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米騒動と独自の選択《日常生活で見た風景2》

『どんな選択をするか』


売り場に米がない日がしばらく続いた。
スーパーもJAもディスカウントショップも、「発注は掛けてるが来ない、次はいつ来るかわからない」と言う。
そんな中、自然食品店だけは、『米はたくさんあります』と張り紙していた。
自然食品店と言うのは、無農薬栽培を売りにするため、農家から直接仕入れている。
だから、

「農家には米があるんだな、中間で消えると言うことは、もしや米型のあれを普及させたいとかと関連あるんだろうか?」

などと、都市伝説好きの私は思いつつ、さて、これからどうなるのだろうかと様子を見ていた。
すると、農家から直接購入を始める人が増えたようで、うちもそうしようか?と考え始めた。
すると突然、新米が店頭に並んだ。
まあ、これ以上出すのを遅らせたら、消費者が皆、農家と直接取引するのがトレンドになるだろうから、そうなるのは行政さんとしてはまずいよね、うん。
しかし、並んだ新米の価格は、いきなり従来の2倍になっていた。
5kgが3千円前後だ。

「うーん・・・、とりあえず当分、白米食べるの止そう」

そう私は結論を出した。
なぜなら、5kgが3千円と言うことは1kgは600円、オーケーストアで売られてるオートミールが1kgで300円くらいなので、その2倍の値段だからだ。
オートミールイコール燕麦で、栄養価はめちゃめちゃ高い。
一方で、白米は栄養はあまりない・・・。
普段から、たまに親戚が送ってくれる玄米は貴重な栄養食だと思って食べていたが、スーパーの白米はあくまで嗜好品だと私は割り切って考えていた。
つまりこの場合、白米を止めて燕麦食べるのがコスパが良いのだ。
経済的なだけでなく、健康的で、ダイエット効果もある。
さらに、調理も簡単だ。
鍋で5分くらい煮るだけでお粥ができる。
味付けも米のお粥と同じで全然合うから問題ない。
食感は米とは違うけど、私は気にならない。
調理に手間をかければもっと近いものになるのかもしれない。
私はふと、この米騒動は、白米を止める良いきっかけではないかと考えた。
白米は美味しい。
だから食べ過ぎてしまうことも多い。
止められない。
まるで依存症のようだ。
そして健康に良い燕麦は、なぜか砂糖漬けのドライフルーツやメープルシロップと一緒にオシャレに食べるイメージが強く、メーカー製のグラノーラは値段も高いし健康効果も疑問と言う謎仕様の世の中になっていた。

ところで、そう言えばこの夏、売り場からオリーブ油が消えたことを思い出した。
一部の店にはあったが、激しく高騰していて驚いた。
一体どうしてこんなに値段が上がったのか?と、まずは検索する。
すると、オリーブの産地は主にスペインで、二年続いて不作だったためと言う情報が出てきた。
なるほど・・・では、いつ値下がるだろうか?

「とりあえずさー、今現在、スペインの畑に、オリーブはどのくらいあるん?」

Xやってる人は、そうツイートすればスペイン住の誰かが答えてくれるのかもしれないが、SNSとは無縁な私は地道にGoogleに訊くしかない。
検索地域をスペインにして、「オリーブ 2024年 収穫量予想」などのワードをスペイン語で入れると、今年は平年並で、12月にはオイルが増産される見込みだが、価格は直ちに戻るわけではなく段階的に下がるだろうとのことだった。

「うーん・・・、とりあえず、いろんな油を使ってみよう」

そう私は結論を出した。
ステンレスのフライパンを使っているので、焦げ付き防止のためのグレープシード油の使用は必須だったが、乾性油は他にもある。
あれこれ調べていたら、ひまわり油は比較的乾性油だが、健康に良いと言われるオレイン酸の含量が多いハイオレイック種は不乾性油らしいとわかった。
つまり、用途によって油を使い分けるのが良いのだ。
私はふと、このオリーブ油の高騰は、食用油について考える良いきっかけになったのではないかと考えた。
特定の油が健康に良いとか悪いとか、そう言うことではないのだ。
私たちは普段、それがどう言う性質を持ち、どんな風に作られたか、それほどよくは知らないまま、何となく良さげに見える物や流行っている物を使用している。
それは無計画と言うことであり、それでは自分の健康は守れないのではないだろうか。
もしかしたら、供給側の都合で積極的に売りたい油を私たちは深く考えずに利用しているのかもしれない。
食用油なんて何でも良いのかもしれないが、私は興味があったので、道心园广西巴马火麻油を買ってみたこともあった。
日本で買うと、めっちゃ高額だ。
サラダや豆腐にかけたりして食べたが、大した量じゃないから効果はわからなかった。
けれども、わけのわからない油を使うのは危険だと思う。
とにかく、自分でちゃんと選んだ方が良い。

ここで、そう言えば何年か前に、売り場からバターが消えたことを思い出した。
当時原因を調べたところ、国が酪農家にチーズを作るように指導し、そのため大手企業はチーズ生産の設備を予算をはたいて購入し、結果的にバターの生産は少量になったとのことだった。
そして設備を購入した以上、今更チーズをやめられない状況、と言う話だった。
その当時、国、と言うか農林水産省なのだと思うが、牛乳の生産も少量に抑えて、加工乳をメインにするよう指導したと言う話があった。
牛乳は生モノなので管理に金がかかる上に廃棄も出やすく、管理が簡単で長持ちする加工乳を流行らせたかったらしい。
同じように、原料を大量に使うが大して高く売れないバターは儲けにならないからと、マーガリンを主流にしたかったと言う話をどこかで読んだが、結局、マーガリンも加工乳も不人気で売れず、やがて売り場は元に戻っていった。
まあ、そうだよね。
私自身、一度も買わなかったからなあ・・・。
しかもバターは謎仕様により関税がめちゃめちゃ高く、高級品じゃないと輸入もできない状況と言われていた。
それで私はどうしたかと言うと、パンに塗るのは、バターの代わりにオリーブ油と SMUCKER'S のピーナッツバターにした。
そして、

「うーん・・・、これからは国を、あまり信用できないな・・・」

思えばあの時、私はそう結論を出したんだった。
いやあ、だってさ、マーガリンと加工乳だよ?
いくらなんでもヤバすぎっしょ?

ここまで振り返って、私はふと、この一連の流れは、自分の意識を根本から変える良いきっかけではないかと考えた。
今までのような考えでは、越えられない境界に来ているのかもしれない。
適当に周りに合わせてのんびりダラダラしてればうまくゆくとは言えない時代だと言うことだ。
自分がどんな選択をするかが、今は非常に重要なのだ。

「うーん・・・、とりあえず、ミトコンドリアとチャクラの健康が第一では・・・?!」

そう私は結論を出した。
まあ、正しいとは思うが、飛躍し過ぎだ。

「いや、そのくらい先を行かないと、生き残れないかもしれないっ!!」

などと考えつつ、オーケーストアでどのバターを買おうか?と迷っていると、横から外国人の男性客が現れた。
健康的に痩せた白人で、50代くらいだろうか?
彼は迷わず手を伸ばし、バターを取って、買物カゴに入れた。
ウエストゴールドのバターだった。
外国人だから輸入物を選ぶのか?
そもそもウエストゴールドって、グラスフェットバターじゃないか。
高級品だな。
きっとこの人はコーヒーに入れて、シリコンバレー式をやっているのかもしれない・・・などと考えた後に、ようやく私は気づいた。

「普通の国産バターがこれだけ値上がってしまった今、グラスフェットバター買った方がお得じゃね?!」

そう、絶対にそうするべきだ!
だって私はシリコンバレー式を毎日飲んでいるじゃないか!
ココナッツオイルはオーガニックを買って入れているが、ギーはインドの物価を考えるとどうしてあんなに高いのか納得がいかず、妥協して普通のバターを入れていたのだ。
まあ、ココナッツオイルの方も、インドでは激安だったけどね。

こうして私は、国産バターを卒業した。
勝手な推測だが、グラスフェットバターはバターとは別モノ扱いで関税が低いか何かなんだろう。
じゃなきゃ、あの価格は有り得ない。
皆がグラスフェットを選ぶようになると関税引き上げられるかもしれないが、その時はまた別の何かを探すしかない。
こうして、適当にサバイバルしてゆくしかないのだ。

とにかく、選択肢はある。
考えれば何かしら良い策も思いつく。
皆が大人しく、お上の望む通りの行動をしていたら、この国はあっと言う間に滅びるだろう。
そもそも、生物は皆、こうして逆らうことで進化してゆくものではないだろうか。




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