"愛児"の成長、その裏に潜む不安とは
わが家のベランダで保護したナミアゲハの幼虫「青虫7号」がようやく蛹(さなぎ)になる。さなぎに脱皮する前段階である前蛹(ぜんよう)の状態にどうにかたどり着いた。冬の気配が日ごとに増す中、きちんと成長するのかやきもきしていたが、まずは一安心だ。ただ、成虫になるまでの道のりは長く、不安の種は尽きない。
ミニサイズ
青虫7号は奥さんがベランダの鉢植えで見つけた7番目の青虫で、"ベランダ青虫部隊"の唯一の生き残りだ。目に入れても痛くないほど愛でており、わが家の愛児的な存在と言える。青虫7号以外の6匹は鳥に食べられたのか、すべて行方不明で亡骸さえも見つかっていない。そのため、全滅を防ぐべく室内に入れて育てていた。
ようやく前蛹の段階に到達したが、いろいろ心配だ。まず身体が小さい。ほかの6匹に比べて食が細かったせいか、3cmを切るくらいのミニサイズ。きちんと脱皮できるか不安だ。インターネットで調べると、複数の青虫ブリーダーさんたちが、きちんと皮を脱げずに力尽きてしまう青虫の事例を紹介していた。青虫7号の"火事場のクソ力"に期待するばかりだ。
さらに、さなぎのままで冬を越す「越冬さなぎ」の問題。青虫7号には、さなぎで冬を越し、来春に巣立ってもらう計画だが、きちんと越冬さなぎになってくれるかどうか疑問だ。さなぎを置く環境について日照時間13時間半以内に保てば、越冬さなぎになりやすいというのだが、日照の厳密な定義が不明だ。また極端に短時間なのも良くないらしい。
その上、さなぎに冬を意識させるため、温度も摂氏15度以下に維持することも必要とのこと。人によっては羽化させる春まで冷蔵庫の中で管理することもあるようだ。さなぎになったのは良いが、すぐ羽化させてしまうようなことは避けたい。厳しい寒さの中に、やむなく放しても地獄が待つばかりだ。できる限り、細かく見守ることが求められる。
そのほか、さなぎに卵を産みつけるハエやハチの存在なども懸念材料だ。実際にさなぎになってみないと寄生されているのかどうか分からないところが、とても歯がゆい。
懸命な姿
小さな身体を引きずり、時には枝から落ちながらも、前蛹になる場所を探していた青虫7号。枝にしがみ付き、体を左右に大きく振りながら、口から出した糸で体を必死に固定しようする姿も目にした。そんな懸命な姿に応えられるよう手助けしていきたい。
※関連リンク(青虫シリーズ):「愛、それは一瞬の気の迷い!?」「"芋活"という言葉を好きになれないワケ」「わが家の青虫連続失踪事件、事態解明へ」「生存率14・3%の世界」「愛、言葉は違えど・・・」
(写真〈上から順に〉:さなぎになりたてホヤホヤの青虫7号=りす、「前蛹」段階に達した青虫7号=奥さん、ナミアゲハの成虫=mori-sanpo)