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2025年1月29日 マークロスコの風景

空は早くから明るくなり、
日が落ちるのも遅くなりました。
今日も黄色と青の日暮が割と長く続いていて、
帰り支度をしてから、
家へつく途中までは、
儚い黄色の上に、美しいロイヤルブルーの夜空が
降りており、
マークロスコのような風景でした。


瞬く間に、
全てが藍色に包まれて、頭上高く星が輝く、季節は終わったのです。
空気はぴんと張りつめ、ひどく冷たいのですが、
ずいぶん遠くの方に、
確かに春が来ているようでした。
あの儚い黄色は、
春の光の黄色、
チューリップの黄色、
菜の花の黄色、
蝶々の黄色、
ひよこの黄色、
黄砂や花粉の黄色、
新しい帽子の黄色、
あらゆる黄色の先ぶれなのです。
あの淡く、今にも霧散してしまいそうな黄色の向こうに、
生き生きとした黄色がやってくる、
そんな気がしました。
仕事場で、後輩に、職務上の話として、
「去年の今頃、何をしていましたっけ?」と聞かれた時、
「ええと」とか「そうだな」と言いつつ考えていたことは、
「黄色が来る前にはひどく寒くなるのだ」という
文字を獲得する前の人間も持っていたであろう、
感覚の手触りでした。
結局、去年の今頃、仕事で何をしていたかよりも、
「そうだ、黄色が来る前にはひどく寒くなり、
全てが一度うまく行かなくなるものだ」
と言うことが文字ではなく、
イメージとして、浮かんできました。
暗い壁に交差して、
立てかけられた2枚の歪んだ白っぽい板、
その上に、霜が降りている、
いや、霜ではなくてそれは埃かもしれません。
このイメージが表現している、湿っぽくなく乾いている、冷たさ。 
そして、私はこういう「冷たさ」が苦手なのです。
だからこそ、今の時期が苦手で、
去年の今頃、仕事で何に取り組んでいたかなんて、正直なところ、ほとんど思い出せないし、
最近は、平日の家事をするのが苦痛でたまらないのです。

春から夏、朝起きて、家事をするのはさほど苦痛ではありませんでした。
明るい光の中で洗濯を干すのは、気持ちの良いものです。
ちょうど良い気温の中で、
掃除機やクイックルワイパーをかけるのも大して苦ではないし、
植物の水やりも、
晩御飯の下ごしらえをすることも、
わりと楽しくやっていたのです。
寒くなり、特にこの年明け、最も苦手な季節に入ってからは、
こういう行動の全てが、苦痛になってきました。

できるだけ長い時間、
温かい布団の中でぼんやりしていたいのです。 
柔らかい毛布に包まれて、
読んだ小説のことを考えたり、
自分の中に立ち現れてくるイメージの中に浸ったり、
ただ目をつぶっていたいのです。
このように、睡眠欲求がひどく強くなっていて、
しっかり目が覚めるまでに、夏の2倍はかかります。
目が覚めてから、
着替えるのにも、さらに時間がかかります。
何をするということもなく、もだもだしているのです。
電気ストーブの前でぼんやりしていて、さっと着替えられません。
ですから、これまでやっていたように、
家事を朝こなして出勤するというのが、
難しくなってしまいました。
そうなると、朝こなしていた家事の半分ほどを夜にやることになります。
もちろん、帰宅から就寝までには時間があります。
夜にやれないことはありません。
しかし、
私の中では、夜、特に仕事から帰ってきた後は
自由に過ごしたい、
本を読んだり、文章を書いたりという方に力を注ぎたいという思いが強いのです。
そのため、家事に取り組む際、
夏の朝のような爽やかさはなく、
義務感、徒労感で一杯です。
以前のように、家事の主な活動を朝やるようにしたいのですが、
この寒さ、先ほど書いたようなこの「冷たさ」ではまだ無理なような気がします。
そう言えば、私はスキーやスケートで足が冷えたり、濡れたりするのがとても苦手で、
一度そうなってしまうとちっとも楽しめないのでした。
身体が冷えていることは私の頭を鈍らせるのです。
朝から、エアコンをガンガンつけて、
部屋を温めればもう少し、
動きやすくなるでしょうか?
それとも電気ストーブをもっと強力なものにするとか?
いやいや、やはり1番良いのは、早めに寝て、
少しでも睡眠時間を取ることかもしれません。
そう言えば、最近また、睡眠時間が短くなってきていたのでした。
23時に就寝しておけば、あれほど目覚めが悪くはならないのかもしれません。
しっかり眠ることは、とても重要なのに、
すぐ崩れてしまいます。
長期間、きちんと維持するのはなかなか至難の業です。
様々な予定、仕事の量、SNSの見過ぎ、読書のしすぎなど、「まあ、いいか」と思うようなことが積み重なって、
睡眠時間が削られてしまいます。
家事を夜やるのがいいのか、朝やるのが良いのか、と考えながら、
この記事を書き始めたのですが、
どちらがいい、というわけではないですね、これは。
「調子の悪い季節は、少しでも早く寝た方が良い」ということです。

マークロスコの風景の夢でも見るとします。
遠くの方に、春があるはず。
おやすみなさい。




















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