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タレブの『身銭を切れ』から学ぶ、「退屈な大人」にならないヒント。

いつだったろうか?

中学生になったくらいから、痛烈に思っていた事があった。

「つまらない大人になりたくない」
「退屈な大人には絶対にはなりたくない」


そう、そんな思春期の気持ちが、いつもいつも、じぶんの中あった。

その時の自分の頭には、『路傍の石』の名台詞もあった。

『たったひとりしかない自分を、 たった一度しかない人生を、 本当に生かさなかったら、 人間、生まれてきたかいがないじゃないか』
山本有三 「路傍の石」

では、「つまらない大人」「退屈な大人」とはどんなものか?

当時から漠然と思っていた定義は、
「自分がやりたい事をやれない人間」だった。

でも、今はその定義を少し変えたいと思う。

自分が絶対に避けたかったのは、なりたくなかったのは、

「自分がやりたい事をやれない人間」ではなくて、
「自分がやりたい事をやらない人間」だったのだ。

社会人になって、徐々に会社や社会に慣れていくと、
いつの間にやら言い訳が増えてくる。

やらない理由がいくらでも作れる。

自分の不幸もあたかも、
会社が悪いからなんて、平気な顔で言うようになる。

不思議なものだ。会社に入ったばかりの人が、希望に満ち溢れているのに、10年以上だったりすると、「やらない星人」にすっかり変身しているのだ。

課長をやってらっしゃった方が、話した内容が今も忘れられない。
「会社が認めないから、市場調査は有給をとって、やってるんだ。」
「会社が認めないから、自分はこうするしかない。でも必要だからやる。」

この話を聞いた時に、
「この人は本当に自分のやりたい事をやっているのか?」と思った。

本当にやりたければ、
会社の許可なんかいらないし、誰かにその事を不満げに言う必要もない。

とどのつまり、この人は、「自分がやりたい事をやらない人」だと思った。
本当はできないわけではない、でも「やらない人」なのだと思った。

子供がいるから、養わなければいけないから、そう言って、人のせいにする。自分はそう言う人にはなりたくないと思った。

ナシーム・ニコラス・タレブは、著書『ブラックスワン』で一世を風靡した作家だ。

ブラックスワンは、大ベストセラーで、多くの人が既に読んでいると思う。
簡単に言うと、「ある日突然、ありえない事が起こり得る可能性」をブラックスワン(黒い白鳥)と表現し、具体例と共に述べた著作だ。

そんな彼が最新作として書いた作品、それが『身銭を切れ』である。

『身銭を切れ』でタレブは、タレブ節で、信頼できる人間、そうでない人間について、具体例を用いながら本書の中で何度も説明する。

そんな『身銭を切れ』からいくつかの文書を抜粋し、
「退屈な大人にならないためのヒント」について考えてみたい。

キーワードはずばり、「身銭を切り、矢面に立つ事」だ。

人間には2種類の脳がある。ひとつは身銭を切っているときの脳、もうひとつは身銭を切っていないときの脳。身銭を切ると、退屈な物事が急に退屈でなくなることがある。たとえば、航空機の安全点検とかいう退屈な作業が、乗員として航空機に乗せられることになったとたん、退屈でなくなる。企業への投資家であれば、財務諸表の脚注(真の情報が隠れている場所) を読むとかいう超退屈な作業が、あら不思議、それほど退屈でなくなる

タレブは、「身銭を切らない体験」「退屈である」と言う。
航空機の安全点検の例の通り、自分がやらなければ、他人事として終わる。
けれども、いざ自分がやるとなると、そうはいかないのだ。

皆さんも、同じ経験をしたことがあるだろうか?
自分でやらない限り、冷や汗を出して、焦ったり、ドキドキする事はない。
そんな経験がないと、人は「退屈な大人」になってしまう。

人間が口で〝説明〟する行動なんてものは、ただの言葉、自分自身に言い聞かせている筋書きにすぎず、まともな科学が扱う代物ではない。一方、人間の行動は、具体的で測定できるものなので、私たちが着目すべきなのは行動のほうだ。

社会人になると、年功序列で上司となった人が、これみよがしに、新入社員に指示を出したりしている。これは、本当に恐ろしいことだ。
運転免許がない人に、運転を習っても意味がない事は誰でもわかる。

けれども、社会人には、そう言うことがまかり通っている可能性も十分にあるのだ。だからこそ、人を判断する時は、その人が何をやったかについて、じっくりみてみよう。

やっていること、やったことがその人の全てだ。
だからこそ、言うのではなく、やってみよう。
「退屈な大人」にならないために。

今日の建築家は、ほかの建築家をあっと言わせるための家を作り、住む人が満足できない奇抜な(そして取り返しのつかない) 構造物を作ってしまう。満足できる家を作るには、長い時間と数多くの段階的ないじくり回しが必要

これもよくある話だ。自分がやりたい事を優先させ、自分を満足することに終始した場合、最終的に周りの人たちが喜ぶ事は少ない。観察しよう。その人が何を目的に動いているのか。その人のエゴを満たすだけかもしれない。そんな人についていくのは、やめた方がいい。

つまらない大人にならないヒントのまとめ

①身銭を切って、矢面OKの姿勢で生きる
「じぶんごと」として、物事に取り組んで生きてみよう。
自分がやった事=「じぶんごと」でしか、人は本当の意味で経験できない。

②何を言っているかではなく、何をやったのかで、人を判断しよう
言うだけであれば、誰もがノーベル賞を取る事だってできてしまう。
言うことではなくて、その人が何をやったのか、じっくり観察してみよう。
逆に言えば、口だけ星人になるのはやめよう。嘘はすぐにバレてしまう。

③長い目で、人が喜ぶものを考えよう。自己満足はやめておこう
自分だけが満足する生き方は、まずうまくいかない。
他の人もハッピーになれるか?についてトコトン考え抜こう。

最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
「退屈な大人」にならないよう、今日もいろいろやってみます。

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