感謝日記 十二がつ三〇にち 『「ベートーヴェン交響曲第九番」と生のフロイデ(喜び)』

おはようございます。

今日は28日に聴いてきた「第九」について書こうと思います

クラシックを生で聴くのは実は大学以来だ

あれも年末だったと思う

映画を撮るという夢を追いかけていたあの頃

受験時代の孤独と責務の大波を何とか乗り越えた

二浪を含めるとどれくらいの年月を受験に費やしたのだろう

やり続けたかった部活も辞めた

青春を失った

劣等感が勝り、将来の理想像になるために色んなものを犠牲にしたのちの大学時代

あらゆる芸術に触れた

油絵教室に通い、1日5本は映画を見た

ヘッセ、ゲーテ、サルトル、バルト、ドストエフスキー、トルストイ、バルザック、ユーゴー、スタンダール、黒澤明、タルコフスキー、ベルイマン、ヴェンダース、ユトリロ、ゴッホ、ルノワール、漢詩、能、聖書、ギリシャ神話

数え切れない多くのものを吸収した

クラシック音楽もその一つだ

図書館で多くのクラシックCDを借りて一日中流していた

田舎の小さなホールに出来るだけ詰め込んだ、演奏家と後ろには合唱隊

彼らが表現したものは正に芸術だった

地球を離れてどんどん未開の銀河の果てに行くような孤高の芸術ではなく、私が求めて止まない人間にも根ざした、我々のための真の芸術だった

コントラバス、チェロの低音は「死」「苦」「辛」の音色

どこまでもこの不安がついてくるかのような振り払えないかと思えるような苦しみを表現していた

そこにバイオリンやフルートの、希望の光を差すような高音が、「死」の氷に小さなヒビを入れるようにノックする

やがてその希望の光量は増していき、分厚い氷が瓦解し始めようとする

まずは独唱が聴こえる

「大丈夫ですか?」と駆けつけた屈強な救援の男に、人の声に安心するのだ

孤独に打ちひしがれている人間に差し伸べられた手

そして独唱の女性のソプラノ歌手に癒やされる

「もう心配ないですよ」と心を支えてくれる

段々と人の声が増えていき、ああ、助かったのだと思う

ブリューダー(兄弟)が来た

そして演奏と合唱はMaxを迎える

フロイデ(喜び)だ!

私は涙を流す

これまでの自身の辛さと友の苦しみを思った

そうすると何だか涙が出てきた

正装した演奏家たち

白黒統一された正装はバックに居並ぶ多くの「顔」が浮かび上がっている神秘的な絵だ

それぞれの人生を背負って来た「顔」「皺」「髪の痛み」は同罪で死に裁かれる予定の私と同じ身の者たち、愛すべき隣人、兄弟(ブリューダー)たちだ

公演が終わり、第九について調べてみる

日本人に取っては平和への祈り、願いが託されているという

日本の誇るべき行事だと私は思う

これは精神的な「炊き出し」なのだと思う

隣人を見ようとしない、見ようとすることができなかった無関心から関心、慈愛へ導く崇高な伝統だ

私たちにはブリューダーが必要なんだ

生のフロイデ(喜び)で今年を洗い流すお掃除

また新たな年を大理石で敷き詰められた更地で始めるための回復と復活

不死鳥を癒やす火、それがフロイデ。

演奏をやり終えた安堵にそれぞれの笑顔が浮かんだ

指揮者の満遍な笑顔な表情

人間はこれほどまでに高次元にたどり着く可能性を持っていたんだ

生きていて良かったと思える

ありがとうございます、兄弟たち!




歓喜の歌(日本語訳)

歓喜よ、美しき神々の火花よ、

楽園より来たる乙女よ、

われらは熱き心で

その聖なる領域に足を踏み入れる。

あなたの魔法は再び結びつける

分かたれしものすべてを。

すべての人々は兄弟となる、

あなたの優しき翼のもとに。


幸運を掴みし者よ、

真の友を持つ者よ、

愛する伴侶を得た者よ、

共に歓喜を歌おう。

たとえ一人でも心を分かつ者がいれば、

それはこの輪から涙を流し去るべきだ。


自然の胸から歓喜を飲むのは

すべての生き物。

善き者も、悪しき者も、

その薔薇の道をたどる。

彼女はわれらに口づけと葡萄を与え、

友と死に際の試練をも授けた。

歓喜は虫にも与えられ、

天使は神の御前に立つ。


兄弟たちよ、星々の彼方で、

愛しき父が住まうのを感じよう。

そこに向かい進もう、英雄のように、

勝利を目指して喜びの中を。


抱擁せよ、幾百万の人々よ!

この口づけを全世界に!

兄弟たちよ、星空の彼方に

愛しき父が住まわれる。

世界よ、あなたも創造主を感じるか?

星空の彼方にそれを求めよ、

星々を超えて彼が住まうのだから。



(ドイツ語、読み、日本語訳)

Freude, schöner Götterfunken

フロイデ、シェーナー ゲッターフンケン

歓喜よ、美しき神々の火花よ、


Tochter aus Elysium,

トホター アオス エリズィウム

楽園より来たる乙女よ、


Wir betreten feuertrunken,

ヴィア ベトレーテン フォイヤートルンケン

われらは熱き心で


Himmlische, dein Heiligtum!

ヒムリッシェ、ダイン ハイリヒトゥーム

その聖なる領域に足を踏み入れる。


Deine Zauber binden wieder,

ダイネ ツァオバー ビンデン ヴィーダー

あなたの魔法は再び結びつける


Was die Mode streng geteilt;

ヴァス ディー モーデ シュトレング ゲタイルト

分かたれしものすべてを。


Alle Menschen werden Brüder,

アレ メンシェン ヴェアーデン ブリューダー

すべての人々は兄弟となる、


Wo dein sanfter Flügel weilt.

ヴォー ダイン ザンフター フリューゲル ヴァイルト

あなたの優しき翼のもとに。



---


Wem der große Wurf gelungen,

ヴェーム デア グローセ ヴルフ ゲルンゲン

幸運を掴みし者よ、


Eines Freundes Freund zu sein,

アイネス フロインデス フロイント ツー ザイン

真の友を持つ者よ、


Wer ein holdes Weib errungen,

ヴェア アイン ホルデス ヴァイブ エルルンゲン

愛する伴侶を得た者よ、


Mische seinen Jubel ein!

ミッシェ ザイネン ユーベル アイン

共に歓喜を歌おう。


Ja, wer auch nur eine Seele

ヤー、ヴェア アオホ ヌア アイネ ゼーレ

たとえ一人でも心を分かつ者がいれば、


Sein nennt auf dem Erdenrund!

ザイン ネント アオフ デム エアデンルント

それはこの地上で魂を持つ者だ。


Und wer’s nie gekonnt, der stehle

ウント ヴェアス ニー ゲコント、デア シュテーレ

そしてそれを成せない者は、


Weinend sich aus diesem Bund!

ヴァイネンド ズィヒ アオス ディーゼム ブント

涙を流してこの輪から去るべきだ!



---


Freude trinken alle Wesen

フロイデ トリンケン アレ ヴェーゼン

歓喜を飲むのはすべての生き物、


An den Brüsten der Natur;

アン デン ブリュステン デア ナトゥーア

自然の胸から。


Alle Guten, alle Bösen

アレ グーテン、アレ ベーゼン

善き者も、悪しき者も、


Folgen ihrer Rosenspur.

フォルゲン イーラー ローゼンシュプール

その薔薇の道をたどる。


Küsse gab sie uns und Reben,

キュッセ ガープ ズィー ウンス ウント レーベン

彼女はわれらに口づけと葡萄を与え、


Einen Freund, geprüft im Tod;

アイネン フロイント、ゲプリューフト イム トート

そして死の試練を耐えた友を与えた。


Wollust ward dem Wurm gegeben,

ヴォルルスト ヴァルト デム ヴルム ゲゲーベン

歓喜は虫にも与えられ、


Und der Cherub steht vor Gott!

ウント デア ケルブ シュテート フォア ゴット

天使は神の御前に立つ。



---


Froh, wie seine Sonnen fliegen

フロー、ヴィー ザイネ ゾネン フリーゲン

太陽が空を翔けるように喜び、


Durch des Himmels prächt’gen Plan,

ドゥルヒ デス ヒムルス プレヒトゲン プラーン

天の壮麗な秩序の中を。


Laufet, Brüder, eure Bahn,

ラウフェト、ブリューダー、オイレ バーン

進め、兄弟たちよ、自らの道を、


Freudig, wie ein Held zum Siegen.

フロイディヒ、ヴィー アイン ヘルト ツム ズィーゲン

勝利へ向かう英雄のように喜び勇んで。




(ドイツ語のみ)

Freude, schöner Götterfunken

Freude, schöner Götterfunken,

Tochter aus Elysium,

Wir betreten feuertrunken,

Himmlische, dein Heiligtum!

Deine Zauber binden wieder,

Was die Mode streng geteilt;

Alle Menschen werden Brüder,

Wo dein sanfter Flügel weilt.


Wem der große Wurf gelungen,

Eines Freundes Freund zu sein,

Wer ein holdes Weib errungen,

Mische seinen Jubel ein!

Ja, wer auch nur eine Seele

Sein nennt auf dem Erdenrund!

Und wer’s nie gekonnt, der stehle

Weinend sich aus diesem Bund!


Freude trinken alle Wesen

An den Brüsten der Natur;

Alle Guten, alle Bösen

Folgen ihrer Rosenspur.

Küsse gab sie uns und Reben,

Einen Freund, geprüft im Tod;

Wollust ward dem Wurm gegeben,

Und der Cherub steht vor Gott!


Froh, wie seine Sonnen fliegen

Durch des Himmels prächt’gen Plan,

Laufet, Brüder, eure Bahn,

Freudig, wie ein Held zum Siegen.


Seid umschlungen, Millionen!

Diesen Kuss der ganzen Welt!

Brüder, über’m Sternenzelt

Muss ein lieber Vater wohnen.

Ihr stürzt nieder, Millionen?

Ahnest du den Schöpfer, Welt?

Such’ ihn über’m Sternenzelt!

Über Sternen muss er wohnen.




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