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心で楽しむ時間を今過ごせてよかった

かみさんと、久しぶりに美術館へ足を運んだ。
入院を控え、荒ぶる心を鎮めるために。

横尾忠則現代美術館

神戸・王子公園〈横尾忠則現代美術館〉へ。
横尾忠則といえば、世界的な現代アートの巨匠。
兵庫出身という縁だろうか、この神戸に個人美術館がある。

これまでに企画された展覧会を凝縮した「横尾忠則展 満満腹腹満腹」が開かれていた。

絵を描くのは好きだが、正直、美術鑑賞はあまり得意ではない。
でも氏の作品は、失礼を顧みずにいえば、小学生が図工の時間に描くポスター画の延長線上にあって、親しみやすく鑑賞しやすい。
そこかしこにシュールな要素やクスッとする要素、漫画を思わせるような文字が埋め込まれ、そのカオスなパワーに圧倒された。

兵庫県立美術館

山手の〈横尾忠則現代美術館〉から海に向かってひたすらの下り坂は〈ミュージアムロード〉と呼ばれ、突きあたりに〈兵庫県立美術館〉がある。
潮風薫る、海間近の美術館だ。

特別展は「恐竜展」が開かれていた。
化石が発見された19世紀以降、絵画、漫画、玩具などで再現されてきた恐竜を一堂に展示し、化石のない異色の恐竜展と銘打っている。
僕は幼稚園以来熱狂的な恐竜ファンで、この「恐竜展」は楽しみでしかなかった。

19世紀、20世紀、21世紀と恐竜の表現方法、復元方法は大きく変わって、その変遷を辿るだけでも楽しい。

3歳の頃に宝塚ファミリーランドで開催された「ソビエトの恐竜展」(1973年)で親に買ってもらったパンフレットが、ガラスケースに入って大切に展示されていたのも嬉しかった。

正直、美術との向き合い方をよく分かっていないものの、そんな小難しいこと考えず、心で楽しむ時間を今過ごせてよかった。

灘拱橋

美術館から美術館へと坂を下る途中、阪急電車の〈灘拱橋〉をくぐった。

拱橋(きょうきょう)とはアーチ橋のことで、昭和11年に架けられた阪急神戸線の拱橋は、その優美な姿から土木遺産に認定されている。

以前からこの古いアーチ橋の存在は知っていたが、土木遺産に認定されていると知ってから訪れたのは初めてで、その心で見ると、斜行する幹線道路を跨ぐ拱橋はねじれて見え、エロチック。

焼き鳥

美術館のはしごを終え、子供たちを呼び寄せて三宮の焼き鳥屋で飲む。

ちょうど帰ってきていた娘、部活のなかった息子。
前まで「ウーロン茶!」と言っていた娘ももう「チューハイ!」

せせり、ズリ、ハツ、ネギ身、皮、レバー…
店の炭火焼は家のグリルで焼くのとは明らかに違い、プリプリでうまい。

入院までに飲むのはおそらくこれが最後だろう。
そう思ってたくさん飲むつもりだったが、食が細ったのか嗜好が変わったのか、ビール2杯、焼酎1杯だけでもうたくさん。
いや、娘との飲みに感極まったというのはここだけのナイショだ。

(2023/3/20記)

チップなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!