【テツガクの小部屋 番外編】アリストテレス 形相と質料について 補足
形相(希 eidos, morphe, idea 英 form)例えば、材木が家という存在の質料あるいは素材とすると、「家」の概念にかなった構造上の形や機能はその形相である。このような意味の形相は、例えば家を家以外のものから区別する、家本来の特色であり、大工が家を建てるにあたって心に思い浮かべる模範でもあり、同時に建築という行為が達成すべき目的でもあるから、形相は本質(ウーシア)などの言葉と同義に用いられる。
質料(希 hyle 英 matter)上の例でいう、素材に当たるのが質料。形相と質料は相関的に使われる。他の例で別の観点から見てみると、例えば水が水蒸気に変化したという場合、それは万物の基礎にある質料が「水」という形相を失って「水蒸気」という他の形相を得たと解される。質料はこのように、生成変化の根底にあってさまざまな形相を受け入れる基体として、生成や消滅の説明原理ともなる。
形相因(英 formal cause)形相は「ものをまさにそのものたらしめるもの」として、ある意味で一つの原因と考えられるが、このように、形相が原因として考えられる場合、これを形相因といい、質料因、作用因、目的因と並んでアリストテレスの4原因をなす。
※余談 ものはなんであるかという問いに対し、その質料あるいは素材(骨・肉・あるいはそれを構成する細胞や原子など)をもってこたえる、素材中心の立場を、唯物論という。
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