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おもしろくてためになる本の話

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記憶力がおよそありません。 だけれども、本に書いてあったことはわりと覚えています。 なぜかと考えると、読んだ後、まとめを書くことが多いから。
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#おすすめ本

『物価とは何か』渡辺努著

『物価とは何か』渡辺努著

「物価は蚊柱である」
これが、物価とは何かに対する答えと明快。

個別の商品価格は、一匹の蚊。
上がるものも下がるものもあり、速いものも遅いものもある。
これらが群れとなっているのが、蚊柱。

一匹の蚊の動きを完璧に理解したとしても、蚊柱を理解することにはならない。
蚊柱を群れとして理解したとしても、一匹の蚊の動きを予測することはできない。

この蚊柱の比喩を用いたのは、岩井克人著『ヴェニスの商品

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『テクノロジー思考』蛯原健著

『テクノロジー思考』蛯原健著

おもしろいビジネス書と、そうでないビジネス書がどう違うか。

流行が書いてあるだけの本は、サッと読んでおしまい。
書いてある「情報」をさらいたいだけなので、愛着は湧かない。
考え方や、思考そのものがあふれ出しているものは、読み返す。
読んでいるうちに、著者の考え方が身につくようで、自身の変化を感じさせてもらう。

前者は、著者のインタビューをもとに、誰か別の人が書いてもかまわないもの。
後者は、思

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『「その日暮らし」の人類学』小川さやか著

『「その日暮らし」の人類学』小川さやか著

Living for Todayーその日その日を生きるー人々とそこに在る社会の仕組みを論じることを通じて、わたしたちの生き方と、わたしたちが在る社会を再考することを目的としたという本書。

「タンザニアのトングウェ人は、集落の住民が食べられるだけの食糧しか生産しないにもかかわらず、集落を訪れる客人をもてなすために、生産した食糧の40%近くも分け与えている。
この客の接待に要した食物量は、自分たちも

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#最高の老後 #最高の人生

#最高の老後 #最高の人生

昨年から80代の母親と同居しています。
明るくやさしい母親が年齢を重ねていく姿を見ながら、この本の編集活動を進めてきました。
老化とはなにか、どうすればよい老後になるのか、年をとることの意味とはなにかーー。
身近に「老化」を感じながら、そうしたことをポジティブに考えることができたのは、この本にかかわっていたおかげでした。
親世代のこととしても、自分のこととしても、一通り知っておきたいことが誠実に書

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