実力を高めるには質の高い経験値を高めるしかない #44 継続は力なり
何事も実力を高めたいのであれば、現状の実力の限界を上回る、質の高い、何らかの負荷を掛ける必要があります。
当然ながら、簡単に上手く行かず、失敗を繰り返すことになろうかと思います。
しかし、この失敗の繰り返しで挫折してしまえば、当然ながら、実力を高めることは出来ません。
逆に失敗であっても質の高い失敗の積み重ねであれば、実力を高められる可能性はあるはずです。
心理学者のアンダース・エリクソン氏が1990年代に実施した研究から導き出した「1万時間の法則」があります。
それは、バイオリンを学ぶ学生を3つのグループに分けて経験値と実力値の関係の検証から始まります。
(1)プロになるのは厳しく、学校の音楽教師を目指すレベルの学生のグループ
(2) プロになれる程度に優れている学生のグループ
(3) 世界的なソリスト(独奏者)になる可能性を持つ学生のグループ
まず、どのグループの学生も、若年からバイオリンを始めたケースがほとんどであったため、スタート時期と経験年数(10年以上)は大きな差はありませんでした。
逆を言えば、スタート時期が遅いと、このアカデミーに入学する(土俵に上がる)ことすら難しいのかもしれません。
結果的に、グループを比較した場合の違いは、それまでの練習の累計時間でした。
(1) グループ 平均 4千時間
(2) グループ 平均 8千時間
(3) グループ 平均 1万時間
この結果から導かれたのが、「優れた技量を身につけるには、累計1万時間以上の練習が必要」と言う「1万時間の法則」です。
また、エリクソン氏は、デリバレイト・プラクティス(Deliberate Practice)についても訴求しています。
これは、実力を高めるには、理論・論拠を具体化させて、それに基づいた能力の限界を少し上回る負荷をかける練習を行うことを意味しています。
とにかく、実力を高めるためには、受動的に漠然と繰り返したり、ダラダラと続けても意味がなく、理論・論拠を能動的に考えて行動することが大切なのだと言うことです。
勿論、これは、エリクソン氏の研究と言う限定された検証の中から導かれた結果であることを理解しなければなりません。
「千日の稽古をもって 鍛となし
万日の稽古をもって 錬となす」
これは、剣豪 宮本武蔵の言葉とされています。
その意味ですが、千日の稽古で基本の技を鍛え上げ、万日の稽古でその技をより高みに錬りあげる。
転じて、一つの技を完全に自分のものにするには、ひたすら毎日、質の高い稽古を繰り返して励むしか道はないということです。
もちろん、現実は、努力を継続したところで、思惑通りの結果を得られる保証はありません。
それだけに、継続することは、出口の見えないトンネルの如く、孤独で辛いものかもしれません。
それでも、何かを得たいのであれば、継続しなければならないのも現実です。
そこは、継続は力なりを信じるしかありません。