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詩集 幻人録

322
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2024年11月の記事一覧

詩/星間遊泳

詩/星間遊泳

月が泳ぐ

漆黒の海のなか

溺れない様に

少し欠けながら

追いかけた

夢中で

星屑が頬に当たる

うまく泳げない私

月に離される

彷徨った冷たい夜

息継ぎは白い息

高鳴る胸の鼓動が

アスファルトを遠ざける

白い浮雲が

海月の様に刺す

痛みなら

柔らかな言葉だけで包んで

そっと朝を待っている

あなたの家の上空を

泳いで通り過ぎていく

夢の中で逢いましょう

眩む程

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詩/岩壁への旅

詩/岩壁への旅

私は地べたを這いつくばって
自由の海に辿り着くまで
ぴちゃぴちゃ跳ねる魚でしかない

泥に塗れた鱗が剥げて
汚い聲を吐きながら
生命の起源を感じる他ない

死神のマントの様な暗がりが
襲いかかっても先にある
小さな灯台の灯を胸に

真っ直ぐに跳ねるしか道はない
邪念は工夫の産物で
今の私には遠い価値

ただひたすらに
ただひたすらに

抗うのは墓石の刻印
広大な海の音が
ざざざと尋ねてくるまでは

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詩/微笑の子

詩/微笑の子

感じるほどに

熱い微熱

包まれたなら

あなたの香り

水平線の向こう側

眩しい夕凪が

湖のほとりに佇む

新たな心の悲哀

くだらない秘密の片隅に

薄れない微笑みが

しがらみの中に落ちてく

まだ見ぬ子の微笑

伝えたい言葉の色が

崩れ落ちない様に

瞬きの中に閉じ籠める

嘘のない涙の丘

狼狽えないでいて

本にはならない人生の

心を聴いてほしい

暗闇の様な暖かさ

薄れな

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詩/どんよりとした世界を遮る

詩/どんよりとした世界を遮る

ダイヤモンドの様な聲

どんよりした世界に生きる

あなたの聲が暗がりを

乱反射した光の屈折

私からの贈り物

あなたの首元にダイヤモンド

それはあなたを強くする

それはあなたと共に生きると

願った私の想いの塊

強く握った手と手が今

熱く火照って繋ぎ止める

新しい輝きは

どんよりとした世界を遮る

あなたと私の光り方

きっと見つける慕情の横顔