こころの教科書 第4章「仮面と素顔」
心理や人間関係について、私たちが義務教育の中でその専門性を習うことはありません。かろうじて学問となっているのは、大学以降の専門分野なのだと思います。
しかし、私たちは生まれてすぐ、当たり前のように心を持ち、人間関係の波に晒されます。
そして人の悩みに、心理と人間関係に属さないものはないと言っても過言ではないのは、誰もが知るところです。
「こころの教科書」は、心理カウンセラーとして8,000件あまりの臨床経験と、主要心理学を網羅してきた一人の心理探求者として、専門家でない人にもわかりやすい、心理分野のテキストをまとめてみたらどうなるのかを、試験的に発表したものであり、筆者が主催する心理教育講座「心を学ぶ講座 心理編~自己の旅~」を読み物としてお愉しみいただけるようにしたものです。
この記事は、単品価格が設定されていますが、ここまで書いてきた第1~3章、今後完結までに書き足される予定の5・6章をお読みになられる予定の方は、こちらからマガジンをご購入いただいた方がお得になっております。
こころの教科書~私を知る旅~(マガジン)
今回は第4章。
第1章にも登場した、心の仮面と、誰もが隠し持つその裏側について、自己の内側を旅していきます。
心には仮面がある?
第1章で軽く触れましたが、改めて心の両面性について、ここで触れておきたいと思います。
心には、簡単に言えば、人に見せている心と、知られずに済ませようとしている隠された心の両面が存在しています。
カール・グスタフ・ユングというスイスの古い心理学者は、この心理構造について、ペルソナ(仮面心理)とシャドウ(心の影)という名称で表現しました。(ユングの紹介は第1章にて。他の章を振り返りたい方は、マガジン版「こころの教科書」からご覧ください。)
たしかに殆どの人には、公に見せている自分と、まだ関係の薄い人には見せたくない自分が存在しています。
筆者はユング心理学(正式には分析心理学と呼ばれる)の専門家ではありませんので、これから書くことが専門の先生方にもご納得いただけることなのかはわかりません。
しかし、臨床現場を持つカウンセラーとして、相談者たちに起きたことをベースに、人間性の両面について、解説させていただきます。
いつも”はみ出し者”にされてしまう私
「あ~、またこうなるのね…」
その女性は悩んでいた。
どうしていつもこうなるのか。
一生懸命仕事をしているだけなのに、周りからは”はみ出し者”扱いをされてしまう。
どうしても職場で人間関係が悪くなってしまって、こうなると、寂しいからか次の職場を探してしまう。こうやって何度も転職を繰り返してきた。
こういう事態になると、不安も募るが、大体次の職場はすぐに見つかる。
仕事の熱意をかってもらえるからなのかもしれない。
でもいざ入ってみると、その熱意が邪魔になるようだ。
ちゃんとしていない人には厳しく言ってしまうし、不思議にそういう弱い人に限って、周りが守ろうとするのも気にくわない。
それで余計に腹が立ってしまい、仕事のできない人にはひどくきつく当たってしまう。結局尻拭いをするのは自分。足を引っ張られたくないのだ。私は自分をパワハラだとは思いたくない。ただ、ちゃんと決まった仕事ができるようにしたいだけなのだ。
気づいたときには、周囲の人が恐ろしいものを見ているかのような視線に変わっている。態度はよそよそしくなり、ちゃんとした挨拶とは裏腹に、すぐに私の近くからは居なくなる。まるで「お前は危ないやつだ」と言われているかのようだ。週末の宴会などは、気づいたら呼ばれていないことに気づいたりもする。
私は危ないやつじゃない。ちゃんとしたいだけ。どうしてみんなそれがわからないんだろう。
心の声は暗く、自分の中にだけ響いている。
最近知った一風変わった心理カウンセラーのところへ言ってみようと思った。
私には見えてない自分の何かを教えてもらえるかもしれない。
先生は聞いてきた。
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