成長するための問題を具体化して解決する #38 課題のあり方
問題とは、例外なく解決あるいは解消すべき事象です。
しかし、注意すべきは、それが本当に解くべき問題であるかを見極める必要があります。
この見極めのことをイシューと言います。
イシューから始める主旨は、生産性を高める、価値のない無駄をなくするためです。
問題だと捉えていたものが、実は、その前にすべきことがある可能性があるということです。
結果的に問題であると思っていたことの本質が違っている可能性があります。
イシューによって導かれた問題であることが重要となります。
世の中で「問題かもしれない」と言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本当に白黒をはっきりさせるべき問題はせいぜい2つか3つくらいだ。
※序章 この本の考え方 – 脱「犬の道」より引用
その上で、問題には質があると捉えています。
望ましい平常状態から、トラブルによって望ましくない状態に陥ったネガティブな問題。
また、現状は問題ないものの、将来の望ましい状態への成長を目指すポジティブな問題です。
ネガティブな問題の場合は、現状と平常のギャップです。
現状も平常も実態を認識できている事象ですので、具体化するのは難しくありません。
また、解決までには緊急性が求められる場合が多いと予想されます。
対して、ポジティブな問題は、現状と将来の望ましい状態とのギャップです。
緊急性はないかもしれませんが、将来のためにも重要である場合が多いといえます。
しかしながら、将来の望ましい状態は、実態を認識できない事象です。
そのため仮説思考で事象を具体化する必要があります。
仮説思考とは、5W1Hのフレームワークを活用するなどして仮説で具体化することです。
5W1Hとは、WHY(なぜ)、WHAT(何を)、WHERE(どこで)、WHEN(いつ)、WHO(誰が)、HOW(どうする)のことです。(より、細分化するには、6W3Hを活用)
課題とは、問題を解決あるいは解消するために取るべき行為といえます。
ネガティブな問題の場合は、具体的な状態を認識できている平常に戻すため、課題を具体化するのは難しくありません。
対して、ポジティブな問題は、望ましい状態を認識できていないため、問題と同様に仮説思考で課題を具体化する必要があります。
しかし、決して、完璧を求めているのではありません。
そもそも、まだ、起きていない将来のことを完璧に具体化できる訳がありません。
よって、経験値や情報収集からの要素で概ね70%から80%を固めたら、残りは仮説、つまり仮の答えや結論を出す中庸的なもので構いません。
課題を推進する上では、マネジメントの代表的な手法であるPDCAサイクルの活用を推奨しています。
PDCAサイクルとは、[Plan(計画)]、[Do(実行)]、[Check(検証)]、[Act(改善)]の頭文字とったものです。
課題に相当する計画(P)の設定で陥りやすいのが、完璧を追求するあまり、情報の収集などに時間を要してなかなか、実行(D)に移すことができないパターンです。
故に、実行(D)では、計画(P)に基づきやり切ることが求められます。
何故なら、仮説の正しい検証(C)は、計画(P)に基づいた実行(D)があって成り立つからです。
そこから、質の高い改善(A)の実行に結び付けることが可能となります。また、AをAjust(調整)と捉える考え方もあります。
つまり、PDCAサイクルは、回す度に、仮説部分が立証され、実行の質は高まり、問題解決、解消、つまり、望ましい状態に近づくこととなる訳です。
故に、同じ平面を回って元に戻るサイクルではなく、スパイラルアップすることからもPDCAスパイラルと表現される場合もあります。
ネガティブな問題は、嫌でも可視化されます。
対して、ポジティブな問題は、自分自身が意識しないことには可視化されません。
常に望ましい状態に焦点を当てて、現状とのギャップである問題、そして課題を具体化させて行動できたらと思います。