小学校教員読書録1『賢い子はスマホで何をしているのか 』
小学校教員をしています、わしづかみです。常々、自分が読んだ本の記録をしたいと思っていたのですが、せっかくなのでnoteに記録します。小学校教員の立場からの感想も書きます。よかったら参考にしてくださいね。
1 この本を読みました!
著者:石戸 奈々子
NPO法人CANVAS、株式会社デジタルえほん、一般社団法人超教育協会等の代表を務める、日本のICT教育を推進してきた第一人者のようです。
出版社 : 日本経済新聞出版 (2021/7/9)
本書の目次
はじめに 子どもにスマホは悪ですか?
第1章 なぜ世界の学校はデジタル化を急ぐのか?――「読み、書き、プログラミング」の時代
第2章 プログラミング教育のホントの意味――STEAM教育と新しい学び方
第3章 「一歩進んだ子」はデバイスをこう使っている――デジタルにしかできないこと
第4章 子どもとスマホのいい距離感とは――0歳からのデジタル教育
第5章 「学校」はこのままではいられない――未来の教育はどう変わるか
2 こんなことについて考えました!
本書を読んで、考えられたことは、主に次の2点です。
①なぜ今、学校教育のデジタル化やプログラミング教育を進めなければいけないのか。
②新たなデジタル社会の中で、学校教育は、どのように変わっていくべきか。
まず①について説明します。
コロナ禍の中、2020年から前倒しでGIGAスクール構想が進み、学校教育がデジタル化に大きく舵を切りました。
でも、正直なところ、学校現場にはまだまだこんな声があると思います。
プログラミング教育なんてやってる暇もなければ人もいないよ!
タブレットってどうするの。プログラミング教育って何?ついていけない。
既存の学習をちゃんとやるのが先決。デジタルとか危ないし、怖い。
勤務校で情報教育を担当する私自身、校内研修のたびにひしひしと感じます。本書で石戸さんは、そんな現場の声を叱咤激励するように力強く主張します。
教示主義の教育法は工業社会には通用しても、情報社会では通用しません。それがわかっているにもかかわらず、子どもたちはいまだに150年前と同じような苦行を強いられているわけです。
世界中の国々が、「いままでの教育法ではダメだ」と危機感を抱いて、学校のデジタル化に取り組んでいるのに、日本の教育界だけはなんだかんだと理屈をつけてデジタル化を拒み、世界の潮流に取り残されてきたわけです。
日本って、今や言い訳できないくらい、デジタル後進国なんですよね・・・。さらに、石戸さんはプログラミング教育の意義を熱く主張します。
ここまでコンピュータの存在が大きくなると、「どういう風に指示を出せば、自分の思うように動いてくれるか」を知っているのといないのとで、大きな差が出てきます。たとえ基本的な原理であっても、万人が身につけたほうがいいでしょう。・・・(中略)・・・汎用性が違うのです。
本書では、さまざまな具体例を示して、プログラミングの汎用性を示してくれます。読んでいたら、プログラミング教育やらなきゃって気持ちになりました。
私たち教員は、良くも悪くもまじめだから、「漢字も計算もきっちり教えなきゃ!プログラミング教育する余裕なんてないよ!!」と考えてしまいます。
でも、本当に子どもたちの将来を冷静に考えたとき、これからの社会では、漢字の暗記や計算能力の育成はマストではないんですよね。
学校教育は時間が限られています。私たち教員が、どれだけ頭を柔らかくして、時代に合わせて指導内容を取捨選択していくのかが重要になってくるんでしょう。
次に、②について説明します。
石戸さんは、デジタル化の中で学校教育が大きく変化していく可能性を示唆しています。特に、次の一説には驚かされました。
入試だってなくなるかもしれません。デジタル化で学習データがたまっていけば、その履歴で評価することができるからです。
デジタル化によって入試も不登校も就活もなくなる世界の可能性。その中での学校・教師の在り方。「キッズ・ユニバーシティ」の構想・・・(詳しくは本書にて)。どれも突飛な話にも思えますが、そんな未来を予見させられる説得力ある論説でした。
一人の教員として、こんな学校教育を実現できる一助となりたいものです。
3 メモ
本書では、たくさんの有用なアプリ等々紹介してくれています。自分のためにメモしておきます。
https://enfani.com/ja/2017/07/02/sum-characters-meet-kids-art/