蕨根粉(日本名:ワラビ根の冷やし麺)
タイトルからして、まずは読めません。ということを中国に来てから思い知らされることになるという事実。そして辞書などで調べると、それが「わらび」であることが分かる(もちろん、「知ってるわ」という方が多数だと存じています)。
そしてこの「蕨」というものを聞けば、だいたい2パターンに分かれるのではないか。一つは、やっぱり野に生えている「蕨」だよね、という方。
ネットから料理のページを参考にしてみたが、とてもおいしそうである。山菜の一つとしてよく食べられている。そのため、料理として食べたことがある人も多いのではないだろうか。料理のことを考えると、やはりおなかがすく。
次に思いつくのが、その蕨を使って作った和菓子「わらび餅」である。きな粉がかかったわらび餅に黒蜜をかけて食べるのがおいしいと言われている。カロリーが低いので、一時期かなり食べていたが(黒蜜はかけないで)、味が単調であったため、飽きが来るのが通常よりも早かった記憶がある。
こちらもネットからの掲載ページであるが、COOKPADとクラシル(ちょっと話題になった)両方から引用してみた。いやいや「楽天」も!とおっしゃる方、すみません。ただおいしそうなページを選んだだけ…はい。
上記2つのどちらかが思いつくかなと思うが、上級者がいるとすれば(仮定)、2つ以外の答えにたどり着くのかもしれない(その可能性がいかほどかは全く理解できないが)。
それが「埼玉県蕨市」である。日本一ミニの市であり、日本一人口密度が高い市としてホームページには記載されている。最初にこれが思いついた方はかなりの強者だと思う。
さて、本題の「蕨根粉」を考えてみると、まず「根」に「粉」って書いてあるのに「麺」!とジャブかと思いきや、いきなり右ストレートが飛んできたような感じがする。これは、中国の中でたまにあることで、例えばビーフンでも「米粉」と呼ばれている。
そして、余談だが毎回「米粉って日本語でなんて言いますか?」と聞かれて、「ビーフン」と答える際、学生が「なぜカタカナ?」といった声には出さないが謎が深まった顔をしたまま、引きつりながら「はあ、はい、わかりました」という受け答えをしていた。「では、スープが入った米粉は?」、いや、もうわかりません。「ビーフン(スープ入り)」?そもそも、ビーフンといえば炒め物のようなイメージがあるから、なかなか定着しにくい。そこで「米粉」を前面に出すと、一時期の「米粉」ブームで使われた「米粉パン」という形になるので「米粉麺」という名前になってしまう。それはそれでよいかもと思った時もあった。(そして、「ライスヌードル」も競争に加わり、混戦の状況を呈している)
ちなみに、ビーフンの語源は閩南語や台湾語の発音(上記記事、ならびにWikipediaより)から来ているとのこと。中国語では
米粉 mǐ fěn
と発音する。「f」の発音がかなり難しく、下唇を甘噛みして発音するとよいよと言われるが0.1秒の争いの中で、その口の動きはコロッケさんの顔ものまねの変化並みに速い。F1レーサーなみの反射能力が問われるだろう(言い過ぎ)。
蕨根粉 jué gēn fěn
はこのように発音する。やはりこちらも難しい「f」が含まれている。それだけでなく、「u」「e」変化という難しいのが並び、前鼻音・後鼻音が問われる体操ならばFレベルの技を要求される高難易度技を一瞬で決めなければならない。さもなければ、店員から「はぁ?」とお決まりの返答が返ってくる(怒っているのではなく、スタンダードなので安心)。
タレは甘酸っぱい感じで、清涼を感じることができる。こちらでは前菜的な位置づけとされている(凉菜)。お店によっては、これにピーナッツを入れたりして食感を楽しむことができる。
今回のお店はタレは抜群においしかったのだが、蕨根粉が冷えていなかったので効果が半減だった。冷えていないスイカを食べているというか、熱くないラーメンというか、コンビニのおにぎりの海苔の部分がきれいに取り外せず包装紙に海苔がつかみ取れないぐらいになった感じがある。「せっかく」という枕詞がすぐに思いつきそうだ。
清涼を感じる食べ物を食しながら、夏の気配をより一層感じた。
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