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メンタルケア、トレーニング

本日は、精神科の治療はどのように行うのか、今自分はどこにいて、どういう風にやっていけば治療が進むのか、ということをお話しします。

治癒論の全貌をお話しします。

基本的にはメンタルをケアする、セルフケアをしていくこととメンタルトレーニングは分けて考えてません、僕は。

基本的にメンタルケアは全てメンタルトレーニングに通じるものだと思うので、僕自身も実践していることでもあります。

僕自身も臨床や自分の悩みと向き合っていく中で解決してきた方法でもあるし、臨床の中で、患者さんと一緒になって悩んでいく中で学んできたことでもある。

教科書的な知識をベースに、自分の中で取捨選択、強調をしたり、弱めたりした結果、色々なものをまとめた結果がこれなので、お得ですから最後まで聞いてもらえたらなと思います。

普段のものを聴いている人はまたこれかと思うかもしれませんが、普段動画を見ている人は音でも聴いてください。

1年の最初ですしね、いいでしょうと。


◾️心は「脳」

基本的に何かというと、心というのは脳でできてます。

タンパク質でできた神経細胞の集まりなんですよ、脳というのは。

その中にデータ、これまでの記憶、経験や知識がインストールされて、私たちという、心という現象が起きてます。

意識という現象が起きてる。

外部刺激、今目からどんなものが入ってるのか、そういう外部刺激の影響も受けるので、心を構成するものは何かといったら、遺伝子によって作られた脳という構造物にデータ、これまで経験してきた、学んできた、学習してきた知識、記憶というデータと今の環境、この3つの要素で成り立っています。

病気の状態というのは脳に問題があったり、トラウマなどの記憶データに問題があって、その結果、認知の歪みがあったり、今いるところがセクハラ、パワハラ、色々な学校、会社にトラブルがあったり、人間関係にトラブルがあったりして、調子悪かったり、こういう要素から成り立つよ、ということです。

それで歪められているということです。

脳に問題があれば薬を使って調整してあげる、脳自身体の調整をしてあげる必要があるし、データに問題がある、トラウマや記憶、考え方に問題があるのであれば、学習し直すことによってデータを修正していく必要があるし、今の環境が悪ければ環境から離れていく、環境調整が必要だったり、自分の力でどうしようもならない場合は福祉制度を利用するというものがあります。

こういう病的な状態の時というのは、感情やトラウマ、世間の常識、そういうものに支配されて、合理的選択を取れてない、最適解を選べていないんです。

だから治療のゴールとは何かというと、幸せになるとかそういうことではなくて、感情やトラウマ、常識などに支配されず、自分を他人のように扱うというか、合理的に扱うというか、冷静に扱えるようになることなんです。

うつの人というのは扁桃体というものが活性化していて、前頭葉と呼ばれるところの機能が落ちているんです。

つまり、不安を感じる脳の部分は活性化してるのに、理性的な部分の前頭葉の活動が落ちているんです。

うつから良くなった人というのは不安の扁桃体が活性化していても前頭葉は活性化しているんですよ、同時に。

つまり不安を理性の力で抑え込めている状態なんです。

これが治療のゴールなので、必ずしも不安やトラウマがなくなるわけではないんです。

当たり前ですけどね。

人間が生きている限りそんなものが無くなるわけがなくて、ただそれに支配されない、あったとしても自分でコントロールできる範囲だということです。

例えば僕は週7で酒を飲んでたんです。

もうめちゃくちゃ飲んでたんですね。

でも5年前にやめました。

もうめっちゃ飲んでましたね。

そして僕、今5年、6年経つんですけど、お酒飲みたくないかというとそんなことなくて、お酒を見るたびに飲みたくなるんです。

他の人が飲んでたり、飲み会に行ったりすると飲みたいなと思います。

一人で昼から何となく時間が空いてると飲みたいなと思うし、コンビニへ行ってもお酒が飲みたいなと思います。なくなってないんです。

なくなってないけれども飲むことはない。

だから支配されていない。

その衝動を抑えることに成功してるので、これが治療のゴールと言えば治療のゴールです。

わかりやすく言えば仕方がないと思えることなんです。

こんなことがあっても仕方がないなと。

飲みたいな、仕方がないな、じゃあ次どうするのか。

仕方がないと思いながらも、次の行動に移すということが治療のゴールだったりします。逆算的に、今の状態は何かに支配されているので、支配されなくなるというゴールを目指しましょうということです。

でもこれが難しい、難しいですね。

これが難しい。

人によっては10年かかる人もいます。

診断されてから自分の中で納得できるようになったのは10年ぐらいかかりましたよ、という人もいるし、コメントを見ると、50、60代になるまでわかりませんでした、という人も結構います。

年齢を重ねたから、ようやくその仕方がないがわかりましたよ、と言ってくれることも多いです。

治療は何かというと、これに至るまでにどうしたらいいのか、仕方がないと思ってもなお不安を感じるわけで、トラブルが起きるわけで、仕方がないと思いながらも生活をしていくということになるんです。

そういう中で感情や経験、記憶が本当に無駄なものかというと、そういうわけじゃなくて、それらがうまくガチッと噛み合った時に、生まれてきて良かったなと思える瞬間が時々来るんです。

こういう体験をすごく大事にしたり、思い出してみたり、そういう体験が起きるように自分を高めていくというのが、次の治療というか、ステージになるのかなと思います。

◾️どうしていけばいいのか

どうしていけばいいのかということですけど、実際日々どうしたら良いのか、このゴールに向かうにはどうしたらいいのかというと、基本的には、薬は飲むというのはそうだし、環境調整もそうなんですけど、僕らができることは、ここのデータの調整なんです。

どう学び続けるか、どういう目標に向かってどう学び続けるかというのをポイントで、基本的にはIQ的なものを高めていったり、パーソナリティ・ファンクション、人格機能を高めていくということになります。

IQというのはわかりやすいですよね、いわゆる地頭みたいな。

パーソナリティファンクションというのは何かというと、自分は自分である、他人に共感する、自分とは違う人間に対してリスペクトを払える、我慢強い、誠実だ、そういう非認知能力と呼ばれるものです。

これらを高めていく必要があるんですけど、そのためにはセルフモニタリング、自分を見つめる、客観的に自分を理解する、今自分の精神状態はどうなのか、怒っているのか、悲しんでいるのか、疲れてるのか、楽しんでいるのか、こういうセルフモニタリング能力を高めていく必要もあるし。

論理的に考える力、ロジカルに物事を考える力も必要だし。

知識や経験を増やしていく、その種類を増やしていく、同じような知識と分野だけじゃなくて様々な知識や経験を、バリエーションを増やしていくというのも大事です。

知識や経験を増やすために、自分ひとりじゃ体験しきれないので、人と会話をしたり、本を読むということで、自分が体験しにくい経験や知識を得ていくということも大事です。

セルフモニタリング、ロジカルな力、これを高めるためにどうしたらいいのかというと、もっと具体的に言えば、座禅を組む、マインドフルネス、こういう深呼吸をしていく、この座禅というものをマスターする、呼吸によって心が落ち着いてくるということを体感し、それが普段からできるようになる。

やればやるほど、この呼吸によって落ち着くスキルは高まっていくので、これをちょこちょこやっていく。

規則正しい生活をする、学びと向き合いをやっていく。

頭でわかっても結局人間苦しいことがあるんです。

例えばフルマラソンですよ、フルマラソン。

マラソン選手はですね、いくら練習積んでも苦しいわけです、走ってたら、キツいわけだ、当たり前ですけど。

ゆっくり走ったら、もしかしたらオリンピック選手ぐらいになるとキツくないかもしれないけれども、基本的にキツいんです。

どんなにやってもトレーニングを積んでもキツいものはキツい。

どんなに学んで、心のことを理解して、理屈でわかっても、キツいものはキツいので、それらに対して行動していく、慣れていくということも重要です。

もう腹をくくって、不安だけれどもやる。

やれば、ああ、こんなもんかと思える。

だんだん慣れていくので、こういう経験も大事だったりします。

こういうのを日々やっていく。

学びとは何かというと、具体的には認知行動療法だったり、弁証法的な行動療法だったり、精神分析だったり、家族療法だったり、物語セラピー、そういうものを学んでいったり。

ここら辺が厳しい場合は支持的精神療法を学んだり、動機付け面接を組み込んでやっていく。

○○療法というひとつの流派というよりは折衷案的に全体的に理解するのも大事です。

あとはもちろん疾患そのものの理解、福祉制度の理解というところも大事だったりします。

これらを理解するためには、その背景学問も学ぶ必要があって、より詳しく知りたい場合は、歴史、ヨーロッパのカルチャーから生まれてきてますから、ヨーロッパの歴史、日本の歴史も必要だし、科学の知識、そもそも精神疾患を理解するためには脳神経科学や医学、医学の疾患だけじゃなくて、サイエンス全体のことがやはりわからないと難しいときもあるので、科学、あと哲学や神学、そういうものも理解しないと、本当の意味では理解しにくいです。

より実践的な臨床の最前線のところ、自分に関係するところから、より遠く抽象的なもの、背景学問の深いところまで、色々なところを行き来しながら学び続けるということが大事です。

あとは、日々の生活の中で何かを決断したり、何かを理解する時にどうするのかというと、基本的にはエビデンスやサイエンスに基づいて考えるんだけれども、エビデンスやサイエンスでは補えないところは論理的かつ倫理的に考えていく。

正解のない問題についてはトロッコ問題のようなものもあるんだけれども、その問いに対しては、ぎりぎりまで論理的に考えて、最終的に決断するということをします。結局、心理的抵抗があるんです。

これも大事で、例えば医師から何か言われたときに、それが論理的かつ倫理的に正しいことであったとしても受け入れられないんですよね、なかなか。

例えば「あなたはガンです」と言われたり、「あなたの今の実力だとやれない」「うつだから仕事を休まなければいけない」、それは頭でわかっていても理解できない。

場合によっては頭でも理解できない時があったりします。

こういうのを心理的抵抗と言います。それはそうですよね。

僕も、じゃあお前はどうなんだと言われたら、僕もがんを宣告されて余命5年ですとか、もう子どもたちや家族の笑顔を見られませんと言われたら、ああ、そうですか、じゃあ残り5年有効に生きまーすとはならないですよ、外来で。

腹が立ったり、怒ったり、悲しんだり、そんなわけないと思ったりすると思います。それは避けがたいですね。

場合によってはそれを言った医師を疑ったり反発するし、その場で泣いてしまうかもしれないですね、僕も。

でもまあそうなんだけど、それを1年かけて理解するのか、半年で理解するのか、3ヶ月で理解するのかによって違うので、避けがたいんだけど、その受け入れるまで仕方がないと思えるまでの時間を圧縮することは可能なので、そのためのトレーニングをするというのも大事です。

結局そういうことなんです。

◾️日々の臨床とは

日々の臨床とは、ここを学んだらいいよ、ここが欠けてるね、ここは今耐え難いね、ということを指摘してあげるということなんです。

雪山で遭難したようなもので、救助部隊が行くんだけど、やはり自分の足で降りていかなければいけない。

リュックサックに残ってる食べ物と水の量とかを確認して、重すぎるんだったらそれを捨てる判断をしたり、代わりに持ってあげたりして降りていく。

ヘリコプターに来てよと言ってもヘリコプターが入れない場所もありますから、歩くしかないんです。

その時は励ましたりするかもしれないけれども、基本的には自分の足で降りていくしかないので、精神科の臨床もそういうところがあります。

薬を出す、福祉を導入するというところまでは手伝えるけれども、どう学習するか、こういう風に学習したらいいよというのを結構ギリギリまでは手伝ってあげられるし、手伝えるように整備したりしますけど、できるだけ。

動画もそうではないですか。

勉強するための教材なんだけれども、自分の力が必要かなというところがありますね。あと宣伝ですけど、規則正しい生活がよりできるようになるために、手帳を3月ぐらいに発売します。

あと、学びがしやすいように本も出版してますし。

あと行動や慣れ、生まれてきて良かった体験を増やすためにも、ピアサポートを作っています。

それをオンライン自助会という形でやってますので、もし良かったらそちらの方もご利用くださいということです。

ということで、今回、新年は、治療とはどういうものなのか、をざっくり解説しました。

言われたらまあそんなもんだよなという感じですけど、まあ仕方がないとどう思えるかですよね。

結局不安やトラウマはなくならないので、それに支配されず淡々とやればいいんですけど、治療のゴールがイメージつかないと、幸福になるためなんだと言うと青い鳥探しをしてしまって、無駄な努力をしそうなので、努力をしてしまうので、治癒のイメージを掴んでもらって、納得することがゴールなんだと、あとは諦めて動くことなんだと理解してもらうと、やれることが増えると思うので、理解してもらうといいかなと思いました。

今回はメンタルケアトレーニングということを解説しました。

◾️本日の宿題

本日の宿題は、新年1発目なので、ここの日々のトレーニングのうちどこを重視しますか、ということ、学びだったらどこを頑張りたいか、こういう話をしてもらうといい宣言になるのかなと思いますので、皆さんご協力のほどよろしくお願いします。

オンライン自助会/家族会ホームページ
https://peer-support-community.com/

▷ くわしい入会方法はこちら
https://www.notion.so/db1a847cd9da46759f3ee14c00d80995

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