“生き急いでましたもんね”
主治医は呟く。
顔を見合わせて 二人で微笑む。
回復期リハビリテーションの日
“どうですか”から始まる
先生 目の前の景色愉しめるように
なりましたよ
次の日 寝込みますけど
主治医は呟く
“生き急いでましたもんね
秒刻みで予定をこなしてるみたいに”
“先生 同じ動きしたら 死ぬって
言われてましたが...
本人が 死んじゃいましたから”
“生き返って 生まれ変わって良かった
じゃ無いですか“
そんな 会話を重ねて診察は 終わる
”リハビリ頑張って 行って来てください“
逢うスタッフは なんだか家族みたいで
三ヶ月も暮らしていたんだから....
長女 次女 三女が 揃う
”先生 お久しぶり“
声優セラピストさんは お久しぶりである。
何処でやります?
森のテラスで....,
そう この時期は 毎日毎日
森のテラスで リハビリをしていた。
ほんのり肌寒くでも 心地よい
色々な話をしながら 色々な 写真を見せながら セラピーは進む
先生 カメラマンに写真撮ってもらって
笑ってって言われて….
ほらこれ….
顔が引き攣っているなと 思っていたら
流石 言語聴覚士
顔の筋肉 特に 口角が上がっていると
“大変 良く出来ました
良く ここまで来ましたねー”
と
二人して 手を叩いて喜ぶ。
細やかな顔の変化を見逃さず
褒めて 記憶させていくのである。
森のテラスがあってよかったと
本当に 思う。
木々や 花々に 触れ変化を愉しみ
色覚や感情を リセットして来たから
あっという間に セラピーは終わる。
各階に クリスマスツリー
そう 私の部屋の前にもあった。
色々な物語も生まれた。
“一年で良くそこまで 動けるように
なりましたね”
先生やスタッフに 言われると
此処に 来て過ごして良かったなと
思う。
“ゆっくり ゆったり ぼちぼちと”
体力気力は 相変わらず千分の一に満たないけど…
ギランバレーに恋をして
回復期リハビリテーション
浦島太郎な浮世雲