【ふるさとを語る】高知県西部を流れる四万十川中流が私の ふるさと
私の故郷は、高知県の西部地域を流れている四万十川の中流域で、四万十市西土佐岩間というところです。
四万十川には沈下橋といわれる欄干(らんかん)のない橋が60以上ありますが、そのうち市町の道路・農道・林道台帳に記載され管理者がはっきりしているものは、本流に22橋、支流に26橋の合計48橋です。
沈下橋は、自然と調和した構造物として、風光(ふうこう)明媚(めいび)な四万十川の魅力を形作っている重要な生活文化遺産として原則保存されることとされています。
高知県では1998年7月に「「四万十川沈下橋保存方針」が策定されました。
その内容は沈下橋について、
・沈下橋は生活・文化・景観・親水等の観点から重要な役割を担っている。
・防災上、維持管理上支障のない沈下橋は保存を基本とする。
・生活道に加え生活文化遺産として後世に引き継ぐ。
とされ、四万十川の沈下橋は、重点的に保存・維持管理の方針がとられることとなりました。
沈下橋は、増水時に川に沈んでしまうように設計された欄干のない橋です。
橋に欄干があると増水時に橋が水面下に没した際に、上流から流れてきた流木や土砂が橋桁に引っかかって橋が破壊されるおそれがあります。
また、川の水がせき止められ洪水になることも予想されます。
沈下橋に欄干がないのはこれらのことを防ぐためです。
四万十川本流には22か所の沈下橋が架かっていますが「岩間の沈下橋」はこれらの沈下橋の中で一番のフォトスポットとして紹介されている橋です。
この橋は昭和41年に架かった橋です。
橋が架かる前は対岸の地域に行くためには、舟の魯(ろ)を漕(こ)いで渡るしか交通手段がありませんでした。
橋が架かってからは、両地域の交通環境は格段に良くなり、橋からの景観も良いことから観光客も全国から訪れるようになり、過疎化に悩む地域の活性化に一翼を担う場所となっていました。
ところが、橋建設から51年経った、2017年11月に突然橋桁(はしげた)の一部が腐食(ふしょく)して落下してしまって通行不能となってしまいました。
市の予算の関係から早急な復旧は望めなかったのですが、市役所に全国の方々から橋の復旧を願った寄付やメッセージが寄せられてきました。
全国の方々からの寄付のおかげで予算に目途がついて復旧工事が早急に行われ、2021年4月に橋桁(はしげた)落下から3年5か月ぶりに全面復旧できました。
全長120メートルの橋の上からは、四万十川が大きく蛇行し、水中に泳いでいる魚も見えるほど清らかな川面に、青々とした空の色と山々の緑色を映した絶景を楽しめます。
橋が架かっていない時代の夏祭りには、お互いの地域の神社に祀られている男の神様と女の神様の神輿を担いで川の中に繰り出して、川の真ん中でぶつけ合うという勇壮な祭事があり、子供ながらに楽しんだことが思い出されます。
その神社は岩間天満宮です。
岩間天満宮は永承元年(西暦1046年)九月二十五日、筑前太宰府より勧請(本祀(し)の社に祀られている神の分霊を迎えて、新しく設けた分祀の社殿に迎え入れて祀ること)との伝承があります。
この時代は現代から980年近くも前の平安朝末期で各地に武士の勃興(ぼっこう)をみつつあった時代です。
岩間天満宮の夏祭りには岩間舟遊参(いわまふなゆさん)と呼ばれる行事が行われます。
以前は岩間と対岸の茅生(かよう)集落から双方の神社から神輿を担いで四万十川の真ん中でぶつけ合う神事でしたが、現在は、2艘(そう)の川舟に載せられた神輿が、四万十川の岩間沈下橋をくぐって下り、対岸の茅生(かよう)集落の川原にゆき、川原で神事を行います。
開催日:7月第4日曜日
また、国道の四万十川沿いにある無料駐車場には歌手の三山ひろしさんが歌った「四万十川」の歌碑があり、駐車場からは四万十川のゆったりとした流れが望めます。
駐車場には小さなお店「四万十茶屋」があり、四万十の工芸品や田舎寿司など地元の手作り弁当や、野菜、果物などを販売しています。
店内での飲食は出来ませんが、店の入り口のベンチの利用や 駐車場には岩間沈下橋の落下した橋げたの一部を長椅子として使用しています。
四万十川を見晴らせる良い場所ですから、この長椅子に腰かけてお弁当を召し上がってはいかがでしょうか。
四万十茶屋
営業期間:通年
営業時間:8:00~16:00(閉店、火~木曜は10:00~15:00)
休業日:月曜
料金:菜の花ふりかけ=200円/四万十バーガー=400円/ぼたもち=200円/
駐車場:あり | 台数:20台 | 無料
四万十川では、アユ、うなぎ、川海老、カニ、ゴリなどの川魚が豊富で日本の河川では珍しくなった川漁を専業としている川漁師さんがいます。
四万十川の天然うなぎの漁期は4月1日から9月30日の日没までです。
漁の方法は伝統の「はえ縄漁」「ころばし漁」「石ぐろ漁」という漁法でおこなわれます。
①延縄漁(はえなわりょう)とは、1本の長い縄(幹縄)に取り付けた多数 の縄(枝縄)に釣り針をつけ、一定の水深に敷設する漁法です。
②コロバシ漁とは、餌を入れた仕掛けを水中に浸け、ウナギやテナガエビ類を誘導して捕獲する漁法です。
③石黒漁(イシグロ漁)とは、川底に穴を掘り、そこに石を積み上げてウナギの隠れ家を作っておき、干潮にかけて漁を行う漁法です。
天然ウナギは身がふっくらとして濃厚で、脂が乗っており絶品と言えます。
四万十川の天然鮎は、四万十川のコケを食べて成長した鮎です。
豊かな風味・味が詰まっていて濃い味ですが、臭みや雑味がありません。
別名「香魚」とも呼ばれ、四万十川の天然アユはほのかに、スイカのような爽やかな香りがするのが特徴と言えます。
また、四万十川では川海老も獲れます。
川海老は雄のハサミが体長を超えるほど長いので「手長エビ」という名前が付けられています。
体長は9センチほどですが、カルシウムやタンパク質も豊富で栄養満点です。
四万十川の川海老は、その大きさと食感がプリプリとしており、香ばしさで人気があります。
さらに、四万十川には、モクズガニ(ツガニ)と呼ばれるカニが生息しています。
私たちの地域では「ガネ」とも呼んでいました。
味は海のカニよりも濃厚な味わいが特徴で、特にカニミソが美味しいです。
また、ゴリと言ってハゼに似た小さな魚もいて、名前の由来は「どんなに泳いでも一生に五里しか泳げないだろう」とその名が付いたといわれています。
四万十川の栄養豊かなコケを食べているゴリは空揚げ、佃煮、卵とじなどでその味を楽しむことができます。
夏になりますと約8キロ上流から岩間の沈下橋を終点としてカヌー体験を楽しむこともできます。
国道沿いの駐車場下の四万十川には屋形船もあり、川遊びを楽しむことができます。
また、過疎地ですから夜間の照明も少なく、晴れていれば満天の星を観賞することもできます。
岩間周辺の食堂やカヌー体験施設、宿泊施設を紹介します。
カヌー館
カヌー館では、初心者向けのカヌー教室があり、インストラクターの指導で半日コースと1日コースの基本講習を受けることができます。
館内では、世界のカヌーも展示しています。
川の駅でもあり、四万十川りんりんサイクルも行っています。
また、観光遊覧船、キャンプ場、ログハウス、貸し切り宿などの設備があり、カヌーだけでなく遊べて泊まれる施設です。
〒787-1603 高知県四万十市西土佐用井1111-11
TEL 0880-52-2121 FAX 0880-52-2424
食 堂
喫茶一新
岩間の沈下橋のすぐそばで、テラス席からは絶好のロケーションです。
料金もリーズナブルです。
住所:四万十市西土佐岩間112
営業時間:飲食店に直接ご確認ください
定休日:火曜日
電話番号:0880-54-1105
中華そばKobi
中華そばKobiは2020年2月 築70年近い古民家を改装して開店しています。
店主は
「中華そばKobiの中華そばは、特徴のある素材を使った斬新な中華そば!…ではなく、ごく普通の中華そばです。
ただ…普通の中華そばであって「シンプルだけど…何かおいしい!」「あっさりしているけど…奥深い味!」と思っていただける一杯を追い求めています。」
と店を紹介しています。
現在では日曜祭日の休日には遠方からも訪れる人気店となっています。
ラーメンにイタドリが添えられています。
住所: 〒787-1321 高知県四万十市西土佐岩間305−6
電話なし
定休日 毎週火曜日・水曜日
営業時間 11:00~13:00
いわき食堂
座敷から四万十川を眺めながら四万十川でとれたウナギ、テナガ海老、アユの塩焼き、ゴリ丼などの味覚を堪能することができます。
この店はもう何十年も前からやっていて、いつも地元の人たちでにぎわっています。
最近は、他県や県内の遠方からも訪れるお客さんが増えて、休日などは外で待たなければならないこともあります。
住所:四万十市西土佐津野川647-5
営業時間:08:00~20:00
定休日:第1・第3 日曜日
電話番号:0880-52-1172
※営業日、営業時間が異なる場合があります。
詳しくは飲食店に直接ご確認ください。
道の駅よって西土佐
道の駅 よって西土佐は、高知県四万十市にある国道441号の道の駅です。
中にある食堂のメニューの中で四万十牛の「牛すじ丼」が人気です。
〒787-1601
住所:高知県四万十市西土佐江川崎2410-3
営業時間:7:30~18:00
※3月~11月の期間は無休
※12月~2月の期間は火曜定休(火曜祝日の場合は営業)
TEL 0880-52-1398
FAX 0880-52-2413
宿泊施設
ホテル「星羅四万十」
自然豊かな環境の中、四万十川を見下ろす高台にあります。
総客室数14室
チェックイン 16:00 / チェックアウト 10:00
※プランにより異なります
大浴場あり、温泉、駐車場あり
アクセス:JR予讃線宇和島駅~JR予土線宇和島駅乗車(窪川)行き(約60分)江川崎駅下車~徒歩(約40分)またはタクシー(約5分)
住所:〒787-1603 高知県四万十市西土佐用井1100
電話: 0880-52-2225
四万十楽舎
廃校になった小学校の室内を宿泊施設として改修された宿泊施設です。
遊んで泊まれる宿泊施設です。
部屋数:全9部屋(和室2部屋、洋室7部屋)/最大人数:45名
2F部分の1年〜6年教室、保健室、放送室、校長室となっています。
お風呂、食堂、トイレ、洗面所、冷蔵庫などは、共用となります。
テレビやラジオはありません。
全館インターネットが無線LANで使用できます
住所:〒787-1323 高知県四万十市西土佐中半408−1
電話: 0880-54-1230
屋形船業者
①川の駅 カヌー館
※現在休止中
(0880)52-2121
四万十市西土佐
要事前予約
②なっとく
(0880)38-2918
四万十市田出ノ川
定期船あり
(0880)38-2000
四万十市三里
定期船あり
090-5147-4023
四万十市佐田
随時運航
090-9458-3644四万十市入田平元
定期船(要連絡)
※名称をクリックしていただければ各屋形船の詳細が表示されます。
最後に
私の故郷は過疎地でバスも一日に数本しかありません。
さらに近くの駅で営業していたタクシーも営業を止めています。
そのため、自家用車を利用するしかありません。
しかし、それだけ自然が豊富でゆったりと流れる時間を楽しむことができるのではないかと思っています。
今年の夏の予定にぜひ四万十川観光を計画していただき、ゆったりとした流れの中に浮かぶ屋台船の上から、青々とした空の色と山々の緑色を映した絶景を眺めながら、天然の鮎、うなぎ、カニ、ゴリなど四万十川ならではの豊富な味に、舌つづみを打ってはいかがでしょうか。
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!