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エッセイ/チャリンコ
ふと思った。
ふと思うってこういうはこういうことなのだろうというお手本の様に、綺麗にトイレの狭い個室の中で天井を仰いでは「あっ」というテンプレ最大級の漏れ言葉を添えてしっかりふと思った。
最近ミラーを装着しているチャリンコ見ていないな。
僕がこのことをふと思った真意はピノキオの伸びる鼻の生態構造くらい解明できないことなのだが、強いて言うならば昨日ストⅡで春麗と戦った際、中国の路上背景にビット画のチャリンコが通っていたのかいないのかの頼りない極細材料だけである。
そもそもチャリンコのミラーは何故ゆえマイノリティになったのか僕なりに頭を回転させた。自転車の車輪の様に。
「見た目があまりカッコよくない」
最初に浮かんだシンプルな説1はこれだ。ディスカッションに参加しているくせにボーッとしてたら急に意見を求められてテンパった故にポンっと勢いだけで答えてしまったくらい安易な説だ。
しかしこの説1はあまりにも安易がすぎた為かすぐにトイレの水底に流れていった。
それは見た目など気にしないであろうご老人などのチャリンコにもミラーが付いていないからだ。ご老人だって見た目くらい気にするわ、この偏見野郎という意見は一旦昨日観た夢の如く忘れて下さい。
ここでいうご老人というのはなんとなくではあるが、もう身なりの細部までは気にしてると疲れてしまうんじゃ。
という方達のことだと思っていただければこれ幸いである。
ミラーがあったほうが誰がなんと言おうと、愛機の安全ステータスは向上する。ご老人こそ必要オプションと捉えている筈だ。
じゃあ何故その方達のチャリンコにもミラーが付いていないのかという話になる。
そこで産声をあげたのが説2
「あまりミラーを覗く機会がない」
だ。
車やバイクのミラーより断然ミニマムなのが、チャリンコのミラーだ。それ故に見にくくてしゃーないのではなかろうか。こんな不満が言葉にされぬままずっと水面化で蠢いていたのではなかろうか。
しかもぼんやりではあるが僕の中で浮かんでくるミラー搭載機は怪我したバッタの様にアシンメトリーに片一方にかミラーがついていない。
つまり、左右のどちらかの後方しか安全確認出来ない仕様になっている。
こうなってくると、そもそもミラー全盛期から
チャリスト達は皆ミラーに頼らず己の眼で後方を確認してきた歴史が綴られていくではないか。
よく思い返すと昔実家にあったチャリンコのミラーもなんだか曇っていたような気がする。
携帯電話の普及で公衆電話が使われなくなった。
などの代替え理由のもと使用者が減少した訳でもなく、ただただひたすらに影を潜めていったチャリンコのミラー。
僕はチャリンコを所持していない為、今すぐにチャリンコミラーに救いのおててをさし述べることは出来ないが、もしチャリンコを買ったその日には、
堂々と左右にミラーを付けようと思う。
そう結論付け白熱したトイレの会議室の灯りは消えたのだが、リビングのソファーにもたれ戻る頃には、やっぱりミラーを付けて街中を駆けていたらあちらこちらから「あいつミラーついてんじゃんw」「左右wうけるw」などという言葉の波動拳をくらいひよったストⅡのダルシムの様に頭の上でヒヨコがくるくると周りそうな為、マイノリティーにはなれない気の弱さを露点するだけの結末に終わった。
そして言い訳の様だが言わせて下さい。
この話しを読んでくださっている方の中に
ミラリストの方がいらっしゃいましたら本当にすみません。失礼だらけの時間の提供でした。
もしお怒りのご意見等々ございましたら、買いたての張りたての様にピカピカにチャリンコのミラーを磨きに行かせて頂きます。実際には、磨きに来い!と言ってくる人はいないもんだとたかをくくっているのはご愛嬌。
初エッセイ