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採用担当者が知っておくべき「労働法」に関する基礎知識

こんにちは、「WaCCa(ワッカ)の人」です。

採用活動において、募集~書類選考~面接~内定・入社に至るまで、様々な法律による規制があるため、採用担当者はそれらの法律をよく理解し、法令遵守が求められます。
今回は、採用担当者が知っておくべき労働法には、どのようなものがあるのか各種法令について、紹介します。


労働法とは

労働法という言葉を耳にしたことはあるかと思いますが、実は労働法という名称の法律は存在しません。
労働に関する法令の総称として、一般的に労働法と呼んでいます。
代表されるのは、主に労働三法とされる「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」です。
上記以外にも採用担当者が知っておくべき労働法は多岐に渡り、通常業務を対応する中、労働法関連の法改正の情報収集および対応をしていかなければいけないのは大変です…

★労働法の背景★

労働法とは、労働者の権利や労働条件の保護・向上を目的とした法の総称であり、資本主義の発展に伴って、労働者と使用者の間に生じた力の不均衡や搾取を是正するために生まれました。

雇用する会社側と、雇用される社員側は、対等の立場で労働契約を締結するのが本来の在り方であり、具体的な労働条件や働き方についても双方の合意が必須ですが、実際には雇用する会社側がどうしても立場上強くなってしまうことから雇用される社員側を守るために生まれたのが労働法になります。


採用担当者が知っておくべき主な労働法

採用担当者は、採用活動において求人票に明示しなければならない労働条件を記載しなかったり、面接で禁止されている質問をしてしまったりとあらゆるシーンで知らず知らずのうちに法律に違反してしまうリスクがあります。
今回は主に下記の法令についてのポイントを押さえておくようにしましょう。

★労働基準法★

労働時間、賃金、休日などの労働条件の最低限守られるべき基準を定めた法律です。
主に下記について定められています。

  • 労働条件の明示義務(第15条)
    労働契約を締結する際に、賃金や労働時間などの主要な労働条件を書面で交付しなければなりません。

  • 賠償予定の禁止(第16条)
    労働契約の不履行について違約金や損害賠償額を予定する契約をしてはいけません。

  • 解雇の予告(第20条)
    解雇する場合は、解雇日の少なくとも30日前に予告しなければなりません。予告がない場合は、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

  • 賃金支払いの原則(第24条)
    賃金は通貨で直接労働者にその全額を毎月1回以上一定の期日に支払わなければなりません。

  • 労働時間の制限(第32条)
    労働時間は1週40時間、1日8時間以内としなければなりません。ただし、特別な事情がある場合は、労使協定によりこれを超えることができます。

  • 時間外・休日労働の申請ルール(第36条)
    時間外・休日労働をさせる場合は、労使協定を締結し、労働基準監督署長に届出しなければなりません。

  • 休憩・休日・年次有給休暇のルール(第34条~36条・39条)
    1日6時間を超えて勤務する場合は45分以上、8時間を超えて勤務する場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません。また、週1日以上の休日と、勤続6ヶ月以上で10日以上の年次有給休暇を与えなければなりません。

  • 残業時の割増賃金(第37条)
    時間外・深夜・休日労働に対しては、通常賃金に割増率を乗じた割増賃金を支払わなければなりません。割増率は、時間外・深夜が25%以上、休日が35%以上とされています。

また、労働基準法に定められた基準に達していない労働契約は無効となり、悪質な違反の場合には懲役刑や罰金刑が課せられます。(第13条)

★労働契約法★

労働者と使用者の間の労働関係に関する紛争を防止し、労働者の保護を図るために、労働契約について基本的な理念やルールを定めた法律です。
就業形態や就業意識が多様化し、正社員以外にも契約社員やパートタイマーなどが増加し、個別の労働条件を巡る紛争も増加したことから制定されました。
労働契約が労使間の合意により成立する(第3条)の他、労働契約締結の際には、労働条件を書面で交付する(第4条)、労働条件の変更(第9条)、労働契約期間の定め(第14条~第18条)、労働契約の終了(第19条~第21条)などを定めています。

★職業安定法★

労働者の就職や転職を円滑にするために、職業紹介や求人情報の提供などに関することを定めた法律です。
求人等に関する情報において虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を行わないこと(第5条の4)、個人情報の収集の際の目的の明示(第5条の5)、職業紹介事業者のルール(第6~8条)などを定めています。

★労働施策総合推進法(旧雇用対策法)★

1966年に制定された雇用対策法が2018年に改正され、正式名称は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」です。
この法律では、労働者の職業選択の自由や事業主の雇用管理の自主性を尊重し、職業能力の開発や向上を図り、職業を通じて自立しようとする労働者の意欲を高めることなどが基本的な理念として定められています。
国が講じるべき労働施策の内容や方針が具体的に規定されており、例えば、労働時間の短縮や多様な就業形態の普及、職業指導や職業紹介、職業訓練や職業能力検定、職業転換給付金、再就職の援助や促進、女性や青少年や高年齢者や障害者など特定の労働者層の雇用促進、外国人の雇用管理や再就職促進などが定められています。

★男女雇用機会均等法★

職場における性別を理由に差別されることを防止し、男女の均等な機会と待遇の確保を目的とした法律です。
募集・採用時の差別禁止(第7条)、職場内での差別禁止(第8条)の他に、セクシュアルハラスメント防止措置(第11条)、妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置(第11条の2)、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(第9条)などハラスメント防止措置や不利益取り扱いについて規定しています。
例外として、事実上の男女間格差を是正する目的で女性を有利に扱う措置(ポジティブ・アクション)は認められています(第8条)。


最後に

今回ご紹介した主な労働法の他にも、育児・介護休業法や労働者派遣法、労働安全衛生法など知っておくとよりよい法令は多岐に渡り、本記事では代表的な法令を紹介させていただきました。
また、採用担当者は応募者の個人情報の取り扱い(個人情報保護法)にも気をつける必要があります。
労働法は時代に合わせて今後も改正される可能性が高く、情報を見落とすことがないように常にアップデートしていくことが重要です。
法律に違反してしまうと罰則があるだけでなく、社会的信用を失い、今後の採用活動が難しくなるリスクもあり、採用担当者は関連する法律をしっかりと理解し、採用活動を通じて信頼できる企業というイメージアップに繋げていきましょう。

本日はこんなところで。

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それでは!

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執筆 WaCCaの人
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