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《オンライン授業》を日常に。文科省会議、規制緩和に向け意見交換。不登校の子も活用しやすく

不登校、特別支援の子も受けやすい環境に

文部科学省の有識者会議《義務教育の在り方ワーキンググループ》の第8回が、このほど開催されました。
今回の議論のテーマは
義務教育における、学びの多様性を担保する一環としての《オンライン活用の促進》

現在、オンライン授業を行うためには、《遠隔教育特例校制度》に則る必要があります。
ただ、対象は主に中学校のみで、その要件を満たすためのハードルも高く
同制度の指定を受けた学校は全国でわずか12校のみ(2023年8月時点)。
こうした現状を踏まえて、委員からは

「特例校制度という特別な枠組みではなく、オンライン授業を日常的に行える環境を整備する方がいい

といった趣旨の意見が相次ぎました。
おそらくその方向で、文科省において今後検討がなされそうです。

また同WGでは、不登校の子どもや、特別な支援を必要とする子どもがオンライン授業を受けやすい環境整備の必要性についてもかねて指摘されており
その促進を促すために、全国の実践事例をまとめて共有する仕組みづくりも国主導で行われる見込みです。

2019年、遠隔教育特例校制度がスタート

従来、オンライン授業を実施すするためには
オンライン授業を受信する教室などに、その教科の教員免許状を保有する教員がいることが条件でした。
言い換えれば、受信側の教室にいる教員が、その教科の教員免許状を保有していない(=別の教科の専任)のであれば、オンライン授業の実施はNGだったのです。

状況が変わったのは、令和元(2019)年。
山間地域や離島などの小規模学校や習熟度別の小規模クラス、不登校の子どもたち
などが、オンライン授業をより活用することを想定した、《遠隔教育特例制度》の施行がきっかけです。

〜遠隔教育特例制度とは〜

主に中学校において、一定の基準を満たしていると文部科学大臣が認める場合
オンライン授業を受信する学校側の教員が、その教科の免許状を保有していなくても、オンライン授業の実施を可能とするもの。
オンライン授業を配信する側については、場所や生徒の有無は問わない。

というもの。
学校教育法施行規則第77条の2などに基づきます。
これによって、オンライン授業の受信側の教室にいる教員が、どの教科の免許状を保有する教員でもOKとなりました。


ただし
・対象が主に中学校であり、小学校は対象外であること
・指定を受けるには、都道府県の教育委員会または知事を経由の上で申請書を文科省に提出し、実施計画の審査といった過程を踏まなければならないこと

などの制約があるためか、遠隔教育特例校の指定を受けた学校は、2023年8月時点で全国12校(うち私立3校)に留まります。

オンライン授業、広げる上で課題も

この日の会議では、委員の意見が

「オンライン授業をもっと日常的に取り入れられるようにするべき」

という点で概ね一致していました。
中には
「遠隔地特例校でなければ、オンライン授業が自由に出来ないということを初めて知った」と、驚く委員も。

その上で、オンライン授業の活用促進に向けた課題も複数提示されました。
例えば、

「山間地域や離島などの小規模校や、習熟度別の授業を展開する目的での小規模教室」

「学校に行きづらい、なじめないといった事情をもつ子どもの学習を保障する意味でのオンライン活用」

とでは、背景もニーズも異なるため、それぞれ分けて対策を考えるべき、といった意見です。

規制緩和の見込み&全国の実践事例を共有へ

遠隔教育特例制度の規制緩和と、オンライン授業の実践事例の共有に向けて
今後も検討がなされる見込みです。
諸課題がどのようにクリアされるのか、についても注目が集まりそうです。


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よしもと しか
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