話すことのないエピソード

湿度を感じる夜風が
わたしの身体を通過する
後れ毛がうなじで無邪気に舞遊ぶ

また雨が降るのか分からない
歓迎されぬ重たげな雲が
真夜中なのに何層にも色彩を持つ

アルミの手すりは冷たく
揺れる樹木は緑の濃淡が妖しく
防犯灯は無機質に道を照らし
光に寄る虫は有限の命を使い切る

人差し指と親指で作るフレーム
切り取る夜景は変哲のない日常
つまらない夜の帳をも
あなたと見たいと望む趣意

きっと誰にも話すことのないエピソード

☆*:.。. .。.:*☆

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