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数字がならんでるだけだと思った企業会計がカタチに見えた #06 戦略MQ会計

ビジネスにおいて真っ先に数字となれば、会計になろうかと思います。
企業会計では、制度会計と管理会計に大別されます。
制度会計とは、法律など何らかの制度に従って実施される会計で、財務会計と税務会計に分類されます。
財務会計は、社外の株主や金融機関をはじめとするステイクホルダー(利害関係者)に業績を報告するための会計です。
税務会計は、企業が課税されるべき所得税を算出されるための会計です。

決算時に作成される財務三表と称される損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)が財務会計のための資料であり、金融商品取引法、会社法などの法律や会計基準に基づいたものとなります。

この財務会計の取り分け損益計算書は、税務を中心とした売上中心の捉え方です。
つまり、各項目において対売上高比率を中心に損益構造を分析する傾向にあります。
資金繰りの関係から売上を無視することはできませんが、経営の観点からしたら利益を出すための会計理論が必要と考えます。

例えば、財務会計では、利益を増やす方法は、①売上を増やす  ②固定費を減らす  ③利益率を上げる の何れかだと言われます。
ところが市況が厳しくなると売上を増やすのは容易ではありません。
結果、競合との価格競争に陥りますので、利益率を上げるのも困難となります。

行きつく先は、人員削減に代表させる固定費削減です。
しかし、これで本当に利益を増やすことができるのかです。
利益とは決して、売上から経費を差し引いた残りではなく、利益を起点としたマネジメントが必要なのだと考えます。

そのため各企業の経営が、それぞれのマネジメントに活かすためのものが管理会計となります。
故に英語では、財務会計がFinancial Accountingに対して、管理会計は、Management Accountingとなります。

管理会計は、正に経営をマネジメントするための戦略的な会計であるべきであり、経営の意思決定を行う上で重要なものとなります。
基本的に、社内でのみ使用しますので、作成する上での縛りは一切ありません。
もちろん、任意ですので取り入れていない会社もあります。

そもそも数字を漠然と見たら無機質な羅列でしかありません。
また、数字は客観的なモノの代表であり、誰にとっても、0は、0であり、100は、100です。
しかし、その捉える基準次第では、大きいとも、小さいともなるのも数字です。

管理会計の損益計算書を視覚的に捉え、可視化させたのが、MQ会計という理論です。

大きな特徴は、財務会計は決算時の結果(過去)を示すものに対して、MQ会計は将来の経営のマネジメントに活かすためのものです。

基点となるのが、付加価値と例えられるMQ(売上総利益・粗利)です。
付加価値MQは、単に売上から経費を引いて残ったものではなく、様々な要素に刺激を与えて、創り出すものです。
そして、企業の事業価値を示すバロメーターであると言えます。

その要素の起点ですが、売上単価Pであったり、販売個数Qである場合もあります。
また、固定費Fである場合があれば、変動費VQである場合もあります。

製品単体の採算構造は、3つに分類されます。

① 販売単価 P(Price)例:30円
製品1個当たりの売価です。

② 変動単価 V(Variable cost)例:20円
製品1個当たりの原価です。
売上に紐付いた材料・仕掛・製品・外注費であって、当期末在庫(材料・仕掛・製品)は含まれません。
【変動費V=前期末在庫額+当期仕入在庫額-当期末在庫額】

③ 粗利 M(Margin)例:10円
販売単価Pから変動単価Vを差し引いて残った利益です。

次に、

④ 販売数量 Q(Quantity)例:10個
販売した製品の個数です。

⑤ 売上 PQ 例:300円
販売単価Pに販売個数Qを乗じたものとなります。

⑥ 変動費 VQ 例:200円 VQ率66.7%
変動単価Vに販売個数Qを乗じたものとなります。

⑦ 付加価値 MQ 例:100円 MQ率33.3%
粗利Mに販売個数Qを乗じたものとなります。
財務会計では、売上総利益と称しますが、管理会計として付加価値と称します。

また、販売個数の変動に左右されないものがあります。

⑧ 固定費 F(Fixed cost)例:80円 F率26.7%
事業を継続あるいは発展させるための必要経費です。
設備投資費、研究開発費、広告宣伝費、人件費、家賃、通信費、水道光熱費などです。
固定費Fの内数としては、製造固定費、販管費などがあります。

また、変動費VQと製造固定費を合算したものを総原価として管理したりもします。

⑫ 営業利益 G(Gain)例:20円 G率6.7%
最終的に残されたのが、営業の関する利益となります。ここに営業外損益や税金は含まれません。


一般的な会計の考え方とは矛盾しますが、付加価値MQを増やすために、売上PQを減らしたり、固定費Fを増やしたり、MQ率を下げたりする場合もあるかもしれません。
そこから最終的に、営業利益Gをいくら得るかの戦略を立案およびマネジメントすることになります。

また、組織をプロフィットセンター(利益を生み出す部門)とコストセンター(利益を生み出さない部門)に区分する考えがあります。
しかし、このMQ会計では、あらゆる部門がプロフィットセンターであることが求められます。
そのため経理部門ではない製造部門や営業部門のスタッフたちでも理解でき、使いこなせなければなりません。
よって、MQ会計の理論は、数学的に矛盾のない仕組みとなっています。

この理論を社内で共有することで、それぞれの部門が、それぞれの職務の要素に刺激を与えることで、結果的に、どの要素に影響を及ぼすかが一目瞭然であり、先手先手でマネジメントに活かすことが可能となります。

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