ニーチェ「ツァラトゥストラ」
ニーチェ「ツァラトゥストラ」
(前略)
私は哲学者ニーチェの『ツァラトゥストラ』(手塚富雄訳、中央公論社1973)が自分の極度に緊張した日々の意識状態のバランスを保持するのに適していた。ニーチェの翻訳された著作はほとんど読破した。哲学者はプラトンやアリストテレス、ヘーゲル等々、山頂にいる存在を主に読む。他はその亜流に過ぎない。
近代のニーチェやアルチュウル・ランボオ以降に影響を受けた一般に実存主義と称される哲学、文学は自然科学に依拠する相対的世界観に呪縛され、無方向が方向、或いは無意味が意味という実体無き虚無的世界観でしかなかった。
絵画ではキュビスムから抽象表現へという運動が連動していた。相対的意識とは一切の事物を公正に偏見なく観る、という一視点に過ぎない。この相対的意識状態が世界観と化せば虚無的世界観となる。ただ、単なる動物ではない人間が目的や方向を喪失したらどうなるかは言わずもがなである。(後略)
拙著「孤高の歩み」より抜粋
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