【シナリオライター・小説家志望の方へ】どうか、自分の物語を届けることを諦めないで。

最初にことわりをいれておくが、私はかつては、小説家志望で芽がでない人間だったが、シナリオライターに転向した途端、なぜか芽がでた。
商歴5年目の今、少なくともシナリオのお仕事には困っていないし、ありがたいことに大きなお仕事を任せてもらっている。

シナリオライターが小説家の何が分かる。

そういわれては返す言葉もない。
ただ、私も自分の文章を認められたいという悔しい思いをした経験はある。
私も公募に出しては結果が振るわずに……それでも挑戦したという過去がある。
だから、私にも「あなたの物語を届けることを諦めないで」と言う資格はあると思うんだ。

私が公募用に処女作を書いたのは16歳のときだった。高校2年生だ。
でも、それがあまりにも稚拙すぎたし、ジャンルがBLだった。
年齢的に濡れ場を書けなかった私は、全年齢でその作品を書きあげた。
これはBL作品を公募に出すにあたってだいぶ厳しい条件だった。
同時に稚拙な文章が恥ずかしくて、いや、厳密には作品を批判されることが怖かったのだ。
その作品は、インターネットにひっそりと投稿して、誰もが知っている作品になったのだけど。
たぶん、新人賞に出しても箸にも棒にもかからないくらいには稚拙な作品だった。
私が初めて新人賞に出したのは18歳のときだった。1次選考通過、2次選考落選。これが最も良い記録だ。

小説家を目指しておきながら、私の能力はたかがしれている。
公募の投稿は23歳までおこなっていた。
投稿をやめたきっかけは某編集部の一言だった。
「一般常識に欠如しており、日本語もおかしい。イチから一般常識と日本語の勉強をしてください」
それだけ高い水準を求められるのが小説の世界かもしれない。
だが、私はあまりにもひどい言葉に感じた。
少なくとも、私は人にこんな言葉を向けないし、プロになって仕事をしてからも向けられたことはない。
1年ほど、ぶらぶらと同人活動をしながら、普通に働いて……。
先にプロになった友達は、「小説が上手くいかないなら、シナリオを書けばいい」とアドバイスをくれたし、多くの友人が応援してくれた。
そして、普通の仕事(接客業)で体を壊した頃に、シナリオライターとしての依頼が入った。

まず、私がシナリオライターなり小説家なりを目指す方に伝えるのなら「新人に完璧な水準の文章は求められていない」
もちろん、書くのは商業媒体の商材だからある程度の筆力は必要だろう。
ただ、私のデビュー作のシナリオを読み返しても、うーん、お世辞にも上手いとはいえないし、シナリオの内容がめちゃくちゃで笑えるのだ。

アマチュア時代の創作、そして多くの企業様とお仕事をして確信していることなのだが、私は文章が上手くないが強みがあった。
それは、一生懸命、文章を書くこと。
これは、みなさん、同じだろう。
散々、お話しているが、私は自分の信仰で「才能」というものはないものだと思っている。
私は文章は稚拙だ。それでも、読んだ方に梅芳の文章は伸びると期待させるようなものを書いてきたように感じる。
間違ってはいないと思う。
その一点で、私は未経験から商業デビューして現在に至る。
多くの企業様にお声をかけていただいたし、私の実力ではできるか分からない案件も多くご経験させていただいた。
だから、それに応えたかった。

公募勢の方のnoteを拝読させていただいていると「自分に才能がないのではないか」と落ち込む方を多く見る気がする。
でも、きっとそんなことはない。
どのnoteも文章が整然として読みやすく、きちんと推敲が行われているように感じた。
(自分のクソ雑な記事が恥ずかしくなります)
こんなにも丁寧に文章を綴る方たちだ。
それに最後まで目を通してしまうほど、内容に惹きこまれる。

私も経験しているから、公募に投稿し続けるのはとてもすり減る行為だと理解している。
でも、自分に才能がないなんて言わないで。
そんな才能なんて存在のあやふやなものを信じるなんて、物書きとして面白くないじゃない?
私はあなたの文章を最後まで読んで、心が震える記事に出会ったらスキを押している。
だから、あなたの文章は確実に私を楽しませてくれているとずっと言いたかった。

私の経験になって恐縮だが、簡潔に大事だと思うことをまとめてみようと思う。
・商業デビューするのはある程度の筆力が必要なのは確かだが、スキルアップはデビュー後の仕事にかかってくる。
・商業デビューの近道は誰かに自分の文章を見つけてもらうことだ。
・誰かに見つけてもらいやすい文章というのは、伸びしろを感じさせるものだ(これは私個人の意見です)
・お仕事を任されたなら、一生懸命にとりくむこと。
・個人的にスキルアップの近道は実際に文章を書く仕事をすること。そして、それはトライアンドエラーです。

私はデビューが早い方でも遅い方でもないが、学生さん、20代の方……の諦念の言葉を見ると「君は若い。諦めるにはまだ早いぞ!」と思ってしまう。

また、私のように女性向け小説を書きたい人間が、実際に芽を出たのは男性向けシナリオという大きなカテゴリーエラーを起こしていたのも事実。

プロの目から見て、自分の希望と適正が違うこともある。

書きたいものを大事にするのはいいことだ。
でも、どうしてもプロになりたいのなら、そこらへんを専門家のディレクターなり編集さんなりにジャッジしてもらった方が早く仕事に繋がるし、成果も出しやすい。

現に私は5年目になるというのに、未だにBLだけは選考の段階で落とされます笑
趣味で書くにはいいんですが、仕事にすると圧倒的に向いてないんですね、これが。
でも、いつかBL書きたいなーとは思っています。

30歳、商歴5年目のシナリオライターという中途半端な立場で恐縮ですが、どうか、自分の物語を書くことを諦めないで。
きっと、誰かが見つけてくれるはずなんだ。


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