見出し画像

柄谷行人『<戦前>の思考』講談社学術文庫、2001年。

再読している。

初出は、1992年の早稲田祭。慧眼というほかないがより劣化しているのが現代。超克の鍵は、「日常性」かも。

時間がなくても1日1頁でも読まないことには進まない。

自由・民主主義は、けっして「歴史の終焉」を唱える新ヘーゲル主義者がいうように。世界史的理念が実現されたものではないのです。それはきわめて危うい基盤において成立している「日常性」であり、つねに瓦解する危険をもっています。いうまでもなく、それは、「交換」すなわち資本主義経済そのものの危うさから生じます。
 われわれはすでに、自由・民主主義というあいまいなものが、どのような論理で解体されていったかを歴史的に経験しています。それが別のレベルで反復されることは今後避け難いでしょう。したがって、理論的にそれを考えておくことが必要です。さもないと、自由主義と民主主義といった概念があいまいなままでふりまわされ、それらの概念とは裏腹な事態に陥ることになるからです。

柄谷行人『<戦前>の思考』講談社学術文庫、2001年、68頁。


氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。