キラッと光る魔法を小指に
ピンキーリングを買った。
前に買ったものは数百円の安物だったので、すぐに塗装が剥げてしまっていたから新しいものが欲しかった。
お店でいくつかはめてみて、1番指が華奢に見えるデザインを選んだ。長年鍵盤楽器をやっていた名残で、私の指は関節が大きい。
これまでリングといえば、恋人とつけるペアリングくらいしかしたことがなかった。指、というか四肢が大きいことがコンプレックスだったから。大きさが強調されるのではないかと不安だったのだ。けれど初めて買ったピンキーリングは、思った以上にすんなりきた。
不思議な感覚だった。
私が付けたって似合わないから、と思わなかったのだ。
別に指が細くなったわけでもない。
でも、なんとなく今なら付けてもいいかもと思えた。
それからは時々つけている。
実はつけ始めの頃、男友達にちょっとだけからかわれた。ニヤニヤしながら、願掛けでもしてるの?って。
ただ可愛いから付けてるだけだよって笑ったけど、内心ドキドキしていた。似合わないって思われてるかも、と思ってしまったから。
急に恥ずかしくて外したくなった。
でも、外さなかった。
今ここで外したら、もう一生つけられないかもと思ったから。(一生は言い過ぎかもしれないけど)
それは嫌だと思った。
多分その意志が顔に出てたからか、友達はそれ以上何も言わなかった。
正直いえば、今でも細くて華奢な指に憧れる。
更に言うなら色が白かったらいいのになとも思う。
でも、身長に対して大きくてしっかりしたこの手のおかげで、ピアノもバスクラもベースも演奏するのに困らなかった。
いいこともあったなと今は思う。
好きかと言われたら好きとまではいかないけど。
でも、それでいいと思う。
自分の全部を愛する必要なんてない。
それによく見れば私の指にもあうリングはあったのだ。
そのことがとても嬉しかった。
華奢な人じゃなくたって、大丈夫だった。
多分この先もまた、可愛いと思えるものに出会えると思う。そうやって少しずつ選択肢を増やしていく過程が好きだ。
アクセサリーを飾るコーナーが華やかになるのを見ながらニコニコしている。
あの時リングをはずさなかった私、グッジョブ。
そのお気持ちだけで十分です…と言いたいところですが、ありがたく受け取らせていただいた暁にはnoteの記事に反映させられるような使い方をしたいと思います。