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テツガクの小部屋27 アリストテレス⑤

・アリストテレスの構想する世界構造
一切の頂点に存在(ある)がある。存在は一切の類種の関係を超越し、最高の類であるカテゴリーすら超越する。「存在は類でない」というのはアリストテレスの重要な発見である。存在は10のカテゴリーに分割されて、はじめて具体的な内容を得る。存在とカテゴリーは類比の関係によって結ばれている。そして一切のものは類種の関係によって各カテゴリーのもとに下属する。それぞれ普遍から個物にいたるまで類と種の関係によって下属する。最高の類が各カテゴリーであり、最下の種が個物である。

・不動の動者
アリストテレスの神学は目的論が神学化されたものである。行為にはすべて目的がある。散歩は健康のため、健康は労働のため、労働は富のため、富は安寧のため等々というように、目的は上昇系列を問い遡っていく。しかしどこまでも「何のために」と問うことができ、終極が存しないとするなら、すべての目的は空しくなり、目的たるの意味を失う。したがってもはやそれ以上問うことのできない究極の目的がなければならない。これが目的因である。
一切の目的がこの究極の目的にその意味と存立性を依るがゆえに、すべての行為は究極的にはこの目的を目指して進むそれゆえそれは自らは動くことなく、すべてのものを動かす不動の動者であるそれ自身純粋形相であり、思惟であるから、その思惟は「思惟の思惟」である。純粋形相たるこうした目的因をアリストテレスは神と呼んだ

参考文献『西洋哲学史―理性の運命と可能性―』岡崎文明ほか 昭和堂

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アリストテレスは少し駆け足になった感じがありますが、今回で終了。次回からストア派です。




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