魚柄仁之助の生活防衛レシピ 第17回
魚柄仁之助の生活防衛レシピ
〜第十七回 なんでも蒲焼〜
蒲焼⇒土用の丑の日⇒ウナギのかば焼き
これ、ニッポンの夏の風物ですね。
ニッポンジンはあの甘辛くって、
香ばしい蒲焼がだーいいすき💛のようですが、
最も多く食べられていた蒲焼はウナギではなかった❣
だって、ウナギは髙いからそうそう食べられるもんじゃない
せいぜい年に数回…というのが一般的でした。
だ~ったら、何の蒲焼を食べてきたんだ?
昔の料理本で調べてみたら魚類の場合は
1位.にしん 2位.いわし 3位.どじょうとなまず
だったのです。
魚類以外まで範囲を広げると
1位.なす 2位.摺り下ろした芋類 3位.豆腐
なのです。
今年は茄子の蒲焼で土用の丑の日を迎えましょ。
庶民の蒲焼は茄子の蒲焼
茄子を縦半分、横半分に切る
小麦粉に水を加えてゆるい「小麦粉水」を作る
「小麦粉水」を切った茄子全体に塗る
大匙一杯くらいの油を敷いたフライパンを火にかける
↑弱火にして茄子の片面を焼き
裏返して皮面も焼く↓
↑味醂:醤油=1:1で流し込み
裏表、共に浸みこませる↓
できあがり
焼きたての甘がら~い蒲焼には、
やっぱ山椒の粉でしょ。
パパッと振りかけてごはんに乗せ、
フライパンに残ったタレをかけ廻しますと、
こってりとした蒲焼丼で御座います。
家庭料理で食べられていた蒲焼は?
海の近くならイワシやサンマ、ニシンなどが
蒲焼に使われていましたが
海から離れた地域では
どじょう、ナス、豆腐、摺り下ろした芋類、
珍しいところで牛蒡の蒲焼などがありました。
昭和の料理本には竹輪の蒲焼とか
魚肉ソーセージの蒲焼も出ていました。
これがなかなか結構なお味なんですなぁ
ま、竹輪や魚ソーの原料は魚のすり身だから
鰻に近いんでしょうね。
蒲焼って鰻だけの調理法だと思ってはいないでしょうか?
甘辛いタレを塗って焼けば
ナスでも牛蒡でも蒲焼なんですな。
鰻を使う蒲焼はハレの日にお店で食べるごちそうで、
日常の家庭料理では鰻以外の蒲焼を食べる。
それが日本の食文化だったんです。
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蒲焼の季節ですね!
今回は編集部のKさんがレポートしてくださいました。
「甘辛いタレを塗って焼けば
ナスでも牛蒡でも蒲焼なんです」
とはなんと心強い言葉でしょう。
真夏日続きで早くもバテ気味の私は、
うおつか流の知恵にすがるしかありません。
さっそくスーパーで購入したナスに加えて、
ストッカーで干からびていた長芋の使い残しと、
芽が出てしまったジャガイモで試してみます。
ナスは小ぶりでしたのでそのまま横に切り、小麦粉水をまぶします。
長芋・ジャガイモは魚柄先生の第13回の連載(おろし芋)を参考に作ります。
皮をむいてすりおろし、小麦粉を混ぜます。長芋版には試しに片栗粉も入れてみました。
第13回にも登場していた「いもの蒲焼」を参考に、今回は長芋おろしに海苔をつけて焼いてみます。
ナスも弱火でじりじり加熱して「蒲焼風になーれ…」と呪文をかけましょう。
焼き上がったら、みりんとしょうゆを煮たタレをしみ込ませます。しょうゆが関東風のため、少しだけ砂糖も加えてみました。
できました! うーん、撮影するために間近で眺めていると、気のせいか、だんだん蒲焼のように見えてきたかも…
肝心のお味はどうでしょう? 山椒をほんの少し…
ナスの蒲焼風、これは食べやすいし、夕食の一品としてじゅうぶんな味です。歯ざわりがなんとなく蒲焼なのも気に入りました。家族も箸が止まりません。
長芋のいそべ焼き、これは驚きの味! 片栗粉を使ったせいか、魚のすり身のような身質になって美味しい。皮目に見立てた海苔からは磯の香りがして、硬さや風味も、確かにどこか蒲焼風です!
最後に、ジャガイモのおろし芋焼き。とても美味しく出来たのですが、蒲焼とは違うかな…子どものころに祖母が作ってくれたいももちに、濃い味がついたような、ボリュームのある一皿で、ビールがぐいぐい進みます。…と、どうも最後に本題とズレてしまいました。すみません。
ナスと長芋の蒲焼、確かに鰻でなくても蒲焼風の料理と考えられていた理由がよくわかりました。いずれも旨かった! 今日の夕食は野菜ストッカーの残りと、ナス2本で済ませることができて、大満足です。
レポートありがとうございました。
油のしみたナスや芋に甘辛いタレが絡んで美味しそう…!
暑くなってきてちょっぴりバテ気味でも、この味付けなら飯もお酒もすすみそうですね。私はイワシのかば焼きに挑戦したいと思います。
皆様もぜひ色々な食材でに試してみてください。(編集部A)
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魚柄仁之助先生の台所リストラ術をもっと知りたい方は飛鳥新社のページを御覧ください。
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