自然治癒力が上がる食事~名医が明かす虫歯からがんまで消えていく仕組み~
知られざる歯の間違った常識
「名医は虫歯を削らずに治す」と歯医者である著者は言います。
歯は削れば削るほど脆くなり、結果的に神経や歯そのものを抜くことになります。それが別の病気を招き、健康そのものを損なっていきます。
その一方で診察の中で、虫歯があったのに自然治癒した痕跡や死んだはずの神経が復活している現象も多数目撃したそうです。
日本では「虫歯は自然治癒しない」という常識がありますね。しかし人間にはケガや病気を治そうとする自然治癒力が備わっています。それを踏まえれば虫歯が自然治癒することは決して不思議ではないのです。
そして自然治癒力は食習慣によって向上します。
虫歯も体の病気も根本的な解決は薬ではなく食事です。
著者は「小峰式完全予防歯科プログラム」を確立し、削らない虫歯予防法「ドックベスト療法」を日本初、取り入れ全国で普及活動をしておられます。また「全身歯科研究会」を立ち上げ、歯と全身の関係の研究を続けられています。彼の40年をこの一冊で紹介してくれます。
私筆者としては、「歯医者はコンビニより多い」と言われる日本で、削る必要のない歯を削って稼ぐ歯科医院がごっそり吹き飛んで、虫歯になったら誰もが自身の生活を顧みる未来を強く願いながら本記事を書いております。
歯と全身は繋がっている
DFT現象
歯の表面は硬いエナメル層で覆われており、エナメル小柱間といって肉眼では見えない極小の穴が無数に空いています。
アメリカのロマリンダ大学のラルフ・スタイマン博士とジョン・レオノーラ博士が「象牙質内の液体移送システム」(DFT)という現象を発見します。
ネズミのお腹に「放射性同位元素」という物資を注射し、液体が体内をどのように移動していくかを調べたところ、物質はわずか6分で象牙質まで到達し、1時間でエナメル小柱間から出てくるところを確認しました。
もちろん人間にも同じ仕組みがあります。
DFTの役割
この仕組みは栄養補給と免疫活動のためにあります。
長い人生、同じ歯を使い続ければ、負担によりヒビが入ってしまうこともあります。そんなとき栄養を届けて修復する役割がDFT現象です。
歯の着色汚れもDFTがクリーニングしてくれるおかげである程度白い状態を保つことができるのです。
さらに重要なのが、歯周病菌が歯茎の内部に入り込んでもDFTの液体が菌を退治し、外に押し出してくれているのです。
つまり、歯は単なる石のような塊ではなく、隅々まで栄養が行き届く機能を備えた臓器だということです。
虫歯のメカニズム
虫歯は歯の外側・内側どちらからも起こります。
しっかり歯磨きをしているはずが虫歯になった人はここに答えがあります。
外からの虫歯
虫歯菌と呼ばれるミュータンス菌とラクトバチルス菌が糖分をエサとして酸を創り出します。この酸がエナメル質を溶かし、奥へ奥へと進行していきます。進んだ先でも同じことを繰り返し虫歯が進行していきます。
内からの虫歯
一方、歯の表面は全くの健康なのに内部はすっかり溶けてしまうことがあります。これはDFTの逆流によるものと考えられています。
逆流によって外から内へ菌を引き込んでしまい、内側から虫歯になるのです。
DFTの逆流を起こす5つの原因
スタイマン博士らは、逆流を起こすスイッチとして以下を挙げています。
①砂糖の摂取
②ストレス
③運動不足
④ビタミン・ミネラル不足
⑤薬剤の服用
逆に言えば、この5つの負の刺激を与えなければ内からの虫歯は防げるということです。
以下、具体的な対策に少し触れておきます。
①砂糖の摂取
「甘いものを食べると虫歯が痛む」という経験がある人はまさに砂糖によるDFT逆流です。引き込まれた細菌が神経を刺激し、痛むのです。
対策は、シュガーコントロール(砂糖を減らす)とシュガーカット(砂糖を断つ)です。
実はこの砂糖の摂取を減らす・断つというのはあらゆる病気の改善に役立つと考えられています。
②ストレス
ストレスによりDFT逆流が起こり虫歯になることもあります。意識的に解消する方法を探してほしいですが、ここではシュガーコントロールでストレスが減るという話をします。
砂糖を摂取すると脳は酸素不足に陥り、機能低下します。するとホルモン分泌も弱まります。ドーパミン・セロトニンといったやる気や幸福感の元となるホルモンが減るのでストレスになります。
ここで砂糖を摂るとずっと不幸な気持ちが続くうえ、脳の酸素不足が続けば脳細胞が死滅してしまいます。
③運動不足
散歩する、デスクワークなら座ったまま太ももから上下させる、たまには階段を使う程度でも良いのです。少しずつ運動しましょう。
④ビタミン・ミネラル不足
野菜をたっぷり食べてください。とはいえ日本の農薬や品種改良によって野菜の栄養が減少しています。一般的な推奨量よりも多く食べてください。
⑤薬剤の副作用
やみくもに薬を辞めればいいということはありません。
しかし、多すぎれば結局病気の元です。
多くの薬を処方しておいて「胃に負担がかかるから」との理由でさらに胃腸薬を処方する例もあるそうです。また、患ってもいない病気の予防薬の副作用によって別の病気にかかった例すらあります。
薬が多い方はそれが本当に必要か、複数の医者に相談するなど、どうか今一度よく考えてみてください。
実は世界の医療界では、一人の患者に薬は最大4錠までしか処方してはいけないという基本ルールがあります。薬の大量の処方を取り締まっている国もあるほどです。
今まさに歯が痛い人へ
今まさに虫歯が痛む人がいたらシュガーカットをしてください。数日で痛みが止まり、進行もストップするそうです。歯医者に駆けこんではいけません。多くの歯医者はすぐ抜こうとします。
歯が痛いということはある意味希望で、神経が元気である証拠です。
DFT逆流スイッチの砂糖を断ち、早い段階で脂溶性ビタミン、食物繊維を大量に摂取してください。早い話が野菜です。
食事について
本当に怖い砂糖のお話
アメリカのUCLA大学の栄養学者ナンシー・アップルトン博士が「砂糖が健康を損ねる146の理由」というレポートをまとめているので一部抜粋します。以下は砂糖が起こす問題の一部です。
ミネラルの吸収阻害・子供の集中力低下・免疫力低下・老化促進・視力低下・虫歯・肥満・歯周病・静脈瘤・アレルギー・白内障・脂肪肝・便秘・頭痛・学習障害・気分落ち込み・消化不良・アルツハイマー・めまい・ガン・月経前症候群・副腎の機能低下
どうでしょう?私筆者としては、砂糖が全てではないとは思いますが、シュガーカット・シュガーコントロールの万能性を感じます。
実践すると肌の透明度やハリもものすごく変化するそうです。
さらに、糖反射といい、東京大学の研究によると、人間は砂糖を摂取すると一時的に胃と十二指腸の働きがストップすることが分かっています。
当然消化不良を起こすのでなぜ太るのかが分かりますね。
血糖値と虫歯の関係
アメリカの歯科医スコット・テイラー博士の発表によると、血糖値をゆっくり上昇させることがDFTの逆流を防ぐことに繋がるそうです。
血糖値をゆっくり上昇させる方法は以下の3つです。
①全体食・・例えば、白米ではなく玄米を食べる、リンゴの皮をむかずに食べるということです。ただし、日本は農薬大国のため、無農薬でないものとはうまく付き合ってください。
②GI値の高い食品を避ける・・GI値が高いというのは、血糖値を上げやすいということです。GI値60以上のものは虫歯を作りやすいとされています。ちなみに白米はGI値84,玄米は56です
③脂溶性ビタミンを摂る・・・ビタミンA,D,E,Kのことです。少しきついですが、魚を内蔵まで食べるのがおすすめです。
また、食物繊維から先に食べることも有効です。ダイエットでよく言われるサラダから食べ始めると良いというやつですね。これにより血糖値の急騰を避けられます。血糖値の急騰が減れば、お腹が減りにくくなります。
オートファジー
週1程度の断食もおすすめです。これは虫歯どころか肥満やがんの予防にもなります。2016年大隈良典氏がオートファジーという現象を発表し、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
人の体は食べ物が足りなくなると、体内の不必要な細胞を自壊させ、栄養源として使います。このときの筆頭候補が脂肪やがん細胞なのです。
ただし、がんに関してはあくまで予防であり、すでに発がんしている方は逆効果になる場合もあります。
虫歯になりにくい体質をつくる
一言でいえば、「砂糖を減らして野菜を食べよう」です。
①アルカリ体質になる
実は人の体にも酸性、アルカリ性があります。
酸性体質だとあらゆる病気にかかりやすく、もちろん虫歯にもなりやすいです。特にガンの人は非常に酸性寄りなことが多いです。
アルカリ体質だと活性酸素を打ち消す力が強く、自然治癒力も高くなります。これは生まれつきではなく状態のことなので、アルカリ体質に変えていくことができます。
酸性食品は砂糖・肉類・炭水化物、アルカリ食品は野菜・果物です。
②唾液量を保つ
アルカリ性に偏った唾液は、虫歯菌の出す酸を中和し、虫歯菌自体を抑え込む力があります。また、アルカリの唾液にはミネラルが含まれており、歯を再石灰化してくれます。
唾液の分泌が減ってしまう要因は以下です。
・薬の服用・・体は薬を異物と判断するので水で薄めて排出しようとします
・砂糖・塩の摂りすぎ・・血中にブドウ糖やミネラルが増えすぎると薄める ために全身から水分を集め、唾液のための水分も持っていかれます
・ストレス・・交感神経優位の状態は唾液の分泌を抑えます
・水分不足・・コーヒー・紅茶・お茶が多い人は利尿作用により思ったより水分が取れていないことがあり、水・白湯が理想的です
動物性たんぱく質に注意
・糖尿病・・糖尿病の原因は2017年にアメリカで開催されたPBNHC「食物を基本とする栄養療法学会」によると糖尿病の原因は「糖質の過剰摂取+動物性たんぱく質=インシュリンの働きが悪化」だそうです。
日本の情報番組で「肉は体に良い」と言われていますが、PBNHCの発表と真逆です。(2023年世界の糖尿病患者数ランキングで日本は9位)
そもそも肉を食べると腸内で腐敗菌が増え、悪臭ガスを発生させることも知られています。
肉が大好きな方は大豆やアボカドに置き換えてみてはどうでしょうか。また糖尿病は薬剤によって無理やり血糖値を下げると悪化するとの論文が多数あります。
・ガン・・全米でベストセラーになったコーリン・キャンベル博士の著書によると「動物タンパクの摂取が5%以内だとがんはほぼ発症しない、20%を超えると100%発症する」のだそうで、メカニズムも公開されています。
乳製品に含まれるカゼインは自然界最強の発がん物質と言われています。さらに乳製品に含まれる成長ホルモンはがん細胞の成長を異常に早めるそうです。
肉、乳製品を減らし、野菜を増やしましょう。
抜歯・抜髄の恐ろしさ
歯や神経を抜くというのは対症療法であって、原因療法ではありません。
歯が痛んだが自然に治ったという経験をした人はたくさんいると思います。
でも歯科大学では「歯髄炎は治らない」と教えるそうです。
現実と違いますね。そして歯医者に行くと、痛いならそう感じる神経を取っちゃいましょうという間違った治療法を提案されます。日本の歯科医療全体が間違っていると著者は言います。
歯も神経も絶対に抜いてはいけません。抜くと連鎖的にトラブルが起こります。
抜歯・抜髄が起こす病気
①歯周病・・歯の神経を抜くとそこの血流が途絶えます。すると体が神経のない歯を異物とみなし、押し出そうとする異物反応が起こります。
神経さえ残っていればDFTによって少しずつ修復されますが、DFTが起こらなくなれば自浄作用も起こらなくなり維持できません。そしていずれ抜けるのです。
②周りの歯も抜ける・・抜歯すると歯を支えていた歯茎の骨が溶け始めます。まさに砂上の楼閣のようになり、周りの歯を支えていた部分の骨も溶けていき、傾き、抜けます。
③歯性病巣感染・・神経を抜いた歯は細菌にとって、最高の温床となります。血流がないため除去されないのです。そして爆発的に増殖し、各内臓に炎症を起こします。これは神経を抜くとほぼ確実に起こるそうです。
④ボーンキャビディ・・歯の根と歯茎の骨はくっついておらず、歯根膜という繊維でくっついています。抜歯の時にこの歯根膜が残ってしまうと、周りの歯が「まだ歯の根が存在する」と勘違いし、根を守る為に強力な繊維で包み込み空洞を作ります。
この空洞がボーンキャビディ。これが全身の病気を引き起こすきっかけですが、非常に発見しづらいうえに日本ではあまり重視されていないそうです。
⑤歯原性菌血症・・③、④は抜歯・抜髄によりDFTが狂うことが原因、こちらは抜歯により出血した歯茎から細菌が血流に入り込み起こる病気です。心筋梗塞、動脈硬化、脳卒中、血栓など様々な病気につながります。
抜いた歯と病気になる内臓は決まっている
歯の研究に関する先進国はアメリカ、ドイツです。そこには歯と全身の関連を裏付けるデータも多数存在します。
例えば、上前歯は腎臓・膀胱、下顎犬歯は生殖器など。特に伝えたいのは親知らずについてです。ほぼすべての臓器と繋がっていて、直下に動脈が通っているので抜歯はかなりのリスクがあります。「今後痛みが出る可能性がある」といって抜歯する例もあるようですが、健康な歯を抜くなどあってはならないことです。痛みが出て初めて考えてください。
ドックベスト療法
これは痛みを伴わず、削らない虫歯治療です。
アメリカで開発された手法で、銅、鉄、複数のミネラルを虫歯の穴に詰め、虫歯菌を死滅させた後に自然治癒させていくものです。施術自体は10分程度、術後はシュガーコントロールしていけば虫歯が治ります。著者がアメリカまで飛んで学んできて、日本で普及活動をしているそうです。
ただし、保険適用外で自由診療になりますが、従来の不自然なほどに歯医者に通いまくる虫歯治療に比べたらかなり安く済むはずです。
日本の歯科で一般的に使われている麻酔は劇薬に近いほど強力で使用すると生きている可能性のある神経まで殺してしまいます。
従来の施術後、しばらく口の中に痺れが残る経験をされた方もいると思いますが、長時間血流が止まるとそこから細菌感染が起こることもあり、非常に危険です。
歯医者の麻酔で虫歯の隣の健康な歯が感染した、なんて実例もあるのです。
歯周病について
歯周病はこれまで感染症と考えられていましたが、覆りました。アメリカの歯周病学会によると、炭水化物・カルシウムの過剰摂取、マグネシウムの不足など食の乱れが原因だそうです。
炭水化物・・体内で余った炭水化物は脂肪細胞に変わります。この脂肪細胞が体内のあちこちで悪さをします。それが口内だと歯周病なわけです。当然ダイエットにもなりますので多い人は減らしてみましょう。
カルシウム・・成長期には重要なものですが、実は骨格が出来上がった大人にはさほどいらないのです。余ったカルシウムは異所性石灰化といって体内の様々な場所で石のように固まってしまいなんらかの病気の原因となります。その場所が口だと歯周病、脳だとアルツハイマー、目だと白内障などです。
「日本人はカルシウム不足」これ、疑ってください。
サプリでカルシウムを摂るなどもってのほかと著者はいいます。
歯周病の対策
・シュガーカット、シュガーコントロール
・カルシウムを摂らない
・マグネシウムを摂る(海藻)
・オメガ3不飽和脂肪酸を摂る(魚)
・塩分を控え、カリウムを摂る(野菜)
知られざる日本の歯科医療の現実
食事療法によって虫歯も歯周病も予防でき、さらに糖尿病やがんも改善させることができます。そして虫歯になってもドックベスト療法により自然治癒が望めます。
しかしそういった根治を目指す治療をすると保険適用外となります。
従来のお金を払って健康を買い取ってもらうかのような治療をすると保険がききます。
厚生労働省や歯科医師会は「日本は虫歯が激減している」と発表しています。しかし虫歯の治療件数はかなり増えているのです。この矛盾がどういうことかというと、歯自体を抜いてしまってもうないから「激減している」というだけです。著者はこんなことは情報操作で明らかな誤りだと指摘します。
虫歯治療が減らない原因として、歯医者が健康な歯を削っているという問題があります。
著者は削らない治療法の普及のため全国でセミナー開催していますが、そこで出会う先生から「一日に何本以上の歯を削らなければならないというノルマがあり、達成できないと給料を惹かれる」また別の先生も「削る本数にノルマがあり、違和感を覚え退職願を出すと違約金を払えと言われた」などのエピソードを聞くそうです。
日本の医療保険は誰でも平等に医療を受けられる点において素晴らしいものです。しかし西洋医療に限られています。患者さんにとってより良い治療を提供することは難しいそうです。
また、歯医者の通院回数がとにかく多いのは、一人の患者からの「一か月平均請求額」が多いと行政指導を受けるハメになるからです。何度も通ってもらって平均を下げるのです。患者さんのためではありません。
歯科に限らず日本の医療はほとんどが対症療法であり原因療法ではないそうです。
原因を追究しないのだから何も治りません。治らないのだから病院・歯医者に通い続けることになります。
なぜ根本的な原因を解決しようとしないのか・・・病気が治ると医師の仕事がなくなるからじゃないかと疑っていると著者は言います。
(※私筆者としてはそれに加えて薬が売れなくなるからというのも理由だと疑っていますが)
現代において自分の身を守る為の第一手はきちんと知ることだと思います。
ぜひ、虫歯になってしまった方はドックベスト療法を取り入れている歯医者を探してみてください。そこは歯を残すこと、根治することを重視しているはずです。
読んでくださった方が、簡単なことから少しずつ手をつけ、健康を守れることを願っております。
ありがとうございました。
刊行:2021年第七版
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