注連縄は何を〆ているのか〜知ってるようで知らないしめ縄の秘密〜
皆さん神社や神棚で良くしめ縄を見かけますよね。ですがしめ縄ってしめ縄って呼ぶ割には、何をしめているんだろうかと思いませんか。しかも感じで書くと「注連縄」どうがんばっても「シメナワ」とは読めないですよね。今回は普段は疑問に思うことも少ない「しめ縄」のちょっとした歴史と豆知識を紹介します。
で何を〆てるの
しめ縄ですが「〆縄」と書かれることもあり、何かを〆るという意味だと思われがちですが本来の意味は「占める」という意味です。
しめ縄が日本の歴史に初めて登場するのは古事記の記述です。天照大神が岩戸隠れを行った後、天照大神が二度と岩戸に入り込めないように岩戸にしめ縄を張って岩戸を封印しました。
しめ縄には、しめ縄を貼った範囲を清めて外側と隔離する結界の役割があります。つまりしめ縄を貼った範囲を清らかな物で占めるから「しめ縄」という訳です。
そしてしめ縄が感じで注連縄と書かれる理由ですが、これは中国の注連(ちゅうれん)と呼ばれる縄から来ています。注連とは、死者が出た家の前に貼って死者の魂がまた家へ戻ってくる事を防ぐための縄です。この注連と日本のしめ縄が似ていたため、字だけ借りて注連縄としたようです。
神社のしめ縄
せっかくですしここで日本の神社にある面白いしめ縄を紹介していきましょう。下の写真は宮地嶽神社の拝殿にある直径2.6メートル、長さ11メートル、重さ3トンにもなる日本最大級の大きさをもつ巨大なしめ縄です。この他にも宮地嶽神社には直径2.2メートルにもなる大太鼓や450kgもある大鈴などとても大きいものがいくつかあります。
大きなしめ縄で有名な神社といったらやはり出雲大社を思い浮かべる人も多いでしょう。この出雲大社のしめ縄ですが、普通のしめ縄と違って左右が逆にはられています。これは出雲大社が他の神社と違い、神様に対して左方を上位、右方を下位としていたのでこのような形になりました。
大きいしめ縄も荘厳できれいですが、他にも面白いしめ縄が全国にはあります。奥澤神社のこのしめ縄も一見普通のしめ縄に見えますが、よく見ると蛇の形をしています。これは前年の大蛇お練り神事で使われた蛇を鳥居に巻きつけています。始めてみた時はびっくりしますが、だんだん見てるうちに可愛く見えてきますよ。
注連飾りってなに?
しめ縄の仲間みたいなのにしめ飾りがあります。正月なんかに家の前に飾る飾りですね。これもしめ縄と同じような意味で使われていて、不浄を家に入れないようにしたり、年神様を迎える家だという目印の意味もあるようです。
しめ飾りがしめ縄と大きく違う点は装飾物にあります。しめ縄の装飾物は垂(しで)と呼ばれる紙が基本ですが、しめ飾りでは橙や松の葉などを付ける事が多いです。これはしめ縄が結界や聖域という意味合いが強いのに対して、家庭ごとに飾られるしめ飾りは、年神様を呼び込み安泰を図る意味合いが強いので、年神様を迎えるための装飾品や縁起の良い物を飾るそうです。
そのためしめ飾りは時代や地域などによって様々な違いが生まれます。一昔前には車のフロント部分にしめ飾りを飾るのが一般的でしたが、最近は全く見なくなりましたよね。関西と関東で正月飾りをしまう時期が違かったりもします。伊勢神宮の周辺の地域では一年中正月飾りを飾っており、「蘇民将来子孫家門」と書かれた木の札をしめ飾りに飾る風習もあるそうです。
横綱ってしめ縄つけてない?
相撲の力士の番付の最高位の称号を何というか知っていますか。そう「横綱」ですね。この「横綱」という言葉は実はしめ縄の事を指しているって知っていましたか。
江戸時代の大阪では力士の間で白黒の綱をより合わせた綱を締める飾りが流行していました。時を同じくして江戸では相撲と神道の関わりを主張しようとする動きが活発化して様々な事が行われていました。その中で大阪の綱からアイデアを得て、白い綱に垂(しで)を付けてみたらしめ縄みたいでいいんじゃないかという事になりました。この白いしめ縄の事を「横綱」と呼びました。
最初は大関の中の名誉称号のようなものでしたが、近代になり相撲がスポーツとして発展していく中で相撲の番付の最高の称号になったのです。
まとめ
普段はあまり気にかけないですが、よくよく見てみると意外な興味があるのがしめ縄です。上で紹介した出雲大社や奥澤神社の他にも全国には変わった形の面白いしめ縄がまだまだ存在しています。神社に行かれた際はぜひしめ縄の形にも注目してみると面白いかもしれません。
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