私はかつてメイちゃんでサツキちゃんで、そして今は
いつからだろう。
となりのトトロでこんなに泣くようになったのは。
となりのトトロ自体,もう何回見たのかわからない。
サツキちゃんを友だちのみっちゃんが迎えにくる場面なんて,セリフを完璧に再現できる。大学生の頃,トトロのセリフ再現ゲームなんてものをしていたこともあった。
ただ,以前はただただトトロかわいいな,とか面白いなくらいの感想だったのにいつのまにかすっかり変わってしまったことがある。
初めてみたときはメイちゃんと同じくらいの歳だったのに,気づいたらサツキちゃん,そして今はお父さんお母さんと同世代になってしまった。
だからなのか,もう何を見ても泣けるのだ。
メイちゃんのくるくる変わる表情で泣き,サツキちゃんが健気でまた涙が出てしまう。この調子じゃ,カンタのおばあちゃん世代になった時には,メイちゃんを見ただけで泣けるのではないだろうか。
本当になんでもないところで,胸がいっぱいになる。
お母さんに髪をといてもらうサツキちゃんの嬉しそうな顔もたまらない。
小学校まで来てしまったメイちゃんのギリギリまで我慢したんだろうなという涙が溢れた表情を見たらこちらも思わずもらい泣きしてしまった。
もはや何の涙なのかわからないまま,終始1人ボロボロ泣いて笑っていた。
可愛がっているいとこの子を見てる時のように,終始目尻が下がってニコニコしたり泣いたり中々に忙しい。
私はかつてメイちゃんだった,そしてサツキちゃんだったから。
どちらの気持ちもよくわかる。そして大人になった私が,2人ともまだまだお母さんに甘えたい年頃なんだよな,と今度はお母さんの気持ちになって泣いていた。
決して明るい楽しいだけのストーリーではないが,出てくる人が皆優しくて,トトロや猫バスがいて,見終わった頃にはぽかぽか温かい気持ちになっていた。やっぱりジブリはすごい。
♦︎
子どもの時にだけ,訪れるはずの出会いを何度も,何度も見ることができて本当に幸せだ。私はトトロと出会えないまま大人になってしまったけれど,この先も何度だってトトロに会えるなら,それはそれでいいやと思う。
でもやっぱり,いつかトトロに会えたらいいなぁ。