#8-1 息子への想いが原点。人をつなぎ社会全体の課題解決へー髙橋理里子さん
こんにちは。「ワーク・ライフチャレンジ〜未来をひらく私たちの働き方〜」8話目前編はキャスターからキャリアチェンジをし、現在、企業コンサルタントとしてワーク・ライフバランスに取り組んでいるエピソードをお届けします。
本日は、ミライズ株式会社/代表コンサルタントをはじめとして、様々な分野での委員としてのご活躍の髙橋理里子(たかはし りりこ)さんをお迎えし、福島県よりお送りいたします。
>>後編記事 #8-2 リーダーの「心のスキル」が組織を変える。社会全体のポジティブチェンジの実現ー髙橋理里子さん
自己紹介
──本日お話しいただく高橋さんのプロフィールをご紹介します。
前川 元NHKキャスターの髙橋さんは、現在、企業コンサルタントとして東北地方を中心に人材育成、組織開発、 女性活躍、働き方改革などのコンサルティングを実施されています。
経営戦略としての働き方改革、生産性向上のための組織開発、女性活躍推進、EQリーダーシップなど数々のセミナーを提供され、 福島県介護労働安定センター委嘱キャリアコンサルタント、福島県労働審議会委員、 福島県中小企業復興審議会委員、第6次福島市総合計画策定懇談会委員を歴任。
福島県地域創生・人口減少対策有識者会議委員、 厚生労働省治療と仕事の両立支援推進 福島県地域両立支援推進チームのメンバーとして活動されています。
ワーク・ライフバランスとの出会い
──具体的な髙橋さんの活動内容をお伺いできますでしょうか。
髙橋さん ありがとうございます。今、ご紹介いただいた委員以外にも、最近、福島県教育委員会委員というのも増えました。今はZoomがあるので、東北地方に限らず、全国で活動しておりますが、実際リアルでお伺いするのは、東北地方中心に、行政や法人を対象にした人材育成、組織開発コンサルティングです。
それと、EQというものをベースにしたプログラムなどを提供しています。IQと言われる知能指数に対して、EQというのは、心の知能指数です。耳慣れないかもしれませんが、EQの「E」はエモーショナルと言われているものです。 働く人の感情に注目することで、人と組織の活性化を図るという EQ開発プログラムも提供させていただいています。
前川 ありがとうございます。EQに関しては、私もとても興味があり、また後ほどお伺いしたいと思います。
息子の一番の理解者になるためキャリアカウンセラーへ
── 髙橋さんは元々、キャスターでいらっしゃいましたが、企業コンサルタントにキャリアチェンジされたきっかけを伺いたいです。
髙橋さん はい、そうですね。元々マスコミで長く働いていて、キャスターを経験しました。今でこそ、働き方改革のコンサルをしておりますが、当時は、それを語れない状況でした。
朝、出社をすると、収録をしたり、取材に行ったり、カメラマンと一緒にVTRを撮りに行ったりします。その後にディレクターさんたちとテロップ入れる編集作業があって、気が付くと外が明るくなっているという感じです。「勤務間インターバル」とは無関係な働き方をずっとしていました。
マスコミもNHKだけではなく、ラジオも経験しました。その後、「マスコミ業界は、やりきった」と感じた頃、好奇心もあって、アメリカに行き、帰国後は、フリーアナウンサーとして働いておりました。
ここで、キャリアチェンジの大きなきっかけとなった長男の話になりますが、発達障害であるということがわかったのです。幼い頃から、人見知りの激しい子でした。スーパーに行ってお買い物した時に、ママ友に会ったのですが、息子は私のお尻に顔をぎゅっとくっつけて、顔を見ることができず、ご挨拶できないということが何度もあり、随分と引っ込み思案な子だなと思っていました。
小学校に上がってから、やはり少し周りとの違いを感じ、行政相談などに行ったりしました。アセスメントを受けて、ADHDであろうということが分かり、支援が必要だと言われました。息子は今、25歳で、10年以上前のことで、その頃は、まだ、発達障害に関する理解が、広がっていない時代でした。世の中の認知が低くて、行政支援も、今みたいに手厚くない時代でした。
サポートが、なかなか得られず、将来が不安になりました。親として、どうしていけば良いのだろうと思った時に、様々な方々をサポートするキャリアカウンセラーというプロフェッショナルの資格があることを知りました。
それはバリバリ働いている方だけでなく、障害がある方や悩みをお持ちの方で、女性でも男性でも、若者でもシニアでも、どんな方に対しても、仕事だけではなく、総合的な生き方を含めてのキャリアを応援していくという資格です。
つまり、「私が息子の一番の理解者になって、息子のキャリアカウンセラーになってあげればいいのだ」と思って、勉強を始めたのが、いわゆるこの世界に入るきっかけです。
前川 そうだったのですね。息子さんの「一番の理解者になりたい」という思いから、キャリアカウンセラーの道を選ばれたというきっかけは、大変素晴らしいなと思います。私も5歳の娘がおりますが、子供の存在というのが、人生において大きな意味や転機を与えてくれると思っております。素晴らしいお話をありがとうございます。
ワーク・ライフバランスの取り組み
みんなが元気になるための組織開発
──キャリアコンサルタントから、ワーク・ライフバランスに取り組まれたきっかけをお伺いできますでしょうか。
髙橋さん 「キャリアコンサルタント」がまだ国家資格ではない時代に、厚生労働省から、プロフェッショナル資格であるとのお墨付きだった「キャリアカウンセラー」の資格を取りました。当時は、厚生労働省が認定を出した団体で、取得することができました。
その後に「キャリアコンサルタント」の資格の質を担保するために、国家資格になりました。その時に、いわゆるキャリアコンサルティング技能士の方を勉強して取りました。そのご縁もあって、人材ビジネスの会社に就職して、対人支援を長くやらせていただきました。
いろんな方のキャリア相談を受けて、専門家という立場から、動機付けをしたり、内省を深めたりして、サポートをしました。ですが、サポートしたはずの方が、再び色々な壁にあたって、心くじける出来事が起き、心が折れてしまい、再び、ご相談に来られるのです。
その繰り返しで、「これはもしかして、個人だけに向かい合っても、その受け皿となる会社、組織の方も一緒に変わってもらわない限りは、繰り返しなのではないか」ということに気がついたわけです。結局、ご相談者本人が元気になって戻っても、元気になれない原因がある会社に戻っていくので、繰り返しになるのです。
前川 なるほどですね。
髙橋さん そもそも、元気になれない原因である会社も、なんとかしないとダメですよね。そのままだと、会社も本人も不幸なままだということに、気づき、組織的を応援する勉強もしなければいけないと感じました。
さあ、何を勉強したら良いのだろうと思った時に、たまたま、株式会社ワーク・ライフバランスが開催している、ワーク・ライフバランス養成講座に巡り合いました。受講してみて、今までなんとなく、経験値でやってきたことが、ちゃんと理論付けられて、自分の中でも点としてあった知識などが、線になって、そして面になってきました。
対人支援をやりつつ、組織の方のご支援の必要性も感じていたので、これは組織開発というところにも積極的に踏み込んでいかないと、みんながハッピーにはなれないと感じたところから、ワーク・ライフバランスのコンサルタントをやるようになりました。
前川 ありがとうございます。個人の成長だけではなく、やはり組織全体の意識改革が不可欠であるというお話に、大変共感しました。皆さんが組織外で、リスキリングで学ばれて、会社に戻られても、活かす場がないという話をよく聞きます。その受け皿として、組織全体の意識自体も変わらないと、やはり、気持ちが滅入ってしまうというのも、わかる気がします。
社会課題は全て繋がっている。EQを軸にした取り組み
──髙橋さんは、ワークライフバランスだけではなく、組織開発、人材育成、女性活躍推進、EQ開発など幅広い分野でご活躍されていますが、その中でも特に力を入れて取り組まれている分野をお伺いしたいです。
髙橋さん そうですね。女性活躍やリーダーシップ、アンコンシャス・バイアスなど色々な分野がありますが、私の場合は、社会全体の困りごとを少しでも減らしていきたい、解決のお手伝いをしたいという気持ちがとても強く、特化したプロフェッショナルの部分は、実はありません。
こういうと身も蓋もないのですが、実はコンサルタントになろうと思って、なったわけではないのです。キャリアコンサルタントの資格こそ持っておりますが、困りごとを聞いて、関係性を作り、ご支援をした際に、私が持っているスキルでは、不足している部分があるというのが分かったのです。
もうちょっと深掘りして知識がついたら、よりしっかりとサポートできるのではないかと思った時に、いろんな分野の視点があることを知りました。それがレジリエンスであったり、EQであったりということでした。それを一つ一つ、自分の中に足していきました。
例えば、家を建てる時に、いろんな道具が必要になりますが、金槌や鋸だけでは、家は建ちません。他にも道具が必要ですよね。今は、どの道具が必要か、求められることは何かというのを考えて、道具を出せるような形でお手伝いがしたいと、すごく感じているところです。女性活躍やアンコンシャス・バイアス、D&Iなど、 全ての課題は全部繋がっていると思っているので、私が力を入れている部分をお伝えするとしたら、やっぱりEQかもしれないです。
前川 ありがとうございます。一番始めにも、EQというお話を伺いしましたが、例えば組織内または個人というところで、どういう風に例えばワーク・ライフバランスと繋がっていったかなどの取り組みを、次週お伺いできればと思います。次週もよろしくお願いします。
髙橋さん ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
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株式会社ワーク・ライフバランス
経営戦略としてのワーク・ライフバランス福利厚生の一環ではなく、企業業績向上のために。 現代の社会構造に適応し人材が結果を出し続ける環境を構築する「サスティナブルな働き方改革」のプロフェッショナル集団です。
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大家 三佳
東京在住、京都造形芸術大学卒。子育てをしながら、水彩画、ドローイングを中心に人、食べ物、動物を描くイラストレーター。パッケージやポスター、グッズなど幅広い分野で活躍中。透明感のある優しいタッチで、日常の風景や人物を描く。ペーターズギャラリーコンペ2014 宮古美智代さん賞受賞など。
編集、プロデュース、インタビュー:前川美紀(ワーク・ライフチャレンジ プロジェクト代表/ブランディングディレクター)
note編集:松本美奈子(次世代こども教育コンサルタント/認定ワーク・ライフバランスコンサルタント)
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