キノコの切手と封筒の夢《Dream Diary 20》
xxxx年05月13日(x)
私は封筒の宛名書きをしていた。気が付いたら、住所氏名を封筒の左端の一番上から下までいっぱいいっぱいに書いている。これでは切手を貼るスペースが無い。それなら封筒のど真ん中に貼ってやろうと思い、抽斗から切手のシートを取り出して一枚ちぎろうとした。すると切手のシートから、「ちぎっちゃイヤ!」という声が聞こえて来た。見ると切手に描かれた小ネズミが、赤いキノコの傘を六つ一緒に差して私に訴えている。何て名前のキノコだろう。私はすぐにネットのキノコ図鑑で調べてみた。しかし似たキノコが幾つもあってよく分からない。他の切手からも、「ちぎるんじゃない! ボロは着ててもこころは闇だ。体も闇だ!」という声が聞こえて来た。大昔に何かで読んだフレーズだが‥‥と思いながら声を発した切手を見ると、全身が真っ黒いヤマアラシらしき小動物のシルエットが、黄色いキノコの傘を差している図柄だった。再びキノコ図鑑で調べてみると、沢山あるシメジの一種のようだが正確な名前が分からない。「ぼくは顔だけ闇で傘はダークブルーなの。ちぎっちゃダメ!」という声を発した別の切手では、顔だけ黒くて体は白いモグラみたいな小動物が、紺色のキノコの傘を差している。私はもうキノコ図鑑で調べるのは面倒臭くなった。他にもハムスターだかチンチラだかよく分からない小動物が青紫色の傘を差したり、赤いキノコの傘の上に乗ったりしている図柄の切手があり、「ちぎっちゃダメよ~ん」という歌を合唱している。それらの小動物が正しくは何という名前なのか、動物図鑑で調べるのも面倒臭い。面倒臭くない切手は黄色いエリンギ君、キミだけだ! この切手には「ちぎっちゃイヤ!」などとうるさく言う小動物がいないから、これを封筒に貼ろう。待てよ、その前に住所氏名を別の封筒の正しい位置に書き直そう。そう思った途端、他の切手の小動物達がみんな口を揃えて、「ぼくをちぎって!」と騒ぎ出した。
*【ヘッダ画像に感謝】
「ももろ illustrator 絵本」さんの
https://note.com/momoro66
イラストを夢に紛れ込ませて書きました。
(参考楽曲)
水前寺清子『いっぽんどっこの唄』の出だし
「ボロは着ててもこころの錦」
↓↓↓
「ボロは着ててもこころは闇だ」
確か筒井康隆さんが書いていたw