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あなたの会社の「人事評価」方法は?
2日前、政府の肝いりで始まった、企業が1.5%~3%賃上げをすると最大30%~40%の減税になるという賃上げ促進税制の話を記事にした。
するとHPに一通のレターが届いた。
このnoteで記事を読まれた方からのものだった。
今日はそのレターに書かれていたことについて考えてみたい。
もちろん、ご本人に了解をいただいた。
その上で匿名でその内容をご紹介させていただきたい。
不透明な人事評価
その方の勤め先は日本にある外資で、賃金アップはあるけれど、問題のある会社だと書かれている。
その内容をご紹介すると、
女性の活躍(昇進など)について、結局のところ、上の意向に合わせるか、合わせないかではないかと。当社は人事の役員が男性なため、男性的な考え、感性になり、男性目線での物差しになります。女性でも男性に媚び売る能力があれば昇格させるのです。
女性の多くが支持する女性は、男性からは支持されないことが多く、昇格試験を受けても受からず、昇格できないという現状もあります。
と書かれている。
さらにその方は、当社に限っての話だとは思いますがと書かれ、
夜分に奇抜なコメントで大変失礼しました。
とも書かれている。
これは珍しいことでも奇抜なことではない。
たとえ外資であっても、この国に支店を置く場合、企業はこの国らしさを取り入れていく。つまり、日本の外資で起きていることは日本企業でよくあることだということ。
そう、人事評価がブラックボックス化することは、日本企業では普通に起きているのだ。
加点(得点)主義
欧米の企業の社員の評価は加点主義だとよくいわれる。これを一言でいうなら、生産性を高める方法。なぜなら、働く人がここぞという時にチャレンジできる評価方法だからだ。
今のように世の中が急速に変化している時には、社員は新しいことに積極的にチャレンジする必要がある。加点主義ではトライ&エラーができる。たとえ失敗しても、またトライすることが許される。そして、失敗してもそれがその人の会社人生を終わらすようなことにはならない(内容にもよるけれど)。
そうした評価では、まだ形のなかったなにかが誕生する可能性が高い。
欧米企業が数十年後に、始めたばかりの頃の事業内容と全く異なるものになっているのも、こうしたやり方をとっているからだろう。
減点主義
ところが、日本企業には減点主義が多い。有名企業もしかり。これはよくいわれる前例主義のこと。だからこそ、企業の形が大きく変化することはない。
特徴としては、生産性は、残念ながら高くならない。なぜなら、社員が委縮するから。はみ出すことも、冒険もできない。
この減点主義の厄介なところは、前例のない新しいことが成功した場合はまだしも、失敗が許されない。
前例のあることが失敗したのであればペナルティーは想定内。けれど初のチャレンジが失敗すると大変なことになる。前例のないことをしたからだ。大きなペナルティーになる可能性が限りなく高い。
だからこそ、減点主義の企業では社員は冒険ができず、おとなしくなる。それが行きすぎると、窮屈すぎて、時には精神的に追い詰められる。
女性の活躍と人事評価方法
そして、先のレターの方がおっしゃっていたのは、女性ばかりがなかなか昇格できないという内容だった。これこそが減点主義におこり得ること。
つまり、
当社は人事の役員が男性なため、男性的な考え、感性になり、男性目線での物差しになります。
と書かれている。
この会社に限らず、女性役員がいないだけでなく、男女比率が大きく男性に偏っている会社は人事評価が減点主義である場合が多い。
なにしろ、前例が男性中心だったのだ。加点主義であれば時代が要請している男女の機会の平等を直ぐにでも取り入れることが可能だけれど、減点主義は違う。
たとえば、気概のある男性役員が、社内の重要ポストに沢山の女性を入れたとする。それが成功した場合は問題ない。けれど失敗したなら、その気概のある男性役員は大きなペナルティを負う。ひどければ失脚もありえる。なぜなら、前例のない新しいことにチャレンジしたからだ。
だからこそ、こうした企業ではいつまで経っても男性中心主義が崩れない。
おわりに
単純化しすぎだと思われるだろうか?わたしはそうは思わない。これほど人事権が強い国はないのだ。日本の人事は特別だ。日本では人事評価がサラリーマン人生を左右することが多い。そうした権限の強い人事の評価が減点主義であるなら、賢い働き手は冒険などしないし、したくない。トップに誰もが従うようになる。そして、男性中心主義は恐ろしいほど変わらない。
だから、これから就活や転職をする人は、自分の気質と、企業の気質を見定める必要がある。トライ&エラーをしたいのか、決められた範囲内で働きたいのか、そこを見定めることはとても大切なことだと思う。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています。