再生譚
九月がやって来た
本格的な秋はもうすぐだ
コーヒーショップの窓からは
欅と椋木と銀杏の樹が見える
みんな今はまだ緑色だけど
もうしばらくすれば
黄色くなったり紅くなったり
セピア色になったりする
終いには落ち葉になって
風に舞ったり地面を這ったり
だけど長い冬が終わる頃には
また新芽が顔を出してくる
大自然のサイクルってやつだ
噴水の向こう側の
山桃の並木の間に見えている
オフィスビルの外壁も
秋に鮮やかに色変わりした後
だんだん色褪せて干乾びて
街路に剥がれ落ちてゆき
冬には痩せた鉄骨だけになる
風がビュービュー吹き抜けて
雪も舞い込んでくるけど
白梅のつぼみが膨らむ頃には
また幼い皮膚の芽が生えてくる
私と妻とミーちゃんとタッくんと
柴犬トレイシーと黒猫ビクトリアの
秋冬かけての脱皮と春の再生も
これと同じプロセスを辿るけど
この春アマンダお祖母ちゃんだけは
白骨化したまま再生しなかった
出目金のアナベラシオラもだ
このような大自然の神秘について
あれこれ想いを巡らせていると
コーヒーがとても美味しい
( ^^) _U~~
＊マガジン：「コーヒーショップの物語」
