そばなのにナイフとフォークを使って食べるハイカラ感
久しぶりにキッチンに立った。
最後にちゃんと立ったのは熱を出す前だから、およそ1か月ぶりになる。
以前からずっと作ってみたいと思っていたものがあった。
そば粉のガレットだ。
それにはそば粉がなければはじまらないが、常備しているはずもない。
いつものスーパーに行くが、需要がないのかそこにはなく、少し先にある高級スーパーまで歩き、真っ白の美しいそば粉を手に入れた。
そば粉を使うのは初めて。
本音はそば打ちをやってみたいが、繊細な水分量、すり方、こね方、練り方など、いきなりはハードルが高すぎる。
簡単というそばがきや、そばの雑炊や粥は好んでは食べない。
となると、やっぱりガレットだ。
あぁ、グルテンフリーのそば粉の使いやすさよ。
水と塩を加えて混ぜ合わせるが、小麦粉と違って、ホイッパーでどれだけ激しくグルグルやっても粘ることがない。
ダマにもならず、きれいにタネを作ることができた。
冷蔵庫で数時間寝かせる。
油を薄くひいたフライパンにタネを落とし、丸く広げて中火で数分。
クレープのように具材を巻く場合は両面焼くが、裏返す際、ポソポソとちぎれやすい。
あぁ、グルテンフリーのそば粉の使いにくさよ。
一部に穴を開けながらもなんとか両面を焼き、レタス、スモークサーモン、プチトマトをくるくるっと巻いた。
一方、定番の卵やハム、チーズを載せて蒸し焼きにするガレットは、裏返さなくていいから作りやすい。
さっと茹でたホウレン草も固く絞って載せた。
ある程度火が通ったら、丸い生地の4か所を折り込んで正方形に仕上げる。
できあがり。
なんとなく身体にいいものを食べているという安心感。
そばなのにナイフとフォークを使って食べるハイカラ感。
うまいのはうまい。
作ってみて楽しかった。
でもやっぱりズルズルッとすするそばのほうがいいな。
***
日本では、そばは縄文時代にはすでに食べられていたという。
痩せた土地でも育って庶民の暮らしを支え、今や信州名物であり、江戸名物でもある。
世界的にもそばを常食する地域は多く、代表的なのは朝鮮の冷麺、露のカーシャ、そしてフランスのガレット。
そば好きとして、ガレットは一度作ってみたかったものの一つだ。
次はやっぱりそばを打ってみたい、かな。
でも…この歳になるとそば打ちに惹かれる男が多いのはなぜだ?
(2022/12/7記)