読書はたのし「明智光秀」(高柳光寿)
十兵衛様が泣くとテンションが上がる。
お察しの通り、麒麟が来るの話である。
何? 察せられるわけねえと申すか。
そうかぁ……。できぬと申すかぁ……(圧迫)
まぁ……いい……。
2020年の大河は「麒麟が来る」で。
主人公は長谷川博巳演じる明智十兵衛光秀。
大河史上初の群像劇。
放送前にメインキャストが逮捕され、代役で撮り直しをしている最中に疫病騒動、放送休止を挟みながらも1月に感涙の最終回を迎えた傑作大河である(早口)。
長谷川博巳がNHKで主役を張ると、魅力を語れば語るほどに「この男だけはやめておけ」という男になのだが。やめておかねばならない男だからこそ沼い男で。特に作中で不惑を超えたであろうあたりからいじめたい男感満載となり。最終回付近では完全にメンタルをやられていたので、ほぼ毎週泣いていた。よってわたくしのテンションは毎週爆上げであった(ド早口)。
なぜだ。息継ぎなしで説明したのに。原稿用紙1枚使っている。
まあよい。伝えるべきは伝わったであろう。
今回は明智光秀の伝記。タイトルそのまま「明智光秀」(高柳光寿)である。
かなり古い本なので、現在では否定されている説も多かろうと思う。
ことにわたくしの手元にあるのは旧版なので、新版では改訂されている部分もあるやもしれない。
だが! わたくしの目的は十兵衛様(長谷川博巳版)の泣き顔を妄想する燃料探しである! 真偽は現在問題ではない! よく燃えるのならそれでいい! 探せガソリン!
博学振りをやって尻尾を出したというところである。
そんなわけでこの記事は全くでたらめというべきである。
この説を取っているが、勿論採るに足りない。
ごめんなさい……。
著者高柳先生のブチギレっぷりに、思わず謝ってしまった。
もちろんわたくしにブチギレておられるのではない。
俗説の元となった悪書に、ブチギレでおられるのである。
だが、冒頭からここまでブチギレておられると……。
十兵衛様の泣き顔が妄想したいだけです! とか……。
スタンスを謝ってしまうではないか。
と、いうか、いきなりのブチギレに遭遇して、とっさに謝らない度胸の持ち主。
この世に何人いるだろう。
織田信長くらいではなかろうか。
麒麟が来るでも、十兵衛様がクレイジー・サイコ・ノッブに謝っている場面は多かった。
ああっ燃料の予感がする!
「明智光秀」を開く!
さっき謝っていたはず?
いきなりのブチギレに対する謝罪など、強盗にぶつけるカラーボールと同じだ!
危険回避の反射行動でしかない!
そーれぺらぺらーと。
……。
……。
……ごめんなさい。
いやその……。
ブチギレる信長に対してより……。
あっちこっちの仲を取り持つために、営業的な謝罪をしている方が多そうだった……。
やらしい目で見てごめんな……。史実十兵衛……。
純粋に伝記として読むと。
そもそも明智光秀という人物、生まれ育ちがはっきりしないのである。
永禄11年。先代将軍足利義輝が殺され、弟義昭が岐阜の信長を頼った際。
たぶん……その場にいたっぽい……。
が、歴史の初登場なのだ。
このたぶん、というのは光秀に関する記載が「細川家記」にしかなく。
しかも何をしたのかは書かれていない故の「たぶん」だ。
義昭を守ろうとする細川藤孝(幽斎)と、織田信長の仲介役を務めたとあるが……。
そのわりに、何年も前に藤孝と信長は対面している。
仲介……いる?
仲介したとしても、仲介のさらに仲介であるし……。
その場にいたっぽいとしか言い様がない。
が、仲介していると書くからには、光秀は成人して長いだろう。
初登場でおっさんである。
……。
イイ!(燃料がぶち込まれた瞳)
登場時から十兵衛様ではないか。いや、確かにあの若造時代あってこその十兵衛様。しかしわたくし凡庸人類。フルコースもいきなりステーキもラブ&イート。
いきなり泣き出してくれても全然かまわない。そんなときもある。今がそのとき爆上げフィーバー!
(すっ……と正座)
純粋に伝記として読むと(強調)。
「籾井家日記」という本には、天正三年ごろ信長が明智十兵衛という族姓も知らぬものをとりたてたとある。
この「籾井家日記」も良質とは言いがたいがと前置きした上で、光秀の出自はこんなもんであろうとおっしゃる高柳先生。
まあ……、結構なお身分低め……。
オイオイオイ! 盛り上がってきたじゃねえの!
褒められるようなことをめったにしないわたくし。
されど「薄幸なメンズを書かせたら浮草堂さんはスゴい」とは褒められる。
うれしすぎて褒めてもらったツイートをスクショしている嘘ではない。
スゴい理由はツボいしかない。
薄幸なメンズ、大変ツボい。
ツボる対象は2.5次元まで。
不幸を生まないための性癖のさだめ。
史実の十兵衛様が薄幸なメンズであったなら、1人敦盛2020!
探すぜ薄幸エピソード!
バラバラバラバラ(ページをめくる勢いが増している)
……うむ。
明知光秀に関する書って、別に光秀本人が書いたわけではなかったので……。
本人の心境は想像する他なく……。
「めちゃめちゃ出世してんなこいつ!」が先にきて後(薄幸)にいかない!
まあ、心労は多そうというか、板挟みは多そうというか。
悪くもないのに頭を下げたことが多かったんだろうな、と想像できる。
生まれ育ちがはっきりしないだけでなく、いつから信長に仕えたのかはっきりしないのだ。
足利義明と織田信長、二人の主を持っていた時期が長かったっぽいのである。
もうちょっと時代をさかのぼると珍しくないことだが、この時代では珍しい。
その珍しい2人の主が殴りあっている。
詳細はこの本をポチった後、麒麟が来るを観ていただきたい。
麒麟が来るを観ていただきたい。
2回も言ったぞ。……わかるなぁ?(クレイジー・サイコ・ノッブ圧)
とかく、2人の上司が殴りあっているのだ。
……クッ。
麒麟が来るだとあんなにテンションが上がったのに!
リアル休職しませんか案件を抱えたおっさんの姿を想像すると!
普通にかわいそうなだけだ!
燃料どころかわたくしが泣きそう!
しかも出張多すぎ! おっさん体力もたんやろ!
そんなあなたに本能寺。
この「明智光秀」も本能寺に多くのページが割かれている。
と、いうか、光秀に関する資料。
マジ本能寺関連以外残ってねえ。
麒麟が来るでは決定的な何かがあったというより、じわじわメンタルを削られていって本能寺っていたが。
実際のところの原因は何か。
なにゆえ! バーニング!?
「明智光秀」には様々な書からの説が紹介されている。
全く事実を無視した作り話ということができる
本当にあったこととは考えられない。
これらの話は要するに俗書の作り話で勿論取るに足らないものである。
作者が! バーニング!
しかし高柳先生の俗書悪書に対するスタンスとしては、まだ火力弱めな方だ。
マジで全編通してブチギレておられるのだから。
光秀がブチギレている章なので、先生ご自身は控えられたのかもしれない。
では、弱火となられた高柳先生の説をご紹介しよう。
元々天下がほしくて、タイミングもよかった。
身も蓋もねえ!
要約してしまったせいとおっしゃるかもしれないが、要約しなかった部分はどんな風にタイミングがよかったかの説明だ!
さっくりした自説が最大火力! さすが高柳先生! そこにしびれる憧れるゥ!
燃料にはならなかった。
むしろ長谷川博已は、普通に現代人だと気づかされた。
史実光秀は、泣いてもウキウキしないと思い知らされた。
しかし! この伝記はおもしろかった!
純粋に伝記として(強調)おもしろい「明智光秀」いかが?
次回最終回! 4月23日(金)更新! 「人間失格」(太宰治)で〆ます!
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