丸テーブルの美女の夢《Dream Diary 42》
xxxx年06月14日(x)
私は或る建物の中にいた。そこは大勢の人達が談笑しながら食べたり飲んだりしているパーティー会場だった。5~6人が座る丸テーブルが縦横に並んでいる会場を見渡すと、或るテーブルに絶世の美女が一人だけポツンと座っているのが見えた。私は彼女に‥‥
夢日記の記述はここで終わっている。なぜだ。私は彼女に‥‥どうしたのか。私は彼女に近付いて、「あのう‥‥〇〇してもいいですか?」と尋ねたいのだ。しかし実際に口から出たのは、「砂虫とハルコンネンの他はクモに気をつけろ」だった。慌てて私は言い直した。「恐れは閉塞に至る小さな死なり!」。だがこれらは映画『デューン砂の惑星 PART2』の登場人物のセリフだった。私は今、ネットカフェ『快活CLUB』の個室でこの映画を観ながら書いているのだ。しかし一度映画館(IMAX)で観ているし退屈なので、映画を『マッドマックス フュリオサ』に変えてみた。そして私は丸テーブルの絶世の美女に言った。「にしらはろくな銭もねいくせに海だ山だってけつかる、本当にたまげたもんだ」。だが『マッドマックス フュリオサ』にこんなセリフは無く、これはつげ義春の漫画『もっきり屋の少女』の主人公コバヤシチヨジのセリフなのだった。あらためて私は絶世の美女に言った。「とびどぐもたないでくなさい」。だがこれは宮沢賢治の童話『どんぐりと山猫』に出てくる手紙に書かれていた言葉だ。どうしても「あのう‥‥〇〇してもいいですか?」と尋ねることができない。私は個室を出ると、『快活クラブ』のドリンクバーでリアルゴールドとホットコーヒーをそれぞれコップに注ぎ、カップに受けたアイスクリームをトレーに乗せて、個室に戻るなり絶世の美女に向かって言った。「みんなぱらいそさいくだ! おらといっしょにぱらいそさいくだ!!」。だがこれは諸星大二郎の漫画『生命の木』に出て来る善次という登場人物のセリフだった。どうしても彼女に「あのう‥‥〇〇してもいいですか?」と尋ねることができない。私は再び個室を出て『快活クラブ』の喫煙専用室に入り、タバコを一服しながら作戦を練り直 し、個室に戻ると丸テーブルの絶世の美女に向かって、「トラスケぇ! こりゃあなんなら。コンクリ引っぺがしたら虫がうじゃうじゃおるど!」と叫んだ。しかし残念ながら、これは私が過去にnoteに投稿した、『Co., Ltd.』という即興詩の冒頭のセリフだった。どうしても「あのう‥‥〇〇してもいいですか?」と尋ねることができない。すると絶世の美女が私に流し目を使いながら言った。「どしたんならトミユキぃ!」。いや、どしたんならってあなた‥(*´Д`;私は困惑の極みに達した。どうしても「あのう‥‥〇〇してもいいですか?」と尋ねることができない。私は即興詩『Co., Ltd.』の最後のセリフを彼女に返した。「おお、どもならんわい」。
*Artwork by Buddy Nestor
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