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木蓮の花開くころ

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ここでは、かっこよくない障害者のぼくの半生を語ります。そこで出逢った友人はかけがえのない財産です。
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記事一覧

春を待つ手紙

 政治に携わる人の演説を聴いて、投票したい気持ちに駆られたことがあまりない。 思想をこえ…

アルコール物語

 ブーが残念がって、ぼくのアタマをポンと叩いた。 「せっかく、ぼくはやっさんがいちばんに…

間(ま)

 ぼくの中で親友と呼べる三人のうちのひとり「中村ブー」が、妙にしみじみと言ったことがある…

投げかける

 あの日、ぼくは扇町公園での集会に参加していた。 山にかこまれた施設で、生涯を過ごすつも…

プレイリスト

 いつも、書くときは気に入った唄をバックに流している。 偶然、内容と重なることがあって、…

もし…

 サポーター(ヘルパー)さんが食器を洗いに行った途端、鼻の脇が痒くななることがある。呼び…

ぼくの日常

 サポーター(ヘルパー)のAさんは、ごはんを冷凍するときにラップでくるんだほうがいいという。  サポーターのBさんは、タッパーに入れたほうがいいという。  Aさんはラップだとかさばらないし、レンジで温めるときに容器が耐熱かどうか、いちいち確かめなくてもいいかららしい。  Bさんは毎食のようにレンジを使うぼくにとって、タッパーは消耗品ではないから経済的だし、サッと中身を取り出せるから準備がラクだという。  Cさんは、値段が高くてもサランラップが使いやすいからと、買いものへ行くぼ

逆さ読み

 今日、手のひらに装着するタイプのワンキースイッチを使って、初めてひとりで本を読もうと思…

雨男

 ぼくが電動車いすで歩かなければならない予定が入ると、太陽が顔を見せた日はあまり記憶にな…

夕焼け

 福知山の自宅から、金閣寺の近くにある施設へもどる道すがらだった。 おやじが運転をして、…

ルリちゃん

誰とも話したくありませんでした 誰とも眼をあわせたくありませんでした だらしなくよじれた…

あまたろう

 裏庭の山茶花は、雪の重みで傾いていた。  祖母が白いビニール紐で塀に結わいつけて、よう…

そんなこともありました

 あの日、ぼくは養護学校の教室で、M先生に給食を介助してもらっていました。  野菜スープだ…

言いわけ、疲れ、ノスタルジー

 ほぼ毎日、つづけていたnoteへの投稿が一日あいてしまった。 文章の長短にはかかわりなく、引っかかりのあるテーマを書こうとしてはまとまり切らず、下書き保存に何本かたまっている。  つまり、仕上がらない原稿が重なってしまった。  ぼくのプロフィールでも触れているように、自分自身の長所であり、短所は相手の立場になろうと考えすぎてしまうところではないだろうか。 仕上がらない原稿は、どれも自分目線で書き進めてから、他者であればどうだろうか(?)とか、ぼくをタナに上げていないだろう