トーハク常設展を観に行ったら、ハローキティが目の前にいた
はじめに
昨年末から、東京国立博物館(以後トーハクと略します)の常設展に定期的に通っています。
日本美術を愛するものとして恥ずかしいことに、トーハクの常設展は「ほとんど入れ替わることもなく、また目玉となる作品(国宝、重要文化財など)は展示されていない」と勝手に思い込んでいて、長年企画展ばかり観に行っていました。
ところが昨年、常設展でも素晴らしい作品が展示され、しかも1-2か月で新しく入れ替わることにようやく気が付いたのです。
特に企画展に比べれば、混んでおらず、極めて快適な時間が過ごせること、さらにnoteの記事を書く立場から重要なのは、ほとんどの作品が撮影可能なこともはじめて知りました。
いつもの平日と違うトーハク
と前置きはここまでにして、先月14日、いつものとおり、平日の昼下がりを狙ってトーハクに出かけたところ、遠目からいつもと様子が違います。
近づくと、入場門に長蛇の列が並んでいるではありませんか! 一体何事かと思いながら、門を入ると目の前に予想外の像が現れました。
そうです、サンリオのあのキャラクター「ハローキティ―」です。
私はまったく知らなかったのですが、11月初めから、トーハクの表慶館で、下記の展覧会が始まっていたのです。
どおりであの列は納得です。さらに門を入ってからの表慶館の入り口でも列ができるほどの人気です。
はたしてキャラクターは美術なのか?
最近は、何が起きてもおかしくない時代になりましたが、固定観念がこびりついた私の古い頭に「え、トーハクにキャラクター?」と「?」が三つほど浮かびました。
念のためトーハクのホームページを見ると、その使命について次のように書いてあります。
私が思うトーハクが扱う文化財は美術品と考古財ですから、ついにキャラクターも美術品になったのです。
欧米の博物館、美術館に向こうを張ったのか?
以前、私は以下に示す記事を投稿しました。
この記事の後半部分で、私は「漫画ははたして絵画なのか?」について、かなりの分量を割きました。
その中で私が驚いた事実、「何と『中学校学習指導要領美術編』(2002試行)に漫画が公式に明記されていた!」について述べました。
すでに、文科省は2002年時点で、漫画は美術だと公的に認めていたのです(私が思うに、当の漫画家は美術だと思わず描いていると思いますが)。
一方、その事実があるにも関わらず、トーハクはもちろん日本の美術館では大規模な漫画展は行われなかったのです。
一方、フランスではルーブル美術館が漫画は美術(9番目の芸術)であると早くから認め、2005年から「ルーブル美術館BDプロジェクト」を開催し、その成果を2016年に日本の森アーツセンターギャラリーで展覧会を行ったこと、
(1)ルーヴル美術館特別展 「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」 森アーツセンターギャラリー (2016)
さらに、世界的にも大きな反響をよんだ、2019年の大英博物館の展覧会:
(2)The Citi exhibition Manga マンガ 大英博物館(2019)
について述べ、私は次の言葉で記事を終えました。
さて、今回のトーハクのハローキティ―展ですが、あくまで私の推測ですが、「漫画」展では遅れをとったトーハクですが、フランス代表「ルーブル美術館」、イギリス代表「大英博物館」の向こうを張って「キャラクター」展で先んじようとしたのではないのでしょうか?
ただし、欧米の歴史的なキャラクターについて、美術作品としての位置づけで展覧会が行われたか確認しないとまったくの的外れになるかもしれません。
しかしながら、私がこれまで記事にしてきた「純粋芸術(fine art)」と「商業美術(commercial art)」の問題に深くかかわること、すなわち江戸の絵画においてはその線引きがないので、あらためてどこかでまた記事にしたいと思います。
トーハクにハローキティ―のある風景(街歩きスケッチ)
前置きが長くなりました。ハローキティ―とトーハクの建物の取り合わせはめったにない光景なので、当日急遽スケッチすることにしました。
(1)ハローキティ―が覗く表慶館(ランチの後に手帳スケッチ)
トーハク本館の前に池があり、その周りを道路が囲みます。表慶館が真前に見える東側の道路のベンチに座りランチをとりました。
表慶館の2階の列柱の間にハローキティ―が覗いており、その姿が入る様に手帳スケッチをしました。
参考までに、2階のハローキティ―の様子を下に示します。
(2)ハローキティ像を背に記念写真を撮る人々
スケッチの右の像は、正門を入った時に眼に入ったハローキティ―のバルーン(?)です。多くの人々が並んで記念写真を撮っています。
その様子をスケッチしました。
おまけ
キャラクター展にふさわしい、カワイイ移動販売車が出店していました。いつもなら、買い物をする人々を入れてスケッチするのですが、写真を撮るだけで我慢しました。機会があれば写真を基に描くつもりです。
本館の常設展を見終わって外に出たらすでに暗く、表慶館とバルーンのキティーがライトアップされていました。
以上の写真を撮った後、帰路につきました。
(おしまい)
前回の記事は下記をご覧ください。