【詩】おもかげ抱きしめて
公園で待ち合わせだよ
ぼくはひとりの世界にこもって
砂場で泥団子をつくるんだ
大きなお山もつくるんだ
そしたらきみが
それらを踏み潰すんだよ
笑いながら踏み潰すんだよ
ぼくをぼこぼこにした後
わたしと遊ぼうって
嫌がるぼくの手を引くんだよ
1993年の夏の日に
まだ涼しかった夏の日に
自分の未来なんて
微塵も理解っちゃいない
天真爛漫なきみとぼくは
死にたい死にたいと呟くきみを見つけて
どうしてどうしてと泣いていた
そこを左へ曲がってすぐ
商店街に入ったところの果物屋
いつもの日替りジュース買って
また公園に戻ってきて
世の中のこと
なにも知らないガキのまま
ふたりではしゃぐんだよ
健全にはしゃぐんだよ
自分の未来なんて
微塵も理解っちゃいない
天真爛漫なきみとぼくは
金貸して金貸してと喚くぼくを見つけて
どうしてどうしてと泣いていた
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