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野菜と時間

白菜、キャベツ、ブロッコリー。

大根、にんじん、ほうれん草。

そのほか、たくさんの冬野菜が獲れました。

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家の近くに畑を借りて、野菜の育て方を教わって、ちょうど2年が経ちました。

週末の気晴らしとしてはとてもいい趣味を見つけたと思っています。

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おひさまが昇って、おひさまが沈む。

地球は24時間で自転しています。

春夏秋冬と季節が巡る。

地球は365日で公転しています。

きっと、大自然の時間のようなもの、言い換えれば、大地のリズムというものがあるはずだと思うのです。

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大都会の塀の中、人工の光に照らされて、目まぐるしく働いています。

溢れるばかりの仕事をいただけることは誠にありがたいことですが、あまりに仕事に没頭すると、時間の感覚を失うときがあります。

そのようなとき、ほのかな高揚感を感じるとともに、なぜか、地に足がつかないような空虚な情動に襲われます。

時間の感覚を取り戻す。

それが、僕が畑をはじめた理由の1つです。
(たぶんね・・・)

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はじめて種を蒔き、はじめて苗を植えたとき、野菜の成長が本当に待ち遠しく感じました。

肥料を施し、土寄せしながら、彼らの成長を見守ります。

どんどん高く伸びるものもあれば、横に広がるものもある。

すぐに花咲くものもあれば、ゆっくり根を張るものもある。

毎回、様々なことを学びます。発見の連続です。

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のんびりと陽の光を浴びながら、緑に囲まれた畑に腰をかけ、おだやかな週末を過ごすつもりでした。

ところが実際は、やることが多い。

脇芽を摘んだり、支柱を立てたりしていると、あっという間に時間が過ぎるんです。

気が付くと、陽が傾いている。結局、忙しい。

だけど、時計とにらめっこして、忙しいわけではありません。

外から何かに追われることで、時間を短く感じるのとは違います。

自分のうちなる時間が唯々ただただ時間を短く感じさせるのです。

だから、時間がもったいないとは微塵にも思わない。

あっという間に過ぎ去る時間がむしろ心地よく、充実感に満たされます。

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ただし、最近は事情が違う。

彼らの成長がめちゃくちゃ早く感じます。

あっという間に育っている。

むしろ僕の方が取り残されている。

「もっともっとできるだろう」
「もっともっと成長しようぜ」

彼らから背中を押されているような心地になっています。

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結局、時間は相対的なものなのでしょう。

きっと彼らは変わらぬペースで生きている。

変わっているのは自分の方。

だから彼らと向き合うほどに、自分を見つめることにつながるんです。


(な~んてね。)


さあ、しばしの冬ごもりのあとは、じゃがいもの植え付けです!

3月になれば新シーズンのはじまりです!





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原井浮世
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