見出し画像

水中にて

眼鏡についた雨粒で
私の心は読まれない

天使がハンカチを持って
私の眼鏡を拭かないように

わざわざ新宿の雑踏のなか
あなたと淋しいお話しを

ここは皆が迷う場所
人間だって
天使だって

あなたは屋根のある場所で
濡れた私をどう見るの

きっと悲観に陶酔しているとでも
感じているのでしょう

眼鏡に付いた雨粒のせいで
あなたの心が読みきれない

私は靄と雨粒の隙間から
駅の改札口に向かうあなたに
軽く手を振った

大きく手を振ったのなら
天使に居場所がばれちゃうから

だんだんと胸が苦しくなったのは
ここが水の中だから

溺れないよう
息継ぎしなくちゃ

ぷしゅー

いいなと思ったら応援しよう!