日本伝統飲みニケーションを毛嫌いしていた私にその意義を教えてくれたのはインド人だった[The culture map⑥]
「平成キャンディーズ」
新卒1年目時代、私含めた同期女子3人は部長にそう呼ばれていた。
当時あと1年で定年退職するという部長は、
飲み会大好き、カラオケ大好き、
ネクタイ頭に巻いて歌います的なキャラクター
外資系企業の中では化石みたいな人で、
私は外資系といえば
年に一回開催されるワイングラスを片手に立食スタイルなオシャンティパーティーに招待されるのだろうと信じていたので、
仕事後定期的に開催されるタンバリン片手にベタついた床から足チョイあげスタイルなカラオケ飲みで、訳の分からないあだ名にニコニコ反応しながら、おじさんたちの話と歌を聞くという未来を一切想像しておらず、
こんなはずじゃ無かったと心の底から思っていた。
その部長が定年する時、一応私は
「最後くらいキャンディーズ覚えて歌った方がいいのかな?」と同期に言ってみたのだが、
秒殺で却下。
最後まで頑なに我々がキャンディーズを踊らなかったノリの悪さが関係しているか、本当に元部長がうちの会社の
ラストショウワスタイルサラリーマンサムライ
だったのか定かではないが、
その後みるみると、そういったいわゆる
飲みニケーションというものが減り、
結局日本伝統芸能•飲みニケーション不要じゃん論が自分の中でさらに高まっていった。
が、しかし。
キャンディーズ部長の退職後、
日本国外の人と仕事するようになってからやっと飲みニケーション的なものが日本伝統芸能ではないことを知ることとなる。
そんな今日は
「異文化理解力(The culture map)」第6章。
今回は国別のビジネス上の信頼関係構築について、本の紹介と共にいつも通り経験談を織り交ぜて述べていきたい。
心で信頼関係を構築するか、頭で信頼関係を構築するか
まずは、本から引用したタイトルの意味を簡略化した図を使って少し噛み砕いて説明しようと思う。
ビジネスの信頼関係構築方法を大きく2つに分けると、
Task based: ビジネスとプライベートをきっちり分けて考える派。信頼は仕事のパフォーマンスで得ていくものであって、いくらプライベートで仲良くでもそれはそれ、これはこれ。
認知的信頼(頭で信頼)とも言うらしい。
Relationship based: プライベートの信頼、人としての信頼が根本になければビジネスでの信頼構築は不可能と考えられている。
感情的信頼(心で信頼)ともいうらしい。
となるそうだ。
この違いはどこから生まれるのか。
一つの分かりやすい理由は
その国の法制度が整っているかだそうで、
日本は例外として、南米・インドなど法制度や契約の信憑性がまだ怪しい国においては全く知らない人と仕事をするのは大変危険で、
一方、契約文化のアメリカなどは1ミリも知らない人でも文章上の契約さえあれば不利益を被ることはないため、相手の人となりを知る必要がないということが背景にあるようだ。
つまり、Relationship based文化の国のビジネスパーソンにとって、いわゆる飲みニケーション的なものは飲みたくてやっているのではなく、
ビジネスで必要不可欠なこと、というわけだ。
※ちなみに、フレンドリーなのとRelationship basedなのかは別なのでご注意を。
アメリカ人は仕事のミーティングでもとてもフレンドリーにプライベートの話について聞いてくるかもしれないが、それでお友達になったと思っているわけではないようだ。外が柔らかく、芯に固い種があるピーチ文化と言われるそう。
逆がココナッツ文化。
実例: インド人たちが教えてくれたこと
仕事上インド人にアウトソースすることが多いのだが、周りの先輩の前評判と同様に初期は
「なかなか真面目にやってくれない人たち」
という印象を持っていた。
ところが、あるきっかけでブレイクスルーというか、突然私のプロジェクトだけやたら良く働いてくれるようになった。
そのきっかけというのが、
Facebookで友達になった
こと。
え?それだけ?と思われるかもしれないが、
効果は恐ろしいもので、
たまたま1人の友達申請を承認したら、
そこから芋づる式に色んなインド人から申請が来るようになり、いつしかタイムラインがインド人の自撮り写真で溢れかえる様になったころには、
他の日本人同僚がインド人への文句を垂れている中、頼んでもいないのに
「usagitail!約束の金曜日には終わらなかったけど、土日に終わらせたよ!(褒めてと言わんばかりに)」
とわたくしのプロジェクトは局所的ブラック企業と化しめちゃくちゃスピーディーに進むようになった。
本当に強調したいが、私は土日に働けとも言ってないし、そんなに厳しい指示もしていない。
その後、ちゃんと土日は休んでねと言ったのでそれだけはお伝えしたい。
たしかにFacebookは私の年齢や過去の学生時代の写真も載っているのでプライベートの大発表をしているようなもので、
この本にまだ出会っておらず、インド人はRelationship based型などという理論は全く分かっていなかったものの、うっすらと、
「仲良くなればいいってことなのか?」
と気づいた後はインド人との仕事がみるみるやりやすくなった。
ビジネスとプライベートの人間関係がこんなに繋がっているのかと当時衝撃を受けた。
今でも、インド人とのミーティングでは必ず長めにプライベートの会話をしてから本題に入るようにしているし、Facebookで繋がっていれば、プロジェクトが同じ間は少なくとも誕生日のメッセージを送るようにしている。
それで大体上手くいく。
今後のビジネス上の信頼関係構築について
とはいえ、私はやはり会社の飲み会/食事会はあまり好きではない。
プライベートのことを仕事関係の人に話すのが面倒だったり、知られたらマイナスになるのではないかという抵抗感を感じることもある。
この考え方は私だけではなく、
仕事後の日本的な飲みニケーションとか古いー!
と思う特に若い世代(自分を若い世代に含めていいのかは置いといて)に少なくないのではないだろうか。
ただ、この本に気付かされたこととして、
「日本的な」というのは、日本人がイメージする海外文化(=アメリカを中心としたTask basedな欧米文化)に対する日本文化なわけで、
今後(既に)強くなってくるであろう中国、南米、インド等は日本と同じRelationship basedなのである。
筆者も最後に述べていたが、こう考えると今後は多国籍グローバルビジネスにおける人間関係の構築の仕方は大きく変わっていくのかもしれない。
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ということはですよ。
化石だと思っていたキャンディーズ部長は
実はめちゃくちゃ先見の明があって、私達新人に未来のグローバルビジネスについて重要なことを教えようとしてくれてたのか…
キャンディーズ踊っとけば良かったかな…
なんて、思ったり。
それは勘繰りすぎか。
以上、6章でした。ご参考までに。
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