨で心が白くなってく。 どれだけ本音を言い換えても。 わたしは嫌いなわたしのまま。 信じられないし信じ

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        記事

          Bystander effect

          「まあ、いいか」 なんて言葉で済まして。 澄ました顔で過ごしていた。 「もう、十分さ」 起伏のない日常を受け容れて。 至福の時間とか言い含めた。 「これが欺瞞でなくて、なんだろう」 何も考えないことはこんなにも人を幸せにするけれど。 傍観者の立場に慣れてしまえば。 もはや抗う理由もない。 「自殺未遂さえ、できやしない」 過去《いつか》に思いを馳せれば。 未来《いつか》に願いを掛ければ。 はぐれてしまう。 はぐるまになる。 はぐらかさ

          Bystander effect

          Breathalyzer

          えっ? なにこれ? これ、なに、なにこれ? わからない、わからない、わかるけど、ぜんぜん、わからないよ? いや、だんだん、わかってきた、けど、よけいに、わからないんだが? こわい。 えっ、こわい。 とりあえず、よくわからないけれど、こわい、こわい。 どうしよう、いや、どうしようもないが、どうしよう、まじで。 ああ、こわい、これ、どうにかなるの、ならないの、なんなの、これ。 なに? なにがあった? そこ、そ

          Breathalyzer

          When I was a stranger

          わたしが部外者だった頃、 世の中の人々が信じていたものは、 曖昧な熱病として、 真実らしく書きつけ、 水蒸気に癒せるものは何もなく、 本物の耐え難さ、 傷ついた憂鬱、 単なる破壊こそが、 指折り数えるに値した。 疑わしくも、 寂しがることを保留するしかない、 それは定着した気性と、 最も大切な隠しごと、 裸足で踏みつけた色硝子を、 どうにかなる距離でどうにかするのが、 百の物語を通して、 たった一つの意思表示だった。 待つつもりがない、 臨場感のある別れ話、 裏切

          When I was a stranger

          Roaming around

          誰もいない景色を歩いた。 思い出の中、いたはずの登場人物たちは、どこかへ消えさって。 影も気配もない風景。 わたしだけ、一人きり、歩き回る。 誰かのいる写真を避けた。 他人を含めた思い出は、感情が付随して、容量が重くなる。 その人を嫌いになったとき、背景まで嫌いになる。 だから、人間はいらない。 遠景だけの記憶でいい。 都合のいいもので満たされた。 感情も邂逅も過去も瑕疵も。 受け容れる余地がなくて、瀝青で塗り潰した。 素描人形のような顔のない恋人が理想。 操る糸

          Roaming around

          Absentee wishes

          わたしのいない世界を語らせて。 今とさして変わらない。 どころか。 もっとよくなっているかも。 わたしのいない世界で語らせて。 言えなかったこと。 言いたかったこと。 また仕舞ってしまうから。 「ここにいてもいいですか?」 訊かないと選べない居場所とか。 「どこにいたらいいですか?」 知らないと描けない未来図とか。 そんなもの。 置き去りにするだけの。 精神性でいられたら。 なんて終末期の悪酔い。 ほんとうは。 深い考えもなく。 不快

          Absentee wishes

          Captivation

          水が流れる様を見るのが好きだった。 銀の蛇口をひねると。 透明な液体がよじれた帯となって。 垂れ下がり。 白磁の上で砕ける。 流動は。 時が止まったように同じ軌跡を辿り。 小刻みに単音を連ねる。 尽きることなく、どこまでも続く。 飽きることなく、いつまでも眺む。 空っぽの意識はたやすく縫い止められた。 雨が流れる様を見るのが好きなのも。 涙が流れる様を見るのが好きなのも。 血が流れる様を見るのが好きなのも。 理由は、つまり、そういうこと。

          Captivation

          Maybe metaphors

          声を吹きこんで。 耳を傾ける。 こんなのはあたしじゃないと。 削除して何もなかったことにする。 鏡を覗きこんで。 目を凝らす。 こんなのはあたしじゃないと。 背を向けて見なかったことにする。 日々を生きるごと。 嫌でも気づかされる。 こんなのはあたしじゃないあたしこそあたしでしかないと。 初めからいなかったことにしたい。 もっと愛らしく。 もっと穢れなく。 もっと聡明で。 もっと勇敢で。 もっと才気にあふれ。 もっと自信にみちて。 目を開け

          Maybe metaphors

          Bleached shade

          その目に映るものを知りたい。 あなたの世界にわたしを容れて。 この目に映るものを見せたい。 わたしの世界をあなたにあげる。 何度だって。 生まれ変わって。 アバターの向こう側。 あなたは死にたがっていた。 今度だって。 死に損なって。 モニターのこちら側。 わたしは生きたがっている。 巡回していたアカウント。 いつの間にか消えている。 なんて容易いリストカット。 いつの日にか会えますか。 繊細にして大胆な。 あなたの息遣いを覚えている。

          Bleached shade

          Prescription

          おぼれそうなスキに囲まれて。 満たされた気になって。 本当にほしいものはなんだっけ? しあわせになりたいって。 初志をわすれて、頑張りもしないで。 本当にやりたいことはなんだっけ? 疲れた、休みたい、 疲れた、眠らなきゃ、 疲れた、何もしたくない、 疲れた、ぜんぶ忘れてしまえ、 疲れた、疲れた、疲れた……ってさ。 その延長線上にある「死」を想像して。 絶望するよりさきに、心の底から、安堵する。 過去に欲しがった品々を探し出しては買い集め。

          Prescription

          The end after

          明かない夜に。 欲しい言葉は見つからない。 少しなら憧れ。 扉の外の空虚に目を凝らす。 わたしは消えてもいいとか。 我儘のつもりでいうわけじゃない。 願っても叶っても。 夢のあとはいつまでも憂鬱なまま。 綺麗なものにはない。 なにかに満たされたい今は。 剥がれ落ちる記憶を。 指先に貼りつけ透かしてみた。 触れることができない。 永遠があったところでひとり。 忘れていたのか。 忘れようとしたのかわからなくて。 次に目覚めたとき。

          The end after

          On the bottleneck

          花束のために皮膚を切り売り。 血塗れの祝祷を届けたい午前零時。 死ななければ我慢できることなんてそう多くない。 耳元に明かす秘密も底を突いて。 道路脇に果てる灰まだらの毛皮が口を利いた。 無意識の痙攣が発現して叫ぶ。 不具合も不都合も不透明に不可解に不寛容。 強烈な不快感に喉を鳴らす。 近視の隔膜で疎外されて螺子を回した。 何度も扉をたたく隣人は失望。 木目と蛇目に囲われて還る。 蠕動する質量と体積。 眼球が捻じ切れるほどの理解は示さなくて

          On the bottleneck

          Picturesque

          ボーラーハットの少女が言う。 「幸せそう。だからからっぽなのね。それとも、初めから?」 彼女は微笑んでいるようにも、軽蔑しているようにも見えた。 「もう絞り出さなきゃ悩みもない。満腹と、幸福と、休息の、中毒。こんなの見かけ上の充足と、ふかふかのソファにぐったりと身体を沈めて涙と涎を垂れ流しながら、どの口が言うの?」 言えるわけがない。何もないなんて。何かあってほしいと願うこともやめたって。 「わいわいと楽しそうな人の群れに引き寄せられて、一緒に泳いだ気にな

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