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祖母の冷えた足を蒸しタオルで温めた介護記録

 冷たい布団に入るのが苦手だ。足が冷えると、寝つきが悪くなるからだ。特に芯から冷え切った日には、どうしても眠れない。

 寒くなってきたこの頃、冷たい布団に入ると思い出す、祖母との思い出。

 当時、私は、認知症の祖母を介護していた。祖母は冷え症で、手足が氷のように冷たい。祖母の冷え切った足をなんとか温めてあげたかった。

 当時、家には、布団乾燥機や湯たんぽ等、布団を温める便利なものはなく、私は、蒸しタオルを布団の中に忍ばせることにした。


 蒸しタオルを作り始めたきっかけは、自分がリラックスするためだった。蒸しタオルを作り、目の上に置いて、血行をよくするためのものだった。

 蒸しタオルの作り方は簡単だ。水に濡らしたタオルを緩めに絞り、レンジでチンするというものだ。

 しかし、この蒸しタオルを作るにはコツがいる。
 空気が冷えているところでは、蒸しタオルを作っても、あっという間に、温かかったタオルが冷たくなっていく。冷たい空気に触れるのが原因では?と思った私は、熱々にした蒸しタオルを、ビニール袋に入れてみた。すると、これがなかなか冷めないのであった。成功だ!
 しかし、油断すると、冷めてしまうので、長時間温かく保つためには、タオルを緩めに絞ることが大切だ。更に、長めにレンジでチンする。熱々になった、蒸しタオルを火傷しないように、ビニール袋に入れて、口をしばる。熱すぎると火傷するので、ビニールの上からタオルを巻くことにした。タオルを分厚く巻くと熱が伝わらないため、薄めに、丁度良い塩梅まで巻く。
 こうして、ようやくベストな温度の蒸しタオルが完成した。

 これを、冷たい布団で寝る、祖母の足元にそっと入れる。祖母が、朝まで、ゆっくり眠れるように。火傷しないように。足の裏に丁度良い温度の蒸しタオルが当たるように置く。最初はひとつだったが、日に日に寒くなり、ひとつ、ふたつと増えていった。寒い冬の間、毎晩これが、私の日課となった。

 祖母を起こしに部屋に行き、布団の中に手を入れて確かめる。祖母の足は温かかった。ゆっくり眠れたかな?と、私も、ちょっぴり嬉しくなる。



簡単、蒸しタオルの作り方

①水に濡らしたタオルを緩めに絞り、レンジでチンする。
②レンチンした蒸しタオルを、ビニール袋に入れて、口をしばる。
③熱い場合はさらにタオルで包む。

 まぶたの上に乗せれば、アイマスクとして目の疲れを癒してくれる。また、寒い冬は、冷たい布団の中に入れると、湯たんぽ替わりとなる。来客時におしぼりを出すときも、この方法で、温かいお絞りを出すことが出来る。

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