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【胃に優しい就寝姿勢】
Umito / カラダ・コンサルティングの山本健太です!
理学療法士の資格を持って地域で予防の活動に取り組んでいます!
・睡眠について最低限知っておいてほしい情報
・睡眠習慣を見直す情報 を発信します!
前回は、酸化ストレスが睡眠に及ぼす影響についてお伝えしていきました!今回は、逆流性食道炎による睡眠の質について考えていきます!
逆流性食道炎と睡眠障害
逆流性食道炎(GERD)は、胃の内容物が食道に逆流することを特徴として胸やけの症状を引き起こします。慢性のGERDでは、食道炎やバレット食道などの合併症を引き起こす可能性があります。またGERDは食道癌の素因となることが懸念されています。
睡眠中はいくつかの生理学的変化が起こることで、食道の酸との接触時間を延長し、逆流性食道炎の症状が悪化しやすい状況となります。通常、逆流した内容物を胃に戻す食道蠕動は、唾液の生成および嚥下の減少によって睡眠中は減少します。そして、横になることで胃の中に逆流した内容物を下方に保つ重力の有益な効果が排除されてしまいます。さらに、胃の内容物の食道と喉頭への通過を制限する反射運動が備わっていますが、睡眠中の特にステージ3のノンレム睡眠ではその運動が減少してしまうようです。
GERDはレム睡眠の1.4〜1.7%の減少と関連ししており、そこに到達するまでの潜伏時間も24.4〜27.2分増加することが報告されており、結果的なレム睡眠の抑制されてしまうようです。睡眠時間の短縮は、肥満、高血圧、II型糖尿病、心血管疾患などの多くの有害な健康結果に関連しており、健康な成人の正常な睡眠ポリグラフ値に関する以前の研究によると、総睡眠時間の 13.4 分の減少は、約 13 年間の老化に匹敵するとの報告があります。
胃のために推奨される就寝姿勢
GERDの増悪を予防しつつ、その影響を抑えて眠るために、どんな工夫をするべきか対策を講じる必要性があります!その工夫の1つとして、寝姿勢について調査した研究があります。
結果は、GERDを有する夜間の50%以上を右側を向いて横向きに寝た被験者において、睡眠効率、総睡眠時間、およびレム睡眠時間の低下、ならびに睡眠開始後の覚醒の増加という有意な違いが確認されてようです。
これは主に右向きで寝る人の睡眠は、逆効果またはより深刻な影響を与えることを示唆しています。逆に、左向きで寝る人では、ほとんどの睡眠パラメータとの有害な関連性が改善していたようです。これは左向きの睡眠が睡眠の質に対するGERDの悪影響のほとんどを改善する可能性があることを示唆しています。
睡眠中の体位は、逆流に影響を与える要因としてよく研究されています。右横向きでの睡眠は、下食道括約筋の一時的な弛緩の増加により、左側臥位睡眠と比較して食道酸曝露の増加がすること可能性があります。アメリカの家庭医の臨床ガイドラインは、逆流性食道炎の乳児または青年期の患者に左横向きの寝姿勢を推奨しているようです。成人には推奨されていませんが、予防的にも食後すぐには横にならないこと、なる場合は左横向きになることを心がけたほうが睡眠の質が高まりそうです!
<参考文献>
Gurges P, Murray BJ, Boulos MI. Relationship between gastroesophageal reflux disease and objective sleep quality. J Clin Sleep Med. 2022 Dec 1;18(12):2731-2738. doi: 10.5664/jcsm.10198. PMID: 35934919; PMCID: PMC9713921.
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