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夏空
遠くの山並みは
ゆっくりと褶曲を続ける
太古の竜の背骨
あの海に浮かぶ島々は
夜半に宇宙から墜ちて来た
小惑星の群れ
だけどその上に
ずっと遠くまで広がる
夏空と
流れて行く雲は
かつて通り過ぎた街と
とうの昔に別れを告げた人達が
ふと振り返って
僕に寄こしてくれた通信だから
遠のいて行く街並みと
後ろ姿の白い肩先に
僕はどうやって
呼びかけたらいいのだろう
川堤の道のつゆ草と
萱の茂みに挨拶をしながら
まだ青い稲穂を波立たせて
風が午後の平野を吹き抜けて行く
風よ 山を越え 海を越えて
あの夏空に囁いてくれ
そうしたら僕の声が
あなたに届くだろうに
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